共同アピール第一次集約分と3・28集会のご報告
?共同アピールをさらに拡大していくためにご協力を?

 2月から開始した「民族差別・外国人排斥に反対し、他民族共生社会をつくりだそう 朝鮮学校への攻撃をゆるさない」という趣旨の共同アピールの賛同人は、3月28日の第一次集約分の公表段階で、賛同人1101人、賛同団体211団体、総計で1312に達しました。在特会らによる朝鮮学校への攻撃に対する怒り、民族差別と外国人排斥に反対し、真の他民族共生社会をつくりだしたいという一人ひとりの願いが全国から結集したものであったと思います。あらためてご協力に感謝します。共同アピール運動は、5月20日の最終集約に向けてさらに拡大していきたいと思います。最終集約日を付記した賛同のお願いの第二版を添付しておきました。賛同人・賛同団体のみなさんに、それぞれの友人、さまざまな社会運動にともに取り組む仲間に、あらためて賛同のお願いを発信していただくようにお願いします。


 3月28日(日)の「民族差別・外国人排斥に反対し、他民族共生社会をつくりだそう!朝鮮学校への攻撃をゆるさない!3・28集会」(京都市円山公園野外音楽堂)は、福岡や東京など遠隔地から参加された方を含めて、約900人の結集で大きく成功しました。集会終了後、数百人の完全装備の機動隊が包囲するという厳戒体制のなか、在日の仲間たちのチャング隊を先頭に、京都市役所前までデモを行ないました。集会構成は以下のものでした。

司会あいさつ
共同アピールの呼びかけ人からのあいさつと報告
在日朝鮮人からの訴え  京都民族教育対策委員会
在特会らによる朝鮮学校への攻撃、高校無償化制度からの朝鮮学校の排除を許さない
講演 前田朗さん(東京造形大学教授)
          国連人種差別撤廃委員会への参加の報告と訴え

アピール
■弁護士
■水曜デモ
■全国同時証言集会京都実行委員会
■にっこりネット
■排外主義とたたかうネットワーク・関西  
■5・30関西集会実行委員会        
集会宣言の採択
シュプレヒコール

京都新聞のウェブサイトに写真入りで記事が載っていました。



 この日、在特会や主権回復を目指す会などは、午後3時に東九条の北岩本児童公園で集会を行い、京都朝鮮第一初級学校前の勧進橋児童公園までのデモを約30人ほどで行なおうとしました。京都地裁が3月24日、京都朝鮮第一初級学校から半径200mの範囲内で、在特会らによる学校を非難する演説やビラ配りなどの脅迫的行為を禁止するという仮処分を決定したにもかかわらず、彼らはこのような形で三度目の朝鮮学校への攻撃をくわだてたのです。しかし、彼らのデモは、地域の住民などからの激しい抗議に直面し、解散地点まで行けずに途中で解散せざるをえませんでした。他方で、在特会らは3・28集会とデモに対して、デモの途中(四条河原町高島屋前)と解散地点(市役所前)で約30?40人で「抗議行動」を行い、攻撃を加えようとしました。しかし、デモ隊は「在特会は帰れ」「朝鮮学校への攻撃を許さないぞ」とシュプレヒコールをあびせかけ、彼らを圧倒するデモを最後まで貫徹しました。そして、解散地点で、地下街から駆け上がって攻撃しようとした在特会らの執拗な動きに対しても断固として大衆的に対峙しました。集会に参加された皆さん、またスタッフや防衛隊として奮闘していただいた皆さんにあらためて感謝します。

 昨年12月4日の在特会らによる朝鮮学校襲撃事件以降、これに反撃するたたかいがくり広げられてきました。それは1312に達する共同アピールへの賛同、3・28集会とデモの大成功、さらには京都地裁による仮処分決定など、在特会らを大きく社会的に包囲し、封じこめていくものとなってきています。それはまた、在特会らを生みだしてきた日本社会の排外主義的土壌を変革していくたたかいでもあります。5月20日の共同アピールの最終集約に向けて、さらに賛同人・賛同団体を拡大していくためにあらためてご協力をお願いします。また、5月30日(日)に大阪で、「排外主義を許さない5・30関西集会」を開催しようとする準備も始まってきています。要綱などあらためてご案内を送らせていただきます。


                              2010年3月30日
                              共同アピール運動事務局
                              3・28集会実行委員会事務局

当ブログ筆者付記:

上記の3・28集会とその後のデモについて、同集会で講演をされた前田朗さんが下記のような「注意」を発信されていますのでご紹介させていただきます。

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前田 朗です。
3月30日

3月28日のデモについて、主権回復を目指す会が動画をユーチューブにアップしています。このため一部で誤解がしょうじているので、一言説明させてください。

3月28日の京都では、2つのデモがありました。

1つは、私たち、円山公園野外音楽堂集会参加者が河原町をとおり京都市役所前まで行なったデモです。これに対して、反対する日本人グループ数十名が妨害行為を行いましたが、デモは無事に終了しました。

もう1つのデモは、主権回復を目指す会が、京都朝鮮学校に向けて行なったヘイト・クライム・デモです。ユーチューブにアップされているのは、この映像です。

私は現地に行っていませんので、以下、推測交じりの説明です。

デモが途中で混乱し始めたところが映っていますが、これは単なる「混乱」ではありません。京都地裁が、在特会などに対して朝鮮学校への接近を禁止する決定をしたため、彼らのデモはここまでしか許されていないのです。警察としても、彼らをこれ以上前進させることはできません。ユーチューブ映像は、そのことを隠しながら、警察と朝鮮総連が「市民デモ」を妨害したかのように説明しています。虚偽の説明です。

それから、映像が主権回復を目指す会の名義で公開されているのは、在特会に対して京都地裁決定が出ているために、名前を変えただけです。小手先のごまかしです。むしろ、在特会と主権回復を目指す会が一体のものであることを自ら露呈しています。
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標題の東京高裁の堀越事件逆転無罪判決について少しまとめてみました。

