内藤正典さん(同志社大学教授)が本日付けの毎日新聞のインタビュー記事を読んで、瞬時にそのインタビューの発言の主を「曲学阿世と言わざるを得ない」とツイッターで論断しています。インタビュー発言の主は東京外語大教授の青山弘之氏(毎日新聞 2014年10月18日)。私は内藤さんの真率の論を支持します。その真率の論にたとえば若き日に国木田独歩の掌編小説『春の鳥』を読んだときのように私は打たれました。
 
内藤正典Twitter(2014年10月18日)から。
 
ムスリムがなぜ暴力に訴えるのか理解不能だというのはよく分かります。そもそもなぜ怒るのも分からないかもしれません。隣国との関係さえ、なぜここまでこじれたかを、一方の責任に帰そうとする今の日本に状況では、耳に心地よい言葉しか響かないからです。しかし、それでは孤立が進むだけです。自由シリア軍アサド政権から離反した「腐敗層」 当たっているけど、アサド政権が国民をあれだけ殺してきたことも正当化する見解には到底同意できない。元々、一切の抵抗を許さない独裁政権を支持するとは→
http://sp.mainichi.jp/shimen/news/20141018ddm007030173000c.html
曲学阿世のグローバル化…何が正しく、何は間違っているかの判断を避けて研究することを否定はしない。だが、人の命がこれだけ理不尽に奪われてもなお、奪い続ける政権の「テロとの戦い」だからという主張をなぞるのならば、曲学阿世と言わざるを得ない。アサド政権、自由シリア軍、ヌスライスラーム国、いずれにせよやみくもに市民を殺戮しあうことを断じて許すことはできない。この期に及んで政権の正統性に執着するのは無意味。30年前に父アサドの政権が何万人もの市民を虐殺したことの上に今日の内戦があることを忘れてよい
はずもない。

なお、内藤正典さんが「曲学阿世」の論という青山弘之東京外国語大教授のインタビュー記事は以下のとおり(強調は引用者)。
 
 
米国と中東5カ国はイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」壊滅のため、先月からシリアで空爆を続けている。紛争が続くシリアの現状はどうなっているのか。シリア政治に詳しい青山弘之・東京外国語大教授に聞いた。【三木幸治】
 
――米軍の空爆の成果は。
 
◆イスラム国の侵攻は止まっておらず、成果は出ていない。イスラム国はトルコ国境に近いアインアルアラブ(クルド名コバニ)に攻め込む一方、シリアからイラクの首都バグダッドに抜けるルートにあるラマディでも攻勢に出ている。一方、イスラム国以外で空爆の対象となっている反体制派の国際テロ組織アルカイダ系のヌスラ戦線は、シリア北部から撤退するなど勢力を弱めている。
 
――アサド政権の現状は。
 
◆イスラム国が北部、東部を抑えているのに対し、アサド政権は首都ダマスカスや西部の主要都市を統治しており、2大勢力がシリアを支配している。アサド政府軍は15万人と言われ、戦線に出ているのは予備役も多い。4万?5万人といわれる精鋭の防衛隊は温存されている。戦闘員約3万人で空軍を持たないイスラム国に比べ圧倒的に優勢だ。内戦当初、軍幹部が離反したが、腐敗層で、部隊ごと離反する動きは出ておらず影響はない。
 
――シリア国民の状況は。
 
◆経済制裁下の緊縮財政で厳しい生活を強いられている。内戦にうんざりしていて、8月に国内外の避難民キャンプなどで行われた調査では、アサド政権を拒否しているのは3分の1。残り3分の1が「アサド政権を認めるべきだ」としており、もう3分の1が「国際社会が仲介する形でアサド政権を認めるべきだ」という答えだった。
 
――米国はアサド政権に事前通告をして空爆を実施した。両国の関係は。
 
米国は事実上、アサド政権をイスラム国をたたくパートナーとして認めたと言っていい。アサド政府軍はダマスカス周辺でヌスラ戦線などの拠点を次々と落としており、空爆で利益を一番得ている。米国は空爆と穏健な反体制派の地上部隊を連動させイスラム国を壊滅するとしているが、反体制派の力は弱く不可能だ。地上部隊の役割はアサド政府軍が担うしかない事実上共闘になるだろう。
 
――今後の情勢は。
 
◆イスラム国がトルコに攻め入るかどうかがポイントだ。侵攻すれば、NATO(北大西洋条約機構)は加盟国のトルコを守るため、集団的自衛権を発動し、地上軍の派遣などを検討するだろう。侵攻しない場合は、アサド政府軍がイスラム国への攻勢を強めるだろうが、支配地域奪還には時間がかかる。シリア、イラク安定のためには、両政府を再建し、統治を強化する必要がある。だがアサド政権が強化され、イラクのシーア派政権が安定すれば、両国とも親ロシア、親イラン色の強い国となる。親米のイスラエルには脅威で、欧米は両国が不安定な状態であってほしいのではないか。
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