共産党はもはやかつての社会変革の志を忘れて「感情の劣化」したこの国の世情に迎合する単なるポピュリズム政党に成り果ててしまったのか。と、そう思わせる「事件」が起きました。「Everyone says I love you !」ブログを主宰する徳岡宏一朗弁護士は同事件を「池内ツイート削除事件」と名づけています。スポ
ーツ報知によれば同事件の概要は次のようです。
 
共産党の志位和夫委員長(60)は26日の記者会見で、過激派「イスラム国」による人質事件をめぐり、安倍政権を批判した同党の池内沙織衆院議員(32)に苦言を呈した。共産幹部が政権批判を戒めるのは異例だ。池内氏はイスラム国に拘束された湯川遥菜さん(42)とみられる男性が殺害されたとされる画像がインターネット上に公開された直後の25日、自身のツイッターに安倍政権を批判するつぶやきを投稿した。安倍首相が「テロ行為は言語道断であり、許し難い暴挙」と述べたことを念頭に「こんなにも許せないと心の底から思った政権はない」とつぶやいた。さらに、「『ゴンゴドウダン』などと壊れたテープレコーダーの様に繰り返し、国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権」とした上で「安倍政権の存続こそ、言語道断。本当に悲しく、やりきれない夜。眠れない」と続けた。イスラム国に対する抗議や非難などのつぶやきはなかった。この投稿をめぐり、ネット上では厳しい批判が相次ぎ、池内氏は同日中にツイートを削除していた。志位委員長はこの日の会見で、「政府が全力で取り組んでいるさなかだ。今、あのような形で発信するのは不適切だ」と指摘。「残虐非道な蛮行を非難する。日本政府は人命最優先であらゆる可能性を追求して、解放のために全力を尽くしてほしい」とした。池内氏は削除の理由を「不適切と考え、削除しました。お詫びいたします」と投稿した。国会が召集されたこの日、池内氏は国会前で共産党議員団とともに労働組合などから陳情を受け、「憲法9条改正反対」「消費税率引き上げ反対」などとシュプレヒコールを上げた。池内氏は中大卒業後、共産党に入党。昨年12月の衆院選で東京12区から立候補し、落選したが比例復活した。(スポーツ報知 1月27日
 
さて、共産党の志位委員長が同党の池内沙織議員のツイッター発言を批判したことは正しいことか? 「日本共産党という政党ってこんなに弱腰の政党なんだ、志位委員長ってこういうリーダーなんだと、私は驚きました」というのが徳岡宏一朗弁護士の感想です。その上で徳岡弁護士は次のような意見を述べます。
 
このツイート、議員さんが党首に怒られるほどの酷い内容ですか?(略)このツイートの言いたいことは、安倍首相が「イスラム国」の拉致や殺害を言語道断、言語道断と批判するけれども、自分は国の内外で人命軽視しているからこんな事態になった、政権を維持していることがむしろ言語道断、ということでしょう?(略)志位委員長は挙国一致で難事に当たるべきという世論を恐れ、これに迎合したのではないか
 
民主主義社会とは、政府に対する国民の監視や批判が行われて初めて正常に機能するのです。今の日本で起きている言論表現の萎縮は、戦時下におけるそれとそっくりです。全野党揃って政府批判を控えるなどという事態は、戦前の大政翼賛会そのものではないですか。そんな時こそ、普段の舌鋒鋭い権力批判をしなければいけない共産党が真っ先に自粛してどうするんですか。(略)日本の世論が1番操作され、統制されそうなこの大事な時期に、かたや政府には恭順の意を表するかのような態度を示し、世論の批判を受けたら内部で言論を統制してしまうというのでは、存在価値ゼロではないですか。これじゃあ、「不確かな野党」です。
 
この徳岡宏一朗弁護士の意見に賛同する人は決して少なくありません。徳岡弁護士の意見を自身のブログで紹介している猪野亨弁護士も「私も日本共産党の姿勢は宮武先生(引用者:徳岡弁護士のペンネーム)の見解に賛同するもので、日本共産党までもが「大政翼賛会」に合流するとは何たる大衆迎合か」とまで述べています。
 
映画監督でジャーナリストの想田和弘‏さんも徳岡弁護士、猪野弁護士と同様の意見を述べています。
 
「国家の一大事だから今は政権批判を控えろ」という言説には全く賛同できない。そんな言い分を認めてしまったら、仮に日本が他国と交戦状態にでもなったときに政権批判ができなくなってしまう。それは翼賛体制に入ることと同義。むしろ国家の一大事にこそ自由な批判ができなくては危なくて仕方が無い。(想田和弘Twitter 2015年1月26日
 
元新聞記者の「私の沖縄日記―広島編」ブログの主宰者も次のような意見を述べています。
 
「イスラム国」による人質事件は予断を許さない状況が続いています。後藤健二さんの早期解放はもちろん急務です。同時に、この問題で安倍政権への批判を控えようとする風潮があることは見過ごせません。(略)共産党が安倍首相を批判した自党の国会議員を逆に批判するなどはその表れでしょう。後藤さんの解放要求とともに、事態の背景・根本問題、安倍政権の責任を今こそ問わねばなりません。」(私の沖縄日記―広島編 2015-01-27
 
「池内ツイート削除事件」とは直接的には関係しませんが、「日本人人質」問題について安倍政権批判が必要であるという認識では「kojitakenの日記」主宰者の以下の論も同じです。
 
・どう考えても安倍晋三の失言がイスラム国の湯川遙菜氏殺害を招いた
kojitakenの日記 2015-01-27
 
さらに高世仁さんの下記のブログによれば、いま「イスラム国」問題で「時の人」となっている感のある常岡浩介さんもこの2、3日の番組前の打ち合わせでディレクターやキャスターなど番組担当者から「安倍政権批判はしないでください」とクギをさされることが多くなったとい言います。「悪いのはイスラム国でしょ、いま国民は団結すべきで、政府を批判するときじゃないでしょ」、と。「このムード、気持ちが悪い。(略)これ以上、安倍内閣が間違わないよう、批判は続けられるべきだ」というのが高世さんの意見です。
 
・「政権批判はするな」とクギをさされた常岡さん
高世仁の「諸悪莫作」日記 2015-01-26
 
私は先に「『凡庸』という病について」(2015.01.10)という記事で天皇を「天皇のお話」「陛下」などと最高敬語で遇して恥じない小池晃日本共産党副委員長のツイッター発言を批判しましたが、同党の志位委員長はこの小池晃氏のツイッター発言についてはなんらの批判も削除要求もせずに政府の対イスラム外交に関して当然の安倍首相批判をした池内沙織衆院議員のツイッター発言については批判をするというまるで逆向きの対応をしてこの人も恥じるところはないようです。共産党は志位執行部体制になって激しく「右傾化」傾向(あるいは「ポピュリズム」傾向というべきか)を強めています。というのは、半世紀近い共産党支持者(約10年間の専従としての共産党員時代を含む)としての私の判断ですが、いまのままでは共産党の「存在価値ゼロ」というのがさらなる私の判断でもあります。志位執行部体制は変革されなければならないでしょう。共産党員のみなさんにあえて強く提言しておきたいと思います。
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