同高裁判決の要旨は下記で読むことができます。


また、同判決についてはメディアはほぼ一斉に以下のような社説を発表しています。産経新聞の主張を除いてほぼ肯定的な評価です。

■「赤旗」 配布無罪―時代に沿う当然の判断だ(朝日新聞 社説 2010年3月30日)
■公務員ビラ無罪 注目すべき問題提起だ(毎日新聞 社説 2010年3月30日)
■政党紙配布に無罪 時代を踏まえた判決だ(沖縄タイムス 社説 2010年3月30日)
■機関紙配布逆転無罪 異例の付言に耳を傾けよ(愛媛新聞 社説 2010年3月30日)
■公務員法違反/「逆転無罪」 の判断は重い(神戸新聞 社説 2010年3月30日)
■公務員と政治 むやみな規制許されぬ(北海道新聞 社説 2010年3月30日)
■堀越事件逆転無罪 弾圧の意図挫(くじ)く意義ある判決(赤旗 主張 2010年3月30日)
■公務員の赤旗配布 適正さ欠く逆転無罪判決(産経新聞 主張 2010年3月30日)
(以下、3月31日追加分)
■政党紙配布無罪 時代の変化に沿う判断だ(西日本新聞 社説 2010年3月31日)
■ビラ配布無罪 言論封殺の捜査にクギ(東京新聞 社説 2010年3月31日)
■赤旗配布無罪 過度な規制への警鐘だ(南西日本新聞 社説 2010年3月31日)
■公務員「赤旗」配布 逆転無罪は妥当な判断だ(徳島新聞 社説 2010年3月31日)
■公務員の政治活動/「自由」の幅を考えてみる(河北新報 社説 2010年3月31日)
■「赤旗配布」逆転無罪 時代を問うメッセージ(岩手日報 論説 2010年3月31日)
■機関紙配布無罪  公務員の中立、議論を(京都新聞 社説 2010年3月30日)
■ビラ配布無罪 表現の自由こそ大切だ(神奈川新聞 社説 2010年3月30日)

そのほかこれは社説ではありませんが、東京新聞のコラム『筆洗』が堀越事件の本質、すなわちわが国の公安権力のあまりにも甚だしい違法捜査、その異様さ、問題点にふれたよい記事を書いています。

「共産党を支持する社会保険庁(当時)の職員を、警視庁公安部などの捜査員は約四十日間、徹底的に尾行した。自宅を出た後に、昼食に何を食べ、夕方にだれと会ったのか。夜はどんな集会に参加したのか▼行動は分刻みに記録された。多い日には十人以上の警察官が出動し、三、四台の車両、ビデオカメラ四?六台がたった一人の尾行に使われた。私生活に踏み込む執拗(しつよう)さは、戦時中に戻ったような錯覚さえ抱かせる▼一人のプライバシーをなぜ、ここまで監視しなければならなかったのか。それは国家公務員が休みの日に、政党機関紙を配った行為を『犯罪』とするためだった▼東京高裁はきのう、堀越明男さんに逆転無罪の判決を言い渡した。政治活動を禁じた国家公務員法の罰則規定を適用することは『国家公務員の政治活動に限度を超えた制約を加えることになり、(表現の自由を定めた)憲法二一条に違反する』という明快な判断だった」(東京新聞 筆洗 2010年3月30日)

上記『筆洗』での筆者の指摘は、堀越事件の弁護団のおひとり泉澤章弁護士の下記のシンポジウムでの「警察の調書にはどこの飲み屋に行って、どこそこの女性と手をつないで歩いていた(あるいはどこそこでキスをしていた?)、というところまで記録されていた」という証言とも符合します。ほんとうにあまりにも異様な違法捜査といわなければなりません。


この堀越事件2審無罪判決、あるいは国家公務員の政治活動の制限・禁止の問題性について下記のブログに有益なコメントがあります。ご参照ください。


さて、冒頭に示した今回の東京高裁の判決要旨の最後には裁判官の下記のような「付言」が付されています。 

「さまざまな分野でグローバル化が進む中で、世界標準という視点からもあらためてこの問題は考えられるべきだろう。公務員制度の改革が論議され、他方、公務員に対する争議権付与の問題についても政治上の課題とされている中、公務員の政治的行為も、さまざまな視点から刑事罰の対象とすることの当否、範囲などを含め、再検討され、整理されるべき時代が到来しているように思われる」

判決の付言はきわめてまっとうな裁判官の現代認識というべきであり、また、現代社会考というべきであり、また、そういう意味で常識的な所感ともいうべきものだろうと私は思います。が、最高裁はこの東京高裁の裁判官の「思われる」という言葉で結ばれる所感を「客観的」なものととらえるか「主観的」なものにすぎないととらえるか。私は大変心もとないものを感じます。神頼みではもちろんいけないわけですが、先の最高裁裁判官の国民審査で私たちはその審査権を行使したばかりで(罷免率6?7%台で全員が信任)、私としていま有効になにかを為す術を知りません。この東京高裁裁判官の現代認識が最高裁裁判官にもきっと及ぶことを私としては期待するばかりです。あと、できること。政治をもっとよりよい方向に変革させることだろう、と。
2010年3月25日

社団法人 自 由 人 権 協 会
代表理事 羽柴 駿
同 紙谷雅子
同 田中 宏
同 喜田村洋一
同 三宅 弘


 高校無償化法案(公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案)は、参議院における審議が始まったが、政府は、4月1日に予定されている同法の施行時点においては、朝鮮学校を無償化の対象から外し、「第三者機関」を設置してその教育内容等を審査した上で、対象とするか否かを判断する方針を公にしている。

 しかし、外国人学校の選別基準として教育内容を用いることは、憲法違反の疑いが強いものである。

 同法案は、「高等学校の課程に類する課程」を置く専修学校及び各種学校も制度の対象とし、その具体的範囲については文部科学省令で定めるとしている(法案2 条1 項5 号)。この「高等学校の課程に類する課程」かどうかの判断は、学校教育における「同等性」の問題であり、外形的・客観的基準によって判断されるべきものである。

 これと同様に「同等性」が問われる大学入学資格について見ると、学校教育法90条1項で、この資格は、「大学入学に関し、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者」に認められるとされ、同項の内容は、同法施行規則150条により「?外国において学校教育における12 年の課程を修了した者又はこれに準ずる者で文部科学大臣の指定したもの、?(略)、?専修学校の高等課程(中略)で文部科学大臣が別に指定するものを文部科学大臣が定める日以後に修了した者(以下略)」と具体化されている。

 日本にある外国人学校の修了者については、?の「準ずる者」として、文部科学大臣が「告示」により「我が国において、高等学校に対応する外国の学校の課程(中略)と同等の課程を有する(中略)教育施設を修了した者で、18 歳に達したもの」と指定しており、日本政府が当該学校の教育内容を審査することはない。また、?の専修学校高等課程についても、「修業年限が3 年以上、修了に必要な総授業時数が2590 時間以上」と外形的・客観的基準によって指定されている。このように、大学入学資格の指定において外国人学校の教育内容を審査して「同等性」を認定することとはされていないのである。

