リコール費用4億5千万円 ほかに使えば何ができる?(中日新聞 2010年9月18日)

 4億5千万円?。名古屋市の河村たかし市長が先導する市議会解散請求(リコール)運動で必要な署名数が集まった場合、住民投票までにかかる費用だ。実は、リコール不成立でも市議会は来年4月に任期満了を迎える。選挙を2カ月、早めるためだけの税金の無駄遣いか、民主主義のコストなのか。そもそも、このお金があれば何ができるか。市の予算を基に試算した。

■待機児童

 定員超過の状態が続く市内の保育所。入園を希望しながらかなわない待機児童は4月現在で約600人、潜在的な需要も加えると2400人に上る。

 民間の保育所を整備すると、国の補助制度があるため、市の負担は1園あたり1300万円で済む。4億5千万円なら34園を整備できる計算だ。90人定員で3060人が入所でき、問題を一気に解消できる。

■給食費

 小学生の給食費は各家庭が毎月、児童1人につき3800円を負担している。4億5千万円を充てると、1年間は月額3470円と、300円程度の値下げになる。

 中学生の半数が利用するスクールランチ。1食280円で、ほぼ全員がスクールランチを食べた場合の30日分に相当する。「スクールランチ月間」と銘打ち1カ月間、生徒に無料で食べてもらう試みも可能だ。

■敬老パスなど

 市の公共交通機関が乗り放題となる敬老パス。65歳以上なら、収入に応じて年1000?5千円で入手できる。45%の「値下げ」ができ、550?2750円まで引き下げられる。

 名古屋港水族館の人気者の雌シャチ「ナミ」を和歌山県太地町から譲渡してもらった際には5億円を支払った。5千万円を上積みして雄シャチを購入し、繁殖に期待するアイデアも夢ではない。

 ちなみに、河村市長と市議会の間で激しい応酬が続く議員報酬(制度上は年1600万円)と、第2報酬とも指摘される政務調査費(同600万円を会派に支給)に置き換えると、市議20人分に当たる。一方、市長が引き下げた自身の給与(800万円)だと任期14期分(56年)となる。

<リコールの費用> 名古屋市選管の試算によると、提出されたリコール署名が有効かどうかを審査する人件費などに5000万円が必要。その後、住民投票を行うことになれば、職員の超過勤務手当やはがきの作成などで4億円がかかる。リコール成立なら市議選は来年2月ごろに実施される見込みで、任期満了の場合の2カ月前倒しとなる。

まったく何をかいわんやです。武田某の河村市長指揮する市議会解散投票礼賛の論は中日新聞が指摘する上記のような良識的な論を一切無視した上で成り立っているコケオドシの論といわなければならないでしょう。

一方、こうしたコケオドシの河村市政、大村県政礼賛の論を小気味よく批判する市民の論ももちろんあります。そうした論の中からこれも1、2の論を紹介しておきます。

河村たかし・大村秀章一派が完勝! だが勝負はこれからだ(きまぐれな日々 2011年2月7日)
名古屋市長に再選された河村たかしは、「減税vs.増税」を政治の対立軸にするのだという。だが、当ブログで繰り返し主張しているように、これはまやかしの対立軸であり、国政で消費税増税路線を推進する菅直人や与謝野馨と、地方で減税を訴えて首長選に圧勝した河村たかしや大村秀章は「同じ穴の狢」である。要するに与謝野や菅が金持ちを優遇して貧乏人から税金をむしり取ろうとしているのに対し、河村や大村は、これまでにも十分すぎるほど優遇されてきた金持ちの負担をさらに軽くしようとしているに過ぎない。

今回の選挙結果を受けて、社民党の保坂展人氏は自らの所属した政党が推薦した候補が惨敗したことには何も触れずに、河村たかしに妙に親和的なブログ記事を公開するという、ふがいない姿をさらしている。また、(略)河村たかしと訣別した元ブレーンにして、90年代の「政治改革」を主導した学者の一人である後房雄氏は、

  河村=大村陣営には小沢グループの秘書たちが支援に入っていたということですから、
  小沢氏の動きとも水面下で連動しそうです。

と書いている(略)。/後氏は、『最悪のシナリオだ』とか『地方議会のこれまでの実態、民主党政権の惨状から見れば自業自得』などと書くのだが、ご自身が『二大政党制』を目指した90年代の政治改革を旗振りしたことや、河村たかしのブレーンをつとめたことの責任をどう考えているのかと言いたくなる。

河村・大村圧勝は「いつか来た道」(Afternoon Cafe 2011年2月7日)
「減税を阻む悪の議会を倒す庶民革命」/「減税か増税かを問う」/完全なるワンフレーズポリティクスの勝利です。/まんま小泉手法引き写しです。/もちろん名古屋市議会は批判されるべき点が色々あったでしょう。しかし市民の不満とリコール制度を逆手にとって、自分に従わない議会を悪玉に仕立て上げ解散させるとは、狂気の沙汰です。

