本ブログの「今日の言葉」の2015年1月27日から2月2日までの記録です。

フクジュソウ  

・「イスラム国」による人質事件は、予断を許さない状況が続いています。後藤健二さんの早期解放はもちろん急務です。同時に、この問題で安倍政権への批判を控えようとする風潮があることは見過ごせません。(略)
共産党が安倍首相を批判した自党の国会議員を逆に批判するなどはその表れでしょう。後藤さんの解放要求とともに、事態の背景・根本問題、安倍政権の責任を今こそ問わねばなりません。それは、憲法9条の実質改憲である集団的自衛権行使容認であり、その底流にある安倍首相の「積極的平和主義」なるものです。中には(略)安倍首相の「積極的平和主義」に幻想を抱かせるような論調さえみられますが、これは大きな間違いです。(略)「積極的平和主義」とはもともとノルウェー・オスロ平和研究所のヨハン・ガルトゥングの言葉です。安倍首相のそれは借り物、しかも本来の意味を捻じ曲げた借り物です。「(略)『積極的平和主義』は、全くの和製であり、最初に言い出したのは、伊藤憲一・日本国際フォーラム理事長で、その著書から生まれ、自ら産経新聞の『正論』欄で、米国が『世界の警察官』役を降板しだしたいま、日本は『世界平和主義』の旗を掲げるべきだと論じている(略)。アメリカに代わって『世界の警察官』を引き受けることは、『積極的』とは言えても、『平和主義』とはなんら関係はない。むしろ『積極的軍事主義』ではないか」(略)「アメリカに代わって『世界の警察官』を引き受け」ようとする具体化が、日米軍事同盟に基づく集団的自衛権行使であることは言うまでもありません。(略)「『積極的平和主義』とは現実には『積極的軍事主義』をめざすものと言うべきであり、それを象徴的に示すのが、武器輸出三原則の撤廃に他ならない」「イスラエルに対してさえ戦闘機(武器というより兵器そのもの)を輸出できるとなれば、新三原則には、事実上いかなる“歯止め”もないと言わざるを得ない。まさにそれは、『国際紛争の助長』に直結するものであり、『積極的軍事主義』そのものであり、遂に日本が『死の商人』への道に踏み出すことを意味している」(略)安倍首相が2人の拘束・身代金要求を事前に知りながら、あえてイスラエルを訪れ、「日の丸」とイスラエル国旗を前に記者会見し、アメリカなどの「有志連合」に加わる意向を示した背景には、アメリカを介したこうしたイスラエルとの新たな関係があったのです。(「私の沖縄日記―広島編」2015-01-27

友よ。想おう。「・・・・・私がある場所について語るとき、その場所は消滅している。/私があるについて語るとき、その人はもう死んでいる。/私が時間について語るとき、時間はすでに存在しない」(
J.Bなぜ、すべてがすでに消滅しなかったのか』塚原史訳筑摩書房)。やつら野蛮というなら、サイクス・ピコ協定はもっと野蛮ではなかったか。やつらが極悪非道というなら、米軍のイラク爆撃はその数万倍も残忍ではなかったか。ファルージャでなにがなされたか。やつらがペテン師というなら、ABとその仲間は、まけずおとらずの暴力的詐欺師集団ではないか。ABとその仲間は、沖縄の選挙結果をまったく歯牙にもかけず、暴力的に基地建設をすすめている。いまなにがもっとも危険なのか。いまどんな危険がせまっているのか。人びとはABをえらんだことのツケを今後、延々としはらわなければならない。そして、ABがもっともらしくある人について語るとき、その人はもうすでに死んでいる。(辺見庸「日録1-5」2015/01/27