 ところが、今回の高校無償化法の対象とすべきか否かの判断に際しては、外国人学校の中で朝鮮学校についてだけ教育内容が問題とされようとしている。これは、同法の本来の趣旨を離れて、政治的な思惑によって教育に介入しようとするものであり、憲法23条、26条に反しているだけでなく、恣意的な差別として憲法14条に違反する疑いが強い。

 高校無償化法案は、日本が批准した社会権規約13条2(b)に定める「無償教育の漸進的な導入により」、「すべての者に対して〔中等教育の〕機会を与えること」を実現しようとするものであり、また、「教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与すること」(法案1条)を目的としている。そして、同法案に基づく就学支援金の受給権者は「生徒又は学生」(法案4 条1 項)であり、学校は、事務処理の便宜上、それを代理受領するにすぎない。それにもかかわらず朝鮮学校をこの制度の対象から除外するならば、それによる経済的不利益は、朝鮮学校に通う生徒及びその保護者に生じることになる。これが本制度の趣旨を没却するものであることは明らかである。

 また、外国人学校は外国籍・民族的マイノリティの子どもの学習権実現に不可欠の存在であり、子どもの権利条約30条、自由権規約27条、及び憲法23条及び26条により、教育の自由(教育権)は外国人学校にも保障されている。そして、朝鮮学校に通う生徒らには、日本人の子ども及び他の外国籍の子ども達と同様、学習権(教育を受ける権利)が保障されており、この学習権の内容として、その属する民族の言語・文化・歴史・地理等に関する民族教育を受ける権利も保障されているものである。

 朝鮮学校を高校無償化制度の対象から恣意的に除外することはもちろん、その教育内容を経済的給付の可否の判断材料にすることは、朝鮮学校に通う子どもの学習権に対する重大な侵害となることは明らかである。また、朝鮮学校のみを不利益に取扱うことは、不合理な差別的取扱として憲法14条の定める平等原則にも反するおそれが強い。特に、今回の朝鮮学校外しは、日本の私立学校との間だけではなく、等しく各種学校である外国人学校の間にも差別を持ち込むものであって、その点でも違憲の疑いは大きいものである。

 日本の高校無償化法案における朝鮮学校外しの動きは、国際社会でも注目されており、本年2月15日から3月12日まで開かれていた国連・人種差別撤廃委員会でも取上げられた。

 同委員会が、日本政府報告書の審査後、本年3月16日に公表した「総括所見」の中では、懸念を表明する事象の一つとして、高校無償化法案に関する、「一部政治家による朝鮮高校除外を示唆する動き」が挙げられている(22 パラグラフ)。

 日本は、国際社会において名誉ある地位を占めるためにも、高校無償化法の対象となる外国人学校の判断にあたっては、法の恣意的な運用を行うことなく、教育内容ではなく、外形的・客観的基準によって決定すべきである。

以上
以下は、3・28京都円山集会とデモに参加された方のご報告の転載と報道記事です。

(1)参加記
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集会は、14時に始まり最初はまばらだった会場も徐々に参加者が増えていった。

主催者挨拶や在日朝鮮人のからの訴えなどのあと、東京造形大教授で、在日朝鮮人人権セミナーの前田朗さんが、スイス・ジュネーブで2月に開催された、国連人種差別撤廃委員会における在特会をめぐる議論などが紹介された。

在特会が、日本では合法的に活動している状況にほんとうなのかと問いただす委員が多く、さらには、中井大臣が、高校無償化から朝鮮学校を除外するよう口火を切る発言をしたことに、これから起こる差別として、在特会と共に、日本の人権状況が問題にされた。

そして3/16に日本への勧告として、『人種差別禁止法をつくれ』『人権委員会を作れ』『教育の現場に明らかな差別がある』として朝鮮学校に対する問題に対する対応が求められた。これに対して政府側は、「(差別禁止法について)差別があるとしても、それは表現の自由だ」などと居直っていることが明らかにされた。

日本政府は、勧告に従わない。国際的に、国際的な基準から、差別が認定されているのに。この国際的な勧告を広げていくことこそが、私たちのやるべきことだ。在特会などを一部の輩がやっているものとはせずに、私たちの社会の問題として、「勧告」を手がかりとして、運動していこう、と訴えられた。

そのあと、弁護士が、在特会を上回る法的措置を取っていくと力強くアピールされた。

連帯するさまざまな団体からのアピール後、観光客などで満杯の円山公園から、京都市外にデモで出て行った。

今回は、400にも上るヘルメットと盾で完全武装した警察機動隊がデモに張り付いた。 通常の市民デモなのに、 この物々しさは、 デモにたいして市民の恐怖感を煽り 市民とデモを分断する意図がみえみえだった。(私は用事で、デモに参加できなかった。400は、機動隊員の漏らした動員数)

さらに、デモ参加者からの報告では、「デモは17時前に終わりました。先頭はサムルノリ団。四条河原町辺りでやはり在特会が「朝鮮へかえれ。」とわめきたてていました。私たちの方へむかってこようとした彼らを機動隊の車や楯が防ぎ、ものものしい雰囲気でした。市役所前の解散場所では乱暴しようとした数名の彼らと機動隊、怒るこちらの人たちとのこぜりあいもありました。わめき攻撃的な彼らをまのあたりにし、どこからそんな憎しみが生まれるのかと思いました。(朝鮮学校教員の)○○○さんは『情けない日本の姿です。』と言われていました」

機動隊が多かったのは、彼らが在特会の動きをつかんでいて、混乱を起こさないよう、つまり、彼らの秩序維持という目的のために対応したようです。決して、わが方の防衛のためではないことは、警察機動隊の本来目的から、明らかです。

それにしても、参加された皆様、ほんとにご苦労様でした。

多くの市民・観光客などにアピールできたと思います。
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(2)京都新聞記事

3・28京都円山集会とデモについて京都新聞と朝鮮新報が記事にしています。

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■抗議集会に900人 円山からデモ行進 京都朝鮮初級学校に差別発言(京都新聞 2010年3月28日)

【写真】朝鮮学校への攻撃を許さないとアピールしたデモ(京都市東山区・円山公園)

 昨年12月、京都市南区の京都朝鮮第一初級学校に、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」を名乗る団体が押しかけ在日朝鮮人を差別する発言や脅迫を繰り返したとされる問題で28日、差別的攻撃に抗議する集会が東山区の円山公園であった。

