今日の言葉(「私」と総選挙)20は浅井基文さん(政治学者、元外交官)の「衆議院総選挙:世論調査の怪(?)と本当の問題の所在」という論攷のうちその1「世論調査の怪(?)」とその2の「本当の問題の所在」。
 
浅井さんは、「今回の総選挙の結果に関しては自民党の一人勝ちを許す有権者の投票行動になりそうだ」というメディアの「世論調査の怪(?)」について次のように言います。
 
「なぜこのような一見理解不能の現象が現れているのでしょうか。明らかなことは、安倍政権ひいては自公政治に対して主権者・国民が期待をつないでいるということではあり得ません。原因としては、主権者・国民が野党に対して「自民党以上に期待が持てない」と判断しているということ以外にありません。」
 
「いったんは政権をとった民主党の惨憺たる結果の後遺症は、ひとり民主党の党勢挽回を不可能にしているだけではなく、民主党に対する期待を込めて投票した主権者・国民を幻滅させ、今日なお深い傷跡を残しているということです。」
 
「安倍政治に対する反対、政権交代の必要性を叫ぶだけでは、主権者・国民の投票を引きつける力はもはやないのです。」
 
「しかし」、と浅井さんは、最後に以下のような言葉を付け加えます。

「しかし、本当にすべての野党がだらしなく、ダメなのでしょうか。そうではなく、主権者・国民が「野党は全部ダメだ」と考えてしまうところに本当の問題があるのではないでしょうか」。

「本当の問題」とはなにか? 下記の「2.本当の問題の所在」の浅井さんの問題提起をお読みください。
 
衆議院総選挙:世論調査の怪(?)と本当の問題の所在
(浅井基文 2014.12.6)から。
 
1.世論調査の怪(?)
 
近ごろのマス・メディア各社の世論調査の結果を見ていると、一見理解不能の現象が現れています。それは、安倍政権に対する支持は軒並み低下している一方で、今回の総選挙の結果に関しては自民党の一人勝ちを許す有権者の投票行動になりそうだというものです。
 
例えば、共同通信が11月30日に明らかにした世論調査によれば、安倍政権に対する支持率は43.6%であるのに対して不支持は47.3%であり、2012年末に安倍政権が登場して以来はじめて不支持が支持を上回ったと指摘されました。しかも、アベノミックスに対する評価に関しても、回答者のなんと84.2%もの人が経済回復の効果を実感していないと答えたというのです。それだけではありません。集団的自衛権の行使に関しても、回答者の53.3%が反対、安倍政権が推進しようとしている原子力発電再開に対しても過半数の国民が反対です。ほかの世論調査の結果もほぼ同じ結果です。
 
なぜこのような一見理解不能の現象が現れているのでしょうか。明らかなことは、安倍政権ひいては自公政治に対して主権者・国民が期待をつないでいるということではあり得ません。原因としては、主権者・国民が野党に対して「自民党以上に期待が持てない」と判断しているということ以外にありません。

いったんは政権をとった民主党の惨憺たる結果の後遺症は、ひとり民主党の党勢挽回を不可能にしているだけではなく、民主党に対する期待を込めて投票した主権者・国民を幻滅させ、今日なお深い傷跡を残しているということです。
 
しかも、その後の野党乱立現象も多くの主権者・国民にとっては、「分けのわからないコップの中の嵐」以外の何ものでもなく、ますます「野党」勢力に対する幻滅感を深める方向に働いていると思われます。そこにおけるカギとなるポイントは、主権者・国民が「なるほど、そうか」と頷けるだけの、政治の逼塞状況を本当に打破し、打開できるに足る政策を多くの野党が示し得ていないことにあります。安倍政治に対する反対、政権交代の必要性を叫ぶだけでは、主権者・国民の投票を引きつける力はもはやないのです。
 
2.本当の問題の所在
 
しかし、本当にすべての野党がだらしなく、ダメなのでしょうか。そうではなく、主権者・国民が「野党は全部ダメだ」と考えてしまうところに本当の問題があるのではないでしょうか。

端的に言えば、民主党、維新、次世代、改革などは「目くそ鼻くそ」だとは私も思いますが、共産党は違うと思うのです。正直言って、私は共産党のすべての政策に同意し、納得しているわけではありません。特に領土問題、朝鮮問題、中国問題、ロシア問題などの外交問題に関しては、共産党の認識・主張・政策について基本的に強い意見があります。それらの点については、このコラムでも指摘してきました。しかし、憲法をはじめとする内政問題の多くと平和・安全保障問題に関しては、共産党の主張・政策は説得力のある内容があります。

端的に言えば、自民党政治・自公政治に対する主権者・国民の批判の受け皿は共産党であるということです。これも各種の世論調査が一様に示しているように、今回の総選挙に当たって、共産党に対する支持は広がっているようです。比例で共産党の議席が倍増する可能性も指摘されるようになりました。それは一つの肯定的変化です。

しかし、さらに厳粛な事実は、圧倒的により多くの主権者・国民が「共産党及びその候補に投票する」という態度決定に踏み切れていない、もっと率直に言えば、そのような可能性は考慮の中に入っていないことです。

その原因はもちろん共産党自身にもあると思います。共産党を「毛嫌い」し、批判する人々の多くから私がよく耳にしてきたことは、「共産党は独善的だ」とか、「代々木の言いなりに動く末端も排他的」という言葉です。歴史的な社共対立の歴史が今日まで影を落としている面も否定できません。それらの根底にあるのは歴史的にすり込まれてきた「アカ意識」であり、「既成事実という現実に弱い」私たちの国民性です。

しかし、安倍政治に代表される今日の保守政治(私は民主、維新、次世代、改革も含めています)の危険性はいまや、日本の進路を決定的に誤らせ、日本を世界的孤立に追いやる段階に来ていることは間違いありません。私たち主権者・国民が今度の総選挙でまなじりを決した投票行動に踏み切ること、即ち大挙して共産党(比例)及びその候補(小選挙区)に日本の進路を託してみるという意思決定のみが保守政治の暴走をチェックできると確信します。

共産党は信用できないという人も少なくありませんが、共産党が大躍進して主権者・国民の信託を裏切ることがあれば、その時は私たちが改めて共産党を懲らしめれば済むだけの話です。共産党自身は、議席が倍増すればそれだけで有頂天に喜ぶのだろうとは思いますが、それだけでは日本の政治の流れを変えることはできません。自民党が目の色を変えるだけの共産党の大躍進が日本政治をこれ以上誤らせないためには不
可欠です。
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