・ある週刊誌から電話取材。政府の対イスラム外交について。イスラム国も安倍政府も「それぞれの国内に、敵陣営とのコネクションを持っていて、『落としどころ』を探って調停できる勢力がいることを望まない」という点では相似形であるというお話をしました。こういう事態で反政府的・反権力的言論がきびしく指弾されるのは、それが「敵陣営内の穏健派」からすると唯一の「取り付く島」となるからです。どんな国にも「戦争をしたがる勢力」と「話し合いでなんとかしたい勢力」が拮抗しています。後者同士のパイプだけが戦争を止めることができる。70年代後半、世界の若者たちの間で反米気運が高まった後、針はいきなり親米に振れました。理由の一つはアメリカの「
カウンターカルャーへの共感でした。ヒッピームーブメントのような反権力的な運動が存在しうるという事実がアメリカの「健全性」への信頼を担保したのです。ハリウッドが大統領やCIA長官が「悪の元締め」である映画を飽きるほど作り続けているのは、「そういう映画が許される国」である方が「そういう映画が絶対に作られない国」よりも国際社会において「対話能力が高い」と評価されることを知っているからです。(内田樹Twitter 2015年1月27日

・期限が近づいている。(官房機密費からイスラム国の要求を満たす身代金が支払われるという真偽不確かな裏情報を得たが)どういう手段方法でもいい。今は何とか後藤さんが生きて解放されることを祈るばかりである。私たちはアメリカ人ではない。国家の存立とメンツより、ひとりの人命を優先する。(
藤原新也「Shinya talk」2015/01/28

・「イスラム国」は
後藤健二さんを殺害したとみられる動画を、1日、インターネット上に投稿した。事実であれば、この暴挙は絶対に許すことができない。黒覆面の戦闘員は「このナイフは…さらに虐殺をもたらすだろう。日本の悪夢が始まる」と言い放つ。いかに「イスラム国」と対し、どうやって平和的にテロの連鎖をなくすか、私たちは真剣な議論と対応が求められている。1月26日に85歳で逝去された憲法学者の奥平康弘さんは、前日、自宅のある東京・調布市で、<調布九条の会「憲法ひろば」>創立10周年記念のイベントに出席し、作曲家の池辺晋一郎さん、教育研究者の堀尾輝久さんと鼎談。その中で、「イスラム国」による邦人人質事件に関連し、安倍首相が進める「積極的平和主義」について、「これは平和主義ではない。一言でいえば<戦争への道>を開くことであり、この流れの中での人質事件であることをよく見るべきだ」と述べていた。そして1月31日、ドイツのワイツゼッカー元大統領が、94歳で死去した。自国が侵したホロコーストの罪と罰に向き合い、「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」と述べた彼の演説を、今こそ私たちはかみしめたい。戦後70年、安倍首相は村山談話を骨抜きにし、さらに「憲法九条」を削ろうと、虎視眈眈としているだけに。(Daily JCJ【今週の風考計】2015/2/1

・憎しみと暴力の連鎖から生まれた最悪の結果に絶句するしかない。この結果が、さらなる憎しみと暴力を引き寄せる原因になるのではないかと心配している。(
「想田和弘Twitter」2015年2月01日

・イスラム教過激派組織「イスラム国」が1日早朝、拘束中の
後藤健二さんを殺害したとする映像をインターネット上に投稿した。映像は、「日本政府へのメッセージ」という一文から始まり、後藤さんとみられる男性と、ナイフを持ったイスラム国の戦闘員とみられる黒づくめの男が映っている。男は英語で、日本政府はイスラム国の力を理解しなかったと話し、安倍晋三首相に対し「勝ち目のない戦争に参加するというお前の無謀な決断のために、このナイフが、ケンジ(後藤さん)を虐殺するだけでなく、お前の国民がどこにいても、虐殺を起こしていく。日本にとっての悪夢が始まる」などと述べた(メッセージ全文 )。その後、男は後藤さんの首にナイフを突きつけ、映像は暗転、男性の遺体が映し出された。映像の左上にはイスラム国のロゴが付いているが、日本政府は映像の信ぴょう性を急いで確認していると伝えられている。(略)安倍晋三首相も同日朝、声明を発表。(略)テロ行為を「許しがたい暴挙」と非難。今後もテロに屈せず、中東への人道支援は継続して行い、テロと闘う国際社会と協力していくと述べた。(クリスチャントゥデイ 2015年2月1日