 集会は、大学教授や弁護士らが呼びかけ人となり、実行委が開催し、900人(主催者発表)が参加した。

 集会では、攻撃を受けた初級学校生徒の保護者らが登壇し「子どもたちは心に大きな傷を負った」などと話した。高校授業料無償化から朝鮮学校を排除する動きについてもアピールがあり「すべての在日・滞日外国人が民族性や文化を尊重され、共に生きていくことができる多民族共生社会の実現に力を合わせよう」とする宣言が、拍手で採択された。

 集会後には、参加者らが円山公園から市役所前までデモ行進した。四条河原町交差点や市役所前で、在特会のメンバーらが「日本から出て行け」などと叫び、デモ隊ともみ合い府警の機動隊員が割って入るトラブルもあった。
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 朝鮮学校を支える会・京滋など日朝友好親善に尽力する日本市民らによる「民族差別・外国人排斥に反対し、多民族共生社会をつくりだそう!朝鮮学校への攻撃をゆるさない!3.28集会」(主催=3.28集会実行委員会)が3月28日、京都市円山野外音楽堂で行われ、900余人(うち同胞150余人)が参加した。集会後に参加者らは市内をデモ行進し、「民族差別をなくそう!」などと強く訴えた。

 集会ではまず、共同アピールの呼びかけ人として、「朝鮮学校を支える会・京滋」の仲尾宏さん、フェイスプロジェクトの山根実紀さんがあいさつと報告を行った。

 仲尾さんは、「日本を作ってきたのは純粋な日本人だけではないのに、外国人を排除するというのはありえないこと。(今回の集会が)日本社会のあり方を見直し、いろんな文化、人がともに生きる社会を作る契機になってくれたら」と語った。

 山根さんは、すべての在日・滞日外国人が民族性や文化を尊重しともに生きていく、真の多民族共生社会をつくろうと呼びかけた。

 京都民族教育対策委員会の柴松枝さんは、「在特会」らによる京都朝鮮第1初級学校への襲撃(昨年12月4日)、高校無償化制度からの朝鮮学校の排除を許さないと訴え、「1世の同胞たちが命をかけて守ってきた民族教育を私たちも命がけで守っていく」と強調した。

 在日外国人への差別を許さない北九州市民会議の内岡貞雄さんも応援に駆けつけ、3月26日に北九州市長に「高校無償化」の朝鮮学校除外に反対する要請書を手渡したと報告し、ともに連帯し暴挙を跳ね返していこうと発言した。

 集会に参加していた国会議員の服部良一議員が紹介され、参加者から拍手喝采を受けた。

 つづいて東京造形大学教授の前田朗さん(朝鮮大学校非常勤講師)がで国連人種差別撤廃委員会(スイス・ジュネーブ)への訴えに関する講演を行った。前田さんは18人中12人が参加した国連委員とのやりとりを紹介。「在特会」の蛮行と高校無償化問題の実態をビデオで見て説明を聞いた国連委員らが、人種差別禁止法や人権委員会の制定などを求める勧告を含む対日審査最終所見を3月15日付で提出した経過について話した。

 一方、前田さんは日本政府がこうした勧告を受け入れるよう日本国内での活動、アピールを通じ、政府を変えていく活動が必要で、「在特会」問題のあった京都での今回の集会に大きな意義を感じていると述べ、「これは私たちが住む社会の問題。この社会の歪みを正し、差別をなくしていこう」と呼びかけた。

 弁護士の豊福誠二さん、劇団水曜日の田中ひろみさん、全国同時証言集会京都実行委員会の浅井桐子さん、にっこりネットの瀧川順朗さん、排外主義とたたかうネットワーク・関西の内山悠さん、5.30関西集会実行委員会の南守さんが、日本社会の歪みに対する不当性とともに差別をなくすためともにたたかっていこうと連帯のアピールをした。

 集会で採択された集会宣言は、2月から行われてきた「民族差別・外国人排斥に反対し、多民族共生社会をつくりだそう 朝鮮学校への攻撃をゆるさない」という趣旨の共同アピール運動により、現在、賛同人・賛同団体が1312に達するなど、日本人と在日コリアンの連帯、共同のたたかいが大きくつくりだされており、このような動きを今後、すべての在日・滞日外国人との連帯へとおし広げていこうと訴えた。

 その後、集会参加者らは留学同京都のサムルノリ隊を先頭に、音楽堂から祇園、四条河原町、京都市役所前までの道のりを約1時間、「民族差別をなくそう!」「外国人排斥に反対しよう!」などとシュプレヒコールをあげながらデモ行進し、高校無償化除外の不当性などを市民らに訴えた。途中、日本国旗を手にブルーリボンをつけた日本人らによる罵声や嫌がらせがあったが、デモ行進は多数の市民らの拍手や声援、機動隊の警備のなか、安全に行われた。

 先日、留学同活動の一環で朝鮮学校「無償化」除外に反対するビラ配りを行ったという朝青京都・右京支部の金正弘さん(23、京都中高出身)もこの日の集会、デモ行進に参加した。「朝鮮人が自由に住めない現状を見ると、在日1世が作ってきたものを守らなあかんという気持ちが沸き起こってくる。後代がしっかりと生きていくために、先代がそうであったように、朝青世代としてがんばる出番がきた」と語った。

 また、日本に居住するようになって数ヶ月だという南朝鮮のある神父は、「(デモ中に在特会らの罵声や嫌がらせを通じ)民族差別の現場を見た。デモに参加した在日同胞や日本人の団結力、行動力が日本社会をよりよく変えていくのだと思った」と話していた。

 一方この日、「在特会」と見られる集団が京都朝鮮第1初級学校周辺までデモ行進を行おうとしたが、機動隊などが静止した。
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末期症状極まれリ。

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■阿久根市長が反対派市議集会に乱入、つかみ合い(読売新聞 2010年3月29日)

 マスコミが議場にいるとして市議会への出席を拒否している鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)は29日夜、反市長派市議が市内で開いた議会報告会に姿を見せ、「今後も議会には出席しない」と宣言。

 「反市長派には市政運営に参加させない」とも挑発し、辞職を迫った市議とつかみ合いの騒ぎとなった。

 報告会は、反市長派の12議員でつくる勉強会が主催し、市民約70人が参加した。市長も来場し、「(議員が)うそを言わないか監視しに来た」と答えると、報道陣を携帯電話のカメラで撮影するなどした。

