キョウ しまぞの
島薗進さん

Blog「みずき」:大田英昭さんの島薗進氏批判記事に関連して鄭玹汀さんのFBにコメントした私の意見をここにも掲げておきます。

立憲主義との関わりで天皇の生前退位論の危険性を指摘しているのは新聞では私の知る限り毎日新聞の2016年8月27日付けの「北田暁大×原武史対談」における北田暁大東大教授発言くらいのものですね。そこで北田さんは次のように言っています。北田「天皇の『お言葉』で皇室典範改正につながるかもしれません。実質的に天皇が法を動かすということは日本国憲法の規定に反する明確な政治的行為でしょう。しかし右も左もマスコミも、心情をくみ取らないわけにはいかないという論調。立憲主義の根幹にかかわることなので、もっと慎重に議論が進むと思っていたのですが……。」 北田「政治・立法過程を吹っ飛ばして国民との一体性を表明する。今、天皇が憲法の規定する国事行為を超えた行動ができることについて、世の中が何も言わないというのは、象徴天皇制の完成を見た思いがします。」

朝日新聞にも原武史放送大学教授の「(ひもとく)天皇の生前退位 在位28年で築き上げた「国体」」(2016年9月18日付)という記事と同日付けの「長谷部恭男×杉田敦対談」の記事がありますが、原氏は同記事で玉音放送で流された「終戦の詔書」と「天皇のお言葉」との類似性を言い、長谷部氏は「日本国憲法を出発点とする真っ当なもの」と言い、杉田氏は「天皇のお気持ちと法整備の間には何らかの距離感が必要」と言うだけで、立憲主義と天皇の生前退位論の関わりについてはなんら触れていません。その朝日に大田英昭さんの立憲主義と天皇論とに関わる問題提起をどれほど理解する論説担当記者がいるでしょう? また、いま朝日の論壇時評を担当しているのは小熊英二で、その前は高橋源一郎でした。ふたりともSEALDs派の論客、すなわち、大田さんが批判している島薗進氏とほぼ同様のスタンスをとっている天皇論者です。そういう点からも大田さんの論が「声」欄に掲載されるかどうかについては私は甚だ疑問です。そもそも右傾化した朝日新聞には投稿しないというスタンスもありえますので、太田さんはどう考えられるのかという問題もあります。


【山中人間話目次】
・大田英昭さんの「むしろ考えるべきは、『「立憲主義』なる言葉の虚ろな内実なのではなかろうか」という島薗進氏批判
・ZEDさん(「Super Games Work Shop Entertainment」主宰者)の高橋源一郎批判にいたく共感する
・これまでの労働運動の常識では考えられないことがこの日本では起きている
・米国は憲政の危機に? 大統領vs司法
・米連邦控訴裁判所、トランプの大統領令は憲法違反の疑いがあることを指摘の重要性