第2次安倍内閣第3次安倍内閣の国家安全保障担当の首相補佐官で、自民党の改憲草案の取りまとめ役の事務局長でもあった礒崎陽輔参院議員がまたまた珍妙な発言をしています。

ここで「またまた」というオブストラクションをいれているのは、礒崎には3年前にも「立憲主義」という18世紀以来の近代憲法上の重要な概念について「学生時代の憲法講義では聴いたことがありません。昔からある学説なのでしょうか」という珍妙なツイッター発言をして物議を醸した前歴があるからです。

 
ちなみにここで礒崎が「学生時代」と言っているのは東大法学部の学生時代のことを指しています。その法律分野の最高学府の東大法学部で「立憲主義」についての講義がなかったということはありえません。「聴いたことがありません」というのはよほど礒崎に聴力に障害があったのか、あるいは理解力がなかったのか、あるいは眠っていたのか、あるいは授業そのものをサボタージュしていたのか、そのいずれかでしかありえないでしょう。

いずれにしても自身の不徳でしかない(難聴の件は除く)ことを「立憲主義」という概念自体がなかったことの証明にしようとしたのですからツイッター上にブーイングが飛び交ったのはいわれのないことではありません。一例をあげておきます。青井未帆さん(学習院大教授・憲法学)はそのときのことを次のように述懐しています。

 
さて、礒崎陽輔首相補佐官の「またまた」発言とは朝日新聞によれば次のようなものです。

「党憲法改正推進本部事務局長の礒崎陽輔・首相補佐官はこの日の集会(引用者注:憲法改正に向けた盛岡市での自民党の「対話集会」)で、党員や支持者ら約200人を前に「来年中に1回目の国民投票まで持っていきたい。遅くとも再来年の春にはやりたい」と述べ、来夏の参院選後に改憲の国会発議を行い、国民投票に道筋をつけたいとの考えを示した。/礒崎氏はさらに「憲法改正を国民に1回味わってもらう。『憲法改正はそんなに怖いものではない』となったら、2回目以降は難しいことを少しやっていこうと思う」と述べた。」(朝日新聞 2015年2月22日

この礒崎首相補佐官の憲法改正を「国民に1回味わってもらう」発言についても当然批判が殺到しています。2例示しておきます。

1例目は「Afternoon Cafe」ブログ主宰者の秋原葉月さんの礒崎批判。

「ちょっとまってなんですかこれ/「憲法改正を国民に1回味わってもらう。『憲法改正はそんなに怖いものではない』となったら、2回目以降は難しいことを少しやっていこうと思う」/なんの調教プレイですか。徐々に強いクスリに慣らしていくみたいな。何故国民が国家にこんな調教されないといけないんですか、恐ろしい発想です。」「だいたい立憲主義の主旨からすれば、国家が主導して改憲に導く、調教していく、なんてとんでもない話なのです。しかもそれを手がけているのがこんなたちの悪い直ぐにばれるような大嘘をつく人間(もし嘘をついてなかったとしたら立憲主義すらも知らない人間!)ときています。こんな人物に「ほぅら、怖くないょ」的な誘導されるなんて冗談じゃありません。「憲法改正を国民に1回味わってもらう。」って何様ですか。あなたにそんな権限はありません。」(Afternoon Cafe 2015/02/22

2例目はTwitterによる山崎雅弘さん(戦史/現代紛争史研究)の批判。山崎さんはこの礒崎の「またまた」発言を「完全にスルーし、当たり前のようにその考え方を伝播・宣伝している」朝日新聞というメディアに対して次のような批判を投げかけています。
 
「最近の朝日新聞には、かつての同紙にはあった権力に「ブレーキをかける」という意志が全く見られない。「自民、改憲へ『世論対策』本腰」(朝日)http://bit.ly/1AwN9ay この記事も首相の意図を代弁して説明しているだけで、批判的検証を「自分が行う」意志も覚悟も全然ない。「安倍晋三首相や自民は『世論対策』に本腰を入れ始めた」「…との考えを示した」「…とみられる」「…との認識があるからだ」「…を高めたい考えだ」「…世論の動向を慎重に見極めながら、改憲の国会発議や国民投票のタイミングを探る構えも見せる」こんな政府の意向代弁記事ならロボットでも書ける。」
 
「この記事で一番重要なのは「憲法改正を国民に1回味わってもらう」という自民党憲法改正推進本部事務局長の礒崎陽輔首相補佐官の発言で、日本国憲法第99条「憲法尊重擁護義務」の否定を現職首相の側近が公言しているが、朝日新聞は完全にスルーし、当たり前のようにその考え方を伝播・宣伝している。かつての朝日新聞なら、現職首相の側近が日本国憲法第99条の「憲法尊重擁護義務」を全く無視して、憲法を「尊重も擁護もする気はありません」という態度を取れば、きわめて重要な政治問題として激しく批判していただろう。朝日叩きの鎮静化と、政府の意向代弁記事ばかりになった状況は関連している。「憲法改正を国民に1回味わってもらう」という自民党憲法改正推進本部事務局長の礒崎陽輔・首相補佐官の発言は、憲法改正は国民の主体的判断に基づくという「建前の形式」すら無視している。憲法を「変えるのは自分たち」で、国民は「それを味わう」側だという、首相周辺の傲慢な思考を物語っている。」(山崎雅弘Twitter 2015年2月22日

なお、礒崎首相補佐官の「憶測だけでデタラメを公言するような人物」性については次のような批判もあります。
 
「礒崎氏は4月26日には「憲法第96条の改正」という「私の主張」を掲載しているが、その中で、日本国憲法の改正手続きが「なぜ、こんな厳しい規定となったのでしょうか」と問いかけ、自ら次のように答えている。「それは、GHQが、連合国が了解した憲法を占領解除後も将来にわたって簡単には変えさせないという意図に出たものであることは、間違いありません」。いったい、いかなる根拠に基づいて、こんなでたらめを言えるのであろうか? もちろん何の根拠にも基づかず、自らの愚かしい憶測だけに基づく発言であることは明白である。歴史の事実は、先日私が「憲法改正機会を握りつぶした日本政府」で述べたように、FECの決定を受けて、マッカーサー自ら吉田首相に対して、国民投票を含む憲法の見直しを求めたのであり、それを握りつぶしたのはほかならぬ日本政府なのである。自民党改憲草案の取りまとめ役は、憲法の基本概念も理解していないだけでなく、歴史の事実も確認せずに憶測だけでデタラメを公言するような人物なのである。」(祭りの後の祭り 2013-06-03

なおまた、ついでにどうでもいいことも述べておきますと、礒崎さんと私は同じ町の住民で、礒崎さんの通った高校は私の末娘の通った母校でもあります。さらについでのことをいえば礒崎さんの事務所は私の昔のいきつけの酒処(みせ)の隣りの隣りにあるという因縁?もあります。

PS:いまの私のいきつけの酒処には礒崎さんの叔父さんなる人がときどき女連れでやってきます。2、3年前のこと。たまたま隣り合わせになって相方の女の人と世間話をしていたらまるでこの世の敵はお前ひとりといった目でこの叔父さんににらみつけられたことがあります。なにやら税理士さんであるとか、あったとか。
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