 市議が市長の出席拒否で予算案審議が打ち切られたことなどを説明し、質問を募ると、市長が挙手して「市民には市政のことは何も知らされていない」と持論を展開。「不信任のままの議会には出席しない」などと言い放ったため、参加者の男性が「早よ辞め」と叫び、市議らがマイクを奪おうと詰め寄った。

 さらに終了後、市議の一人が「辞職すべきだ」と市長を諭すと、市長が市議の首に手を回してつかみ合いとなり、市民に制止される事態となった。
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「愛知の教育を考えるブログ」というサイトに朝鮮学校無償化除外問題に関する各メディアの社説が整理されて掲載されていますので、本ブログにも資料として転載させていただこうと思います。

社説掲載新聞社一覧:

北海道新聞 産経新聞 高知新聞 朝日新聞 西日本新聞 神戸新聞 新潟日報 佐賀新聞 沖縄タイムス 北國新聞 中日新聞 東京新聞 河北新報 信濃毎日新聞 読売新聞 南日本新聞 朝日新聞 毎日新聞 しんぶん赤旗 琉球新報

各新聞社社説見出し一覧:

■高校授業料無償化 朝鮮学校除外に関する社説 その1
北海道新聞 高校無償化 何を学ぶかの論議こそ(2010年2月15日)
産経新聞   朝鮮学校 無償化除外へ知恵を絞れ(2010年2月23日)
高知新聞   【高校無償化】筋違いな政治的線引き(2010年2月23日)
朝日新聞   高校無償化―朝鮮学校除外はおかしい(2010年2月24日)

■高校授業料無償化 朝鮮学校除外に関する社説 その2
西日本新聞 高校無償化 「排除」は理念にそぐわぬ(2010年2月26日)
神戸新聞   高校無償化/朝鮮学校外しは筋が違う(2010年2月26日)
産経新聞   高校無償化 朝鮮学校の説明は不十分(2010年2月27日)

■高校授業料無償化 朝鮮学校除外に関する社説 その3
新潟日報   高校無償化 朝鮮学校除外は不適当だ(2010年2月27日)
佐賀新聞   高校留年者の授業料 国が責任持つべきだ(2010年2月27日)
沖縄タイムス [高校無償化]朝鮮学校除外は筋違い(2010年2月27日)

■高校授業料無償化 朝鮮学校除外に関する社説 その4
北國新聞   朝鮮学校の無償化 憲法上の制約あるのでは(2010年3月2日)
東京新聞   朝鮮学校無償化 日本で生きるために(2010年3月2日)
中日新聞   朝鮮学校無償化 日本で生きるために(2010年3月2日)
河北新報   朝鮮学校の無償化/教育的な視点で判断を(2010年3月4日)

■高校授業料無償化 朝鮮学校除外に関する社説 その5
信濃毎日   高校の無償化 朝鮮学校も隔てずに(2010年3月4日)
産経新聞   朝鮮学校 “北崇拝”に税金出せるか(2010年3月5日)
読売新聞   高校無償化 格差解消の本質を見失うな(2010年3月5日)
南日本新聞  [高校無償化] 許されぬ朝鮮学校除外(2010年3月5日)

■高校授業料無償化 朝鮮学校除外に関する社説 その6
朝日新聞   朝鮮学校―除外はやはりおかしい(2010年3月8日)
毎日新聞   朝鮮学校 無償化除外、筋が通らぬ(2010年3月11日)
赤旗      高校無償化 学ぶ権利をすべての子どもに(2010年3月11日)

下記は上記以外の社説:


 子ども手当と高校無償化の両法案が衆院を通過した。不備の指摘もあるが、法案の趣旨は間違っていない。政府は不備を是正した上で、子育て支援を強化する明確なメッセージを発信してほしい。

 そもそも日本は子育て支援の政府支出が先進24カ国中、下から3番目と低かった(2003年)。北欧諸国が軒並み国内総生産(GDP)比3?4%台、英仏両国も3%前後なのに、日本は0・7%にすぎない。

 子育ての負担を社会全体で支える意識が希薄だったせいだろう。今後はそこに公的支出の力点を置く、と方向性を明示することが、社会的認識の醸成につながる。

 選挙目当てのばらまきという批判は的はずれだ。子ども手当は衆院選での民主党の目玉公約であり、選挙結果からすると国民がそれを選択したと見るべきだ。公約を実施しない方が政治不信を招く。

 自民党は、国内在住の外国人も対象で、外国に残した子の数の水増しなどにより不正が可能と指摘する。だがその不備は現行の児童手当にもある。不備は是正すべきだが、民族感情を刺激する形での議論は差別を招きかねない。

 冷静に議論すべきだ。国籍で差別せず、在日外国人でも国内に子どもが居住する場合を支給対象とするなど、方法はあろう。

 保護者が海外にいる児童・生徒を支給対象外とする点は疑問だ。児童養護施設にいる子も親が不詳なら
対象外とした点も、法の趣旨に背く。修正してもらいたい。

 問題は財源だ。本来は1人月額2万6000円だが、今回は半額の1万3000円とした。それでも、必要な2兆3000億円を確保するため、児童手当の地方負担を組み込む苦肉の策を取った。来年度はさらに3兆1000億円増えるが、財源の見通しは立っていない。

 防衛費や思いやり予算など、昨年の事業仕分けで対象としなかった分野の仕分けも必要だ。財源捻出(ねんしゅつ)へ建設的な議論を期待したい。

 高校無償化で朝鮮学校を除外せよとの主張は、いたずらに民族感情をあおっている感がある。国連の人種差別撤廃委員会は除外に懸念を表明した。教育の機会提供に差別があってはならない。

 両法案は育児支援強化の一里塚にすぎない。保育所や公教育、小児医療の充実こそ、少子化対策の切り札となる。政府はそれらの充実にも大いに取り組んでほしい。
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朝鮮学校「高校無償化」排除問題に関するアムネスティ・インターナショナル日本声明【該当部分】


アムネスティ・インターナショナル日本は、3月17日、国連人種差別撤廃委員会が日本報告書審査にともなう総括所見を発表したことを受け、日本政府がただちに、勧告の完全実施に向け必要な措置を講じるよう要請する。

(中略)

教育の問題に関連して、委員会は去る3月16日に衆議院を通過した「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」案の問題にも触れ、鳩山内閣が、朝鮮学校高級部をその適用対象から当面除外しようとしている動きに懸念を示している。現在、鳩山内閣は、第三者機関を設置して教育内容を確認するまで無償化対象に含めないとしているが、政治家からの働きかけによって教育に関わる内容に差別を設けることは、条約上許される施策ではない。当局はただちに朝鮮学校高級部について高校無償化の対象に含めるべきである。