カワムラシがやったことは「自分に賛同する御用議会以外は許さない」ということであり、もはや議会の存在否定です。これをファシズムと言わずして何というのでしょうか。/カワムラシはこれをいかにも庶民のための民主主義を実現させる行動であるかのように装うわけですから、許されない詐欺です。

さて、3月24日の告示まであと44日と迫った東京都知事選についてです。いまのところ同知事選に名乗りをあげている候補者は共産党の小池晃氏ひとり(明日9日に正式表明予定。時事通信、2011年2月8日付)。

今日8日開会の都議会の施政方針演説で都知事選出馬を表明するのではないかと去就の注目されていた石原慎太郎現知事については、石原の長男の自民党幹事長の石原伸晃が石原の出馬表明の代わりに今日8日午前の記者会見で「幹事長としてはぜひ出ていただきたい」と石原現知事に自民党として正式に近く4選出馬を要請する意向を明らかにしました(毎日新聞、2011年2月8日付)ので、石原はおそらく近く都知事選出馬を正式表明することになるでしょう。

これも都知事選出馬の去就が注目されていた宮崎県前知事の東国原英夫は25日に東京都内のホテルで会合を開き、その席で都知事選への立候補を表明する手はずになっているようです(読売新聞、2011年2月5日付)。

民主党の都知事選への対応はいまひとつ明確ではありませんが、同党の「岡田幹事長は3日の記者会見で、4月の東京都知事選で他党が擁立した候補に相乗りする可能性について『基本的にそういったことは考えていない』と否定」(日本経済新聞、2011年2月3日付)していることから、蓮舫行政刷新相を中心に同党の独自候補の出馬の可能性を探っているものと見られます。

いま、革新勢力唯一の候補として立候補表明している小池晃氏(共産党系無所属)を勝手連をつくって応援しようという運動が構築されようとしていますが、そうした運動の趣旨はよく理解できるし、そうした運動が高まっていくことを私も期待しますが、失礼ながら私は小池晃氏(共産党系無所属)ひとり(一党派)の単独の力では前回(2007年)都知事選の投票結果を見れば明瞭だと思いますが都知事選への確実な出馬が予期される石原慎太郎にも東国原英夫にも遠く及ばないだろうと思います。

前回(2007年)都知事選の上位4人の投票結果は次のようなものでした。

当選 石原慎太郎 2,811,486 51.06%
    浅野史郎   1,693,323 30.75%
    吉田万三    629,549 11.43%
    黒川紀章    159,126  2.89%

前回知事選での石原の獲得得票数は吉田万三氏(共産党系無所属)もよく健闘したものの同氏の獲得得票数の実に4倍以上、5倍近くもあります。このままではふつうに考えて小池晃氏(共産党系無所属)は石原慎太郎にも東国原英夫にもおよそ太刀打ちできないでしょう。

石原や東国原と互角に太刀打ちするためには小池晃氏の闘いを決して単独(一党派)の闘いにしないことです。幸いいわゆる革新陣営の陣容の中には無党派層を中心とした「東京“待ったなし!”アクション(前東京。をプロデュース?)」やマガジン9の活動もあります。こうした無党派層の活動媒体と手をつなぎ、石原ポピュリズム都政打倒の声を大きく高めていく必要があるでしょう。

いまさら悠長なという気もしないではありませんが、決して遅くはありません。「マガジン9」は「私はこの人を都知事に推薦します」という大募集運動を展開していますが、最新号では次のような宣言をしています。「多彩な顔ぶれが出そろってきたところで、本気で『マガ9推薦』候補者を考えたい!」。

また、「東京“待ったなし!”アクション(前東京。をプロデュース?)」も「わたし達は、市民と共に都政を動かす都知事候補を立てたいと考えています。(略)そこでこのページでは、推薦したい方のお名前を挙げていただくことをお願いします。/それらの世論数字も持って立候補交渉を加速していきたいと考えております」と宣言しています。

これらの運動を合流させ一本化させることが重要です(上記で私が批判した植草一秀さん、天木直人さん、保坂展人さんなど本来革新的な志向を持つ論者ももちろん含めてのことです)。「マガジン9」も「東京“待ったなし!”アクション」も「石原都政ストップ」を最大、最強の合言葉にして場合によっては現段階で革新勢力唯一の候補として名乗りをあげている小池晃氏を革新共同の候補として擁立する度量を見せる必要があるだろうと思います。もしくは誠心誠意努力してすでに革新候補を擁立している共産党をも納得させることのできる新たな革新共同の候補者を擁立させることです。対共産党、対社民党のような関係になっては断じていけません。対共産党、対社民党の関係を乗り越えた革新共同の擁立に繰り返しますが誠心誠意努力することです。

一発大逆転ホームラン(一発大逆転ホームランとは新たな候補者の擁立を必ずしも意味しません。みんなが共闘できる(できうれば民主党も)革新共同候補を実現するという意です)が飛び出ることを私は期待します。

その一発大逆転ホームランを打ちえるかどうかは、私はどうしても石原反動都政をストップさせたいという市民(都民)の打算なんかとは縁もゆかりもない必死、捨て身の願いと力にかかっているように思います。
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