「今日の言葉」(「私」と総選挙)は昨日の「今日の言葉」の続版。
 
朝日新聞は28日の「選挙報道『公正に』 自民、TV局に文書 街頭インタビューにも言及」に続いて29日は「衆院選:TVへ要望―政権党が言うことか」という社説を掲げました。また、毎日新聞は、自民党のテレビ局「選挙報道」干渉問題に続くあらたな事態として「テレ朝『朝生』:荻上チキ氏らの出演拒否」という記事を報道しました。さらに同「出演拒否」問題について、出演中止の通告を受けた当人としての「荻上チキ『朝生テレビ!』出演中止の経緯」という記事。さらにまた、このあらたな「選挙報道」自粛版というべき事態についての想田和弘さん(映画監督)と國分功一郎さん(哲学者)の感想。そしてさらに、この国のメディアの「選挙報道」には堂々と干渉宣言をしながら、逆にメディア統制が効かない外国特派員協会の記者会見には出席拒否をするという自民党の反民主主義体質を報じるAFP記事(この問題に関しては日本のメディアの報道はなかった模様です。したがって、この問題については外国記事のみの紹介になります)。
 
以上で、私のいわんとしたいことは表題のとおり。すなわち、「言論弾圧で恐ろしいのは下から起こる言論の自粛と萎縮だ」(國分功一郎さん)ということです。

なお、昨日の「今日の言葉」は以下。
 
今日の言葉(「私」と総選挙)9 ――自民党が選挙報道に厳しい干渉を加えている。メディアは、海外の高名なジャーナリスト(ウォルフレン)に指摘されるまで沈黙を守っていた。この国のメディアは、既に全身麻痺状態である。

昨日の記事の追記として:
放送法の文言をひいて「公平中立」を求めているが、実態はテレビ局への恫愒だ。しかも、以前のテレビ局の報道を「偏向報道」と批判している。アベノミクスに批判的な識者を出演させないよう予防線を張っているともとれ、焦りも感じる。政権担当者は批判されるのが当たり前なのに、自分たちの都合のよい報道を求めるのは危険な行為だ。(毎日新聞 2014年11月27日)
今回の文書は中身に問題がある。一般的に公平な報道をお願いするものではない。出演者の発言回数やテーマについて特定の意見が集中しないように求めるなどかなり具体的に介入した文書であり、報道が萎縮するような圧力になっている。もちろん、報道がある政党に対して肩入れをすることはあってはならない。しかし、公平公正というのは問題を足して2で割るという話ではなく、権力を持っている政権の問題を指摘し、時間をかけて課題を議論することは報道としては健全だ。(朝日新聞 2014年11月28日)


以下、「今日の言葉」(「私」と総選挙)。
 
朝日新聞社説「(衆院選)TVへ要望―政権党が言うことか」(2014年11月29日)から。
 
衆院選の報道について、自民党がテレビ局に、〈公平中立〉〈公正〉を求める「お願い」の文書を送った。総務相から免許を受けているテレビ局にとって、具体的な番組の作り方にまで注文をつけた政権党からの「お願い」は、圧力になりかねない。報道を萎縮させる危険もある。見過ごすことはできない。自民党の萩生田光一・筆頭副幹事長と福井照・報道局長の名前で出された文書は、20日付で在京の民放キー局5社に送られた。NHKは来ているかどうか明らかにしていない。文書は、過去に偏った報道があったとしたうえで、出演者の発言回数と時間▽ゲストの選定▽テーマについて特定政党への意見の集中がないように▽街頭インタビューや資料映像の使い方の4点を挙げ、公平中立、公正を期すよう求める。選挙の際、報道機関に公正さが求められるのは当然だ。なかでもテレビ局は、ふだんから政治的に公平な番組を作らねばならないと放送法で定められている。日本民間放送連盟の放送基準、各局のルールにも記されている。政権党が改めて「お願い」をする必要はない。文書には〈具体名は差し控えますが、あるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事実として認めて誇り、大きな社会問題となった事例も現実にあった〉ともある。1993年のテレビ朝日の出来事を思い浮かべた放送人が多いだろう。衆院選後の民放連の会合で、報道局長が「反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようという考え方を局内で話した」という趣旨のことを言った問題だ。仲間内の場とはいえ、不適切な発言だった。局長は国会で証人喚問され、テレビ朝日が5年に1度更新する放送局免許にも一時、条件がついた。ただし、放送内容はテレビ朝日が社外有識者を含めて検証し、「不公平または不公正な報道は行われていない」との報告をまとめ、当時の郵政省も「放送法違反はない」と認めた。文書がこの件を指しているとすれば、〈偏向報道〉は誤りだ。放送に携わる者の姿勢が放送局免許にまで影響した例を、多くの人に思い起こさせた威圧効果は大きい。選挙になるとテレビ局には与野党から様々な要望が寄せられるという。テレビ局は受け取った要望書などを、公平に公表してほしい。有権者にとっては、そうした政党の振る舞いも参考になる。
 
毎日新聞「テレ朝『朝生』:荻上チキ氏らの出演拒否」(2014年11月29日)から。
 
テレビ朝日系の討論番組「朝まで生テレビ!」(29日未明放送)で、出演する予定だった評論家の荻上(おぎうえ)チキさんら政治家以外のパネリストが、局側の意向で出演を取りやめていたことが28日、わかった。各党の議員と文化人らで衆院選について討論する予定だったが、「中立、公平性の担保」を理由に、荻上さんらが出演を断られたという。荻上さんによると、21日に出演を依頼されたが、27日になってテレビ朝日の番組スタッフから電話があり、各党議員と荻上さんらゲスト数人という出演者の構成について「ゲストの質問が特定の党に偏る可能性などがある」との理由で、議員のみの出演に変えると伝えられた。番組スタッフからは「局の方針と(人選した)番組制作側の方針が一致しなかった」と説明されたという。ほかに、タレントの小島慶子さんの出演も取りやめになった。【黒川晋史】
 
「荻上チキ『朝生テレビ!』出演中止の経緯」(荻上チキSession-22(2014年11月29日)から。
 
12月1日(月)に放送予定の「政治とメディア」の参考資料として、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」への出演が急遽中止になった経緯について、 荻上チキが語った11/27(木)のオープニングトークを配信します。2014年11月27日(木)オープニングトークをポッドキャスティングで聴く(上記URLをクリック)。
 
想田和弘Twitter(2014年11月29日)から。
 
あの恫喝文書が効いているようだ。報道機関として情けないとは思わないのだろうか。→テレ朝:「朝生」で評論家の荻上チキ氏出演中止 - 毎日新聞
 
國分功一郎Twitter(2014年11月29日)から。
 
言論弾圧というと検閲など、上からの抑圧を想像してしまうが、そうした抑圧に人は敏感である。だから支配層はむしろそうした直接的な権力行使を避ける。恐ろしいのは自粛と萎縮だ。下から起こる言論への制約である。これを引き起こすのは簡単だ。人々にもしかしたら罰せられるかもと思わせればいい。
 
 
AFP「メディア統制が効かない外国特派員協会の記者会見を自民党が拒否」(2014年11月28日)から。

英文省略。
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