(中略)

日本政府は、9年ぶりとなる今回の勧告が指摘する問題から目をそらしてはならない。アムネスティ日本は、政府が差別と闘う姿勢をより明確にし、そのことを具体的な法整備などによって示すよう、日本政府に要請する。

アムネスティ・インターナショナル日本声明
2010年3月19日

1 本年3月16日,「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(以下「本法律」という)案が衆議院本会議において可決され,参議院に送られた。今後,本法律は来る4月1日には施行される見通しとなった。
 本法律案の概要は,公立の高等学校については授業料を不徴収とし,私立学校の生徒については,世帯の所得に応じて,高等学校等就学援助金(11万8800円?23万7600円)を助成するというもので,締約国に中等教育の漸進的無償化を求める子どもの権利条約28条1項(b)や(批准の際に日本は留保を付したとはいえ)社会権規約13条2項(b)の趣旨にも適うものといえる。

2 ただ,本法律案において,外国人学校については「各種学校」に該当するものが無償化の対象となり,それは「高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるもの」(2条1項5号)とされているところ,先日の3月12日,政府は,朝鮮学校がこの各種学校に該当するかどうかに関する結論を当面留保して,最終的には第三者による評価組織を新たに設けて決定することとした。

3 しかしながら,そもそも,本法律案は,「高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り,もって教育の機会均等に寄与することを目的とする」(1条)ものであり,そのような「経済的負担の軽減」や「教育の機会均等」は,朝鮮学校の生徒・保護者にとっても等しく必要な事柄のはずである。

4 また,政府内では,朝鮮学校が「高等学校の課程に類する課程」を置く学校であるかの確認ができないので,無償化の対象とし得ないとの見解もある旨報道されている。しかし,朝鮮学校の教育課程に関する情報は,学校認可を受ける際に提出されているうえ,朝鮮学校自らがホームページ等でも公開している。これらに加え,必要に応じて,朝鮮学校側から関係資料の提出を受けるなどして高等学校の課程との比較検討を行うことにより,上述の確認は十分可能といえる。この点は,現に,日本国内の殆どの大学・専門学校が,これらの方法で,朝鮮学校卒業生に入学資格を個別に認めていることからも明らかである。

5 しかるに,報道によれば,政府は,朝鮮民主主義人民共和国にまつわる「拉致」や「核開発」等という諸問題の存在を理由に,朝鮮学校を本法律案の対象とするか否かの決定を上述のとおり先送りしたとのことである。これが事実とすれば,それは,外交上の配慮という現実の政治を,一人ひとりの生徒が学ぶ場である朝鮮学校に直接持ち込むに等しい暴挙である。

6 以上から,朝鮮学校を本法律案の対象から当面除外し最終的判断を先送りした前述の政府決定は,朝鮮学校の生徒を,合理的理由なく,対象と認められた他の外国人学校の生徒等と異なり不利益に扱うものといわねばならず,これは,憲法14条の平等原則に違反し,自由権規約26条,社会権規約2条2項,人種差別撤廃条約5条及び子どもの権利条約28条1項等が禁止する差別に当たる。実際,国連人種差別撤廃委員会も,本年3月16日に発表した「対日審査報告書」の中で,この朝鮮学校除外問題について「子どもたちの教育に差別的な影響を与える行為」として懸念を表明したところである。

よって,当会は,政府に対し,直ちに,「先送り決定」を撤回するとともに,朝鮮学校を本法律の対象とすることを求める。

以 上


2010年(平成22年)3月18日
埼玉弁護士会
会長  小出 重義
阿久根市長のもはや狂気の沙汰と呼ぶしかない暴政がなぜ(一応の)法治国家であるこの国で許されるのか。私はいぶかしくもはがゆくも情けなくも思ってきました。同市長のこの暴政の限りについては多くのメディアがことにふれ、折にふれて、繰り返し報道していることでもあり、ここで改めて説明するまでもないだろうと思います。

その阿久根市長の暴政、というより世迷いごとががついに法によって裁かれることになりそうです。昨日3月27日付けの西日本新聞の報道によれば、自治労鹿児島県本部は、職員の人事異動について降格前の身分相応職に復帰させるよう指示した市公平委員会の裁決を無視し続ける阿久根市長の法令違反について、刑事告発に踏み切る決断をしたようです。

地方公務員法には故意に公平委の指示に従わない場合1年以下の懲役または3万円以下の罰金に処する旨の規定がありますが、竹原・阿久根市長の公平委の採決無視の行為はこの規定に当てはまります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
地方公務員法(審査及び審査の結果執るべき措置):
第50条 第49条の2第1項に規定する不服申立てを受理したときは、人事委員会又は公平委員会は、直ちにその事実を審査しなければならない。この場合において、処分を受けた職員から請求があつたときは、口頭審理を行わなければならない。口頭審理は、その職員から請求があつたときは、公開して行わなければならない。
(略)
3 人事委員会又は公平委員会は、第1項に規定する審査の結果に基いて、その処分を承認し、修正し、又は取り消し、及び必要がある場合においては、任命権者にその職員の受けるべきであつた給与その他の給付を回復するため必要で且つ適切な措置をさせる等その職員がその処分によつて受けた不当な取扱を是正するための指示をしなければならない。

同法(罰則):
第60条 左の各号の一に該当する者は、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処する。
(略)
3.第50条第3項の規定による人事委員会又は公平委員会の指示に故意に従わなかつた者
・・・・・・・・・・・・・・・・・

さらに刑事訴訟法には逮捕の要件が規定されており、軽微事件(2万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪)の場合は原則的に逮捕できないことになっていますが、地方公務員法第50条第3項の罪は「3万円以下の罰金」ですから同規定の適用外です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
刑事訴訟法:
第199条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・

警察・検察権力の行使は極力慎重であるべきですが、阿久根市長の公平委指示違反は明らかなのですから、検察は刑事告発がありしだい、速やかに同市長を逮捕するべきです。そうでもしない限りこの狂恣の人である阿久根市長の暴政はやむことはないでしょう。この場合、警察・検察権力の行使もやむをえないことのように思います。
2010年3月4日
標題に関する鹿児島からの報告の転載です。

鹿児島県知事も阿久根市市長批判の仲間入りをしたこと。鹿児島地裁が処分の効力停止の裁判所の決定が出ているにもかかわらず不当に給与支払いを停止していた同市長の非を弾劾し、懲戒免職取り消しを求めた訴訟の判決確定まで給与・ボーナスを支給日に支払うよう命じた上、差し押さえができる仮執行も認めたこと。「2月28日の糾弾集会の打合会に東西の本願寺僧侶が列席されておられましたが、12日に宗教者九条の会かごしまでも、「竹原発言を問う?憲法を護り活かす視点から」と題した学習会が西本願寺派の寺で開催される」ことになったこと、などが新情報です。

阿久根市市長にはもう逃げ場はないと思われるのに、まだ市長を続ける気か!!