・引用者注:が、「
カイロでの安倍総理の演説今回の事件の引き金になった」など安倍外交の拙速と愚かしさを批判する声は決して少数派ではありません。

・後藤健二さんが殺害された映像が流れ、二人とも殺される最悪の結果となった。斬首という残酷な処刑方法に慄然とする一方で、今後の日本の進路と日本人の安全を考えると非常に心配になる。今回の事件は、「日本にとっての9.11」と言われている。日本が、米英とならぶ「イスラム国」の「敵」とされ、日本人がテロの標的とされる大きな転機になったからだ。後藤健二さんの処刑者が読み上げたメッセージは以下だ。《日本政府へ。お前達は悪魔の有志国連合の愚かな同盟国と同じだ。我々が、神の恵みにより、権威と力を備え、お前達の血に飢える軍隊を持つイスラム・カリフ国であることをまだ理解し­ていない。安倍よ、勝ち目のない戦いに参加するというお前の無謀な決断のために、このナイフは健二を殺すだけでなく、お前の国民を場所を問わずに殺戮し続けるだろう。日本にとっての悪夢を開始しよう。》「イスラム国」のインターネットラジオは1日、「イスラム国は期限が来たあと、2人目の日本人の人質を殺害した。広報部門の『フルカーン』を通じて、日本人の捕虜の後藤健二の映像を公開した。日本が、イスラム教徒に対する『十字軍』の同盟に参加したからである」と述べた。場所を問わずに日本人を狙う、日本にとっての悪夢がはじまるとはっきり表明している。シリア周辺国にいる日本人は厳重警戒すべきだ。国境周辺には多くの日本人取材班がいるが、早く引いた方がいいかもしれない。また、その他のイスラム過激派が活動している諸国を旅行中の日本人も注意すべきだ。「イスラム国」への忠誠・支持を表明した組織は、世界15か国に29組織もある。「イスラム国」を叩けば済むという話ではないのだ。大変な時代に突入した。きょうという日は、歴史に刻まれる日になるだろう。(
高世仁の「諸悪莫作」日記 2015-02-01

第一次世界大戦後の英国の中東政策はかつて、「三枚舌外交」とよばれたほどにインチキだった。屈辱の記憶は各所で爆発しつつある。約100年もまえの列強の不正の数々に「われわれ」は責任を負えはしない。けれども、わたしは「われわれ」ではない。とりわけ、Aのしつらえる「われわれ」にくみすることはできない。〈陰惨な言語不通状態〉を嘆くまえに、米国とその有志連合にたいするひとびとの憎悪と不信の深さとその由来を知るべきではないのか。Aの凶相はつとに今日の到来をやくそくしていた。そうではないか。悲劇の招来は目にみえていた。かけがえのない人命よりも、Aは米国と有志連合への信義を優先した。かよわい人命よりも国家意思をためらいもなくえらんだ。それじたいが憲法違反ではないか。Aに〈悲劇の主人公〉を演じさせてはならない。Aが〈殺す風〉の風上にいたのはあきらかだ。あの命をすくうためになにをしたというのだ。どれほど懸命に工作し腐心したというのだ。そうすれば危機に瀕したあの命がどうなるのかを知りつつ、米国と有志連合側に、これみよがしにすりよったのは、いったい、どこのだれだ?かれはいま内心ほくそえんでいる。労せずして9条を扼殺できると。9条のないニッポンは、ただの〈ゴロツキ国家〉になるだろう。われわれはAの「われわれ」ではない。われわれは、消されたあの命につながる、ひとりひとりのわたしである。(辺見庸「日録1-5」2015/02/01
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