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■伊藤鹿児島県知事、阿久根市長ブログ批判 「表現不適正、真意説明を」(2010-03-03)

 阿久根市の竹原信一市長がブログ(日記風サイト)に障害者差別と取れる記述をした問題で、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は2日、県議会一般質問で「文言に不適正な表現があったと受け止めている」と述べ、公人として真意の説明が必要だと批判した。

 二牟礼正博議員(県民連合)への答弁。伊藤知事は「障害に向き合っている方々や家族が深く心を痛めたと思う」と指摘。「各方面からの声を真摯(しんし)に受け止め、公人として記述の真意を丁寧に説明することが求められている」と述べた。

 問題の記述は昨年11月8日付で、「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰(とうた)された機能障害を持ったのを生き残らせている」などと書かれた。竹原市長は福祉団体などの抗議を受けて問題部分を削除したが、謝罪は拒否している。県議会や同市議会は謝罪を求める決議をした。

[■http://373news.com/_kikaku/akune/index.php?storyid=22531#news 阿久根市に未払い給与219万円支払い命じる 鹿児島地裁判決(2010-03-03)]

 阿久根市の竹原信一市長が掲示した張り紙をはがし懲戒免職となった男性職員(45)が、処分の効力停止を認めた鹿児島地裁の決定後も給与が支給されていないとして、市側に未払い分の支払いを求めた訴訟の判決が3日、同地裁であった。牧賢二裁判官は男性の主張を全面的に認め、地裁決定が出た2009年10月下旬から10年2月までの給与・ボーナス計約219万円の支払いを命じた。

 さらに今後、この訴訟とは別の懲戒免職取り消しを求めた訴訟の判決確定まで、給与・ボーナスを支給日に支払うよう命じた。差し押さえができる仮執行も認めた。

 竹原市長は同日、出廷しなかった。判決後、総務課を通じて「取材には応じない」と答えた。


 阿久根市の竹原信一市長は4日、同市議会本会議を「議場にマスコミがいる」との理由で出席を拒み、議会審議が中断している。議会側は出席を求めているが正午現在、竹原市長は応じていない。

 同日の開会予定は午前10時。定刻を過ぎても、竹原市長をはじめ各課長ら執行部は議場に現れず、隣接する執行部控室に待機していた。浜之上大成議長が口頭で出席を要請したが、竹原市長は「議場からマスコミを出せ」などと答え、拒否したという。

 議会側は午前10時5分すぎに執行部不在のままいったん開会した。直後に休憩に入り、議会運営委員会などを開いて対応を協議。「議会軽視だ」など竹原市長への批判が飛び交った。浜之上議長は執行部控室から市長室に戻った竹原市長へ、出席要求書を手渡した。

 同日の本会議は、2010年度一般会計当初予算案の総括質疑などが予定されており、報道各社は開会予定時刻前から傍聴席に入っていた。

 竹原市長は懲戒免職職員の訴訟などで取材拒否の姿勢を強めており、1月には「取材における庁舎内での撮影を原則禁止する」との公文書を報道各社へ一方的に通知した。
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(2010年3月4日記)
私は今月8日に発信した記事で鹿児島県・阿久根市長について次のように書きました。「最近の鹿児島県・阿久根市長の妄虚、蒙昧ぶりは目に余るというレベルをとうに越えた愚かしさです。彼は政治家というにはあらず、 もはや狂恣の人と形容するほかないでしょう」。

その記事でも予告していました「竹原市長の差別発言の撤回と謝罪を求める県民集会」がこの28日、地元の阿久根市で開かれました。同集会には「県と市の身体障害者福祉協会、県社会福祉協議会、連合鹿児島など約20団体」(朝日新聞)と一般市民あわせて500人(同)から600人(南日本新聞)が参加した、ということです。同集会の標題が「差別発言の撤回と謝罪を求める県民集会」となっていたことから、同市長の裁判所の命令まで無視して市職員の職務への復帰、給与の支払いを拒否するなどの不当な市職員労働者や労働組合へのバッシング問題はどうなるのだろうか、と竹原市長包囲の連携に一抹の不安のようなものを感じていましたが、上記の報道によれば同集会には連合鹿児島も参加している模様です。東京の石原知事、大阪の橋下知事以上の荒唐無稽なポピュリストというべき鹿児島の竹原市長包囲網はじりじりと狭まり、逆にその連携は一段と大きく加速しているようです。少し展望が開けたように思います。

はじめに同集会に関する報道を紹介します。



以下は、同集会に参加された方からの集会参加記です。転載させていただきます。

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 昨日集会に参加してきました。私自身は、阿久根駅までJRと民営化された鉄道を利用し、2時間ほどかかって行きました。海がよくみえるきれいなホテルで、会場が参加者であふれていました。

 発言をした障害者団体は、冒頭で挨拶をした県身体障害者福祉協会の他、阿久根市身体障害者福祉協会、阿久根市手をつなぐ育成会代表(打合会で県理事長は、地元では慎重意見が強いということだったのに…)、姶良・伊佐地区手をつなぐ育成会理事から、それぞれ許し難いという怒りの声が聞かれました。さらに、県議会を代表して環境厚生委員長が、産婦人科医でもある立場から、生まれてくる子どもには、障害のないことを望むものであり、親の悲しみは無理からぬところでもあるが、どんな命でも生まれてきた命をしっかり支えていく努力をすることも大切なのに、阿久根市長にはその気配りがないことを嘆いていました。新聞にも掲載された阿久根市議会議長は、声を震わせながら、ただただ申し訳ありませんでした、と頭を下げられ、誠実な言葉が聞かれました。冒頭の挨拶では「謝罪をするまで引き下がらない」ということだったので、まだ続けられるのかな、と期待と心配をしているところです。

 当日は、いい天候に恵まれ、一方に阿久根市庁舎を見下ろし、一方に青い海を見渡しながら、講演者は「美しい自然と親切な人情のあるこの阿久根で」と枕詞があり、最後に進行役の自ら身障者でもある県議から、どうか市の活性化のためにお土産を買っていってください、とも案内がありました。行きのタクシーでは、漁獲高も減り、漁師のスナックの出入りも減った、市長については、福祉を充実させ、学校給食費を軽減するという公約を信じて投票したが、悪評ばかり立って迷惑しているという話を聞きました。23日付地元紙では、阿久根市の2010年度予算一般会計総額102億200万円のうち、新規事業で児童福祉施設整備事業1億9,659.8万円、学校給食助成事業3,718万円等の他、保育料軽減事業に565.8万円を出し、利用者負担を従来のほぼ半分にするということが報じられていました。これらの施策で支持者を繋ぎ止められるかどうかです。帰りの駅ではハローワークによる求人情報冊子が並べられており、阿久根市内の求人が皆無というわけではないようでしたが、「採用済みの場合もある」との断り書きもあったので、必ずしもその通りうまくいっているわけではないのかもしれません。県議会代表からの挨拶では、阿久根出身の高校生の就職に悪影響があるのでは、と危ぶむ声もありましたが、そこをまともに混同する経営者がいるとはあまり考えにくいと思います。

ついでにもう1件阿久根市長関連の話題を挙げますと、しばらく前の2月9日付地元紙では、8日に「君が代発祥の地」として知られる大宮神社(薩摩川内市)に「さざれ石」を奉納した、と報じていました。同神社には、これまで祭られておらず、阿久根市の教育委員が同市内でみつけたものを奉納したいと神社に持ちかけていたということで、阿久根市長がそれに乗ったようです。玉ぐし料は納めておらず、公用車も使っていないので、市総務課は「市長は公人ではなく、私人として行ったことならば、市としてコメントできない」としていますが、鹿児島大学で政治学を担当する平井教授は「基本的には政教分離の原則に抵触する可能性がある」と指摘しました。われこそ、右翼本流を名乗るつもりなのでしょうか。
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(2010年3月1日記)
裁判所の決定を無視して市職員の職務への復帰、給与の支払いを拒否したままであったり、自身の個人ブログに障害者を差別する記述をしたことをメディアや市民に批判されると逆に居直って、「日本の裏社会を構成している主な要素はヤクザと同和そして在日」などと一段とエスカレートさせた差別的な記述を自身のブログにさらに書き連ねたり、 メディアの市庁舎内での撮影を原則禁止にして国民の知る権利、報道の自由に挑戦する姿勢を見せたり、と最近の鹿児島県・阿久根市長の妄虚、蒙昧ぶりは目に余るというレベルをとうに越えた愚かしさです。彼は政治家というにはあらず、 もはや狂恣の人と形容するほかないでしょう。今月の28日には地元の阿久根市では県内の障害者団体などの阿久根市長抗議のための県民集会が開かれる予定のようです。

さて、そうした中、朝日新聞が昨日6日付で「阿久根市長 支持集めるわけ」という記事を掲載しているのですが、この記事、視点はなかなかユニークなものの、 肝心の記事の根幹の部分でケアレスミスでは済まされない深刻なミスを犯しています。同記事が「阿久根市長がそれでも支持を集める」最大の理由にあげるのは、公務員と民間の天と地ともいうべき賃金格差の問題ですが、その根幹の部分の数字のはじき方が恣意的なのです。

記事には次のように書かれています。「市によると、08年度の市職員の平均月給は36万2820円、平均賞与は168万2849円。単純計算すると平均年収は約600万円だ。鹿児島県の統計では、1人あたりの市民所得で阿久根市は約192万円(06年度分)と、県内18市で最下位に近い。多くの市民が『公務員の給与は高い』と実感している」。上記によれば市職員は同市の民間労働者の3倍もの高額所得者ということになるわけですから、市民の間に「公務員の給与は高い」という批判、フラストレーションが生まれてくるのは見やすい道理です。これだけの「公民」(公務員と民間)格差があるならば竹原市長の宣言する「革命」(市職員給与の削減)の公約は阿久根市民ならずとも誰もが賛成するところとなるに違いありません。こういう記事の書き方では記事の体裁はニュートラルであっても、結局「竹原市長よ、頑張れ」というエールの記事になるほかありません。

しかし、上記記事の所得の数字のはじき方は誤っています。下記の阿久根市統計によれば、同市の人口は26,689人(H10)、世帯数は10,285世帯(1世帯当たり人員 2.55人。H12)。であるならば、上記の阿久根市職員の平均年収約600万円は単純計算(共働きなどの要件を除外)で1世帯当たりの年収とみなすべきものですから、市民所得の平均も1人当たりではなく、1世帯当たり(1世帯当たり人員2.55人)の所得に換算し直して市職員年収と比較する必要があります。そうすると市民の平均年収(これも複雑な要因は除外した単純計算)は約490万円ということになり、市職員の平均年収約600万円との年収差は110万。むろん依然として公務員の方が民間より年収が多いという事実には変わりはありませんが、賃金格差は全国の「公民」の格差の平均とそう違わないものになります。すなわち、この「公民」の賃金格差は阿久根市特有のものではない、ということにもなります。

朝日新聞は「阿久根市長に支持が集まる」みせかけの理由の本質にもっと迫るべきでした。そうすればほんとうにユニークな記事と呼んでいいものになったのだと思います。 朝日新聞は誤りを正して再度記事を練り直す必要があるように思います。 今度の記事は誤った認識をさらに増幅させる結果しかもたらさないだろうという意味で「犯罪」的であるといわなければならないように思います。(2010年2月8日記)

以下、くだんの朝日新聞の記事です。

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阿久根市長 支持集めるわけ(朝日新聞『もっと知りたい』 2010年2月6日) 

 意に添わぬ職員には「処分」をちらつかせ、市職労には庁舎からの事務所退去を迫り、報道陣の庁舎内撮影は「原則禁止」。鹿児島県阿久根市の竹原信一(しんいち)市長(50)の政治姿勢に、疑問の声が高まる一方で、「それでも市長を支持する」との声が絶えない。その事情とは――。(矢崎慶一、三輪千尋、周防原孝司)

「独裁」と批判 でも改革期待

 市長派の松元薫久(しげひさ)議員(33)は「市長を支持する市民や市議の基本にあるのは『公民』(公務員と民間)格差。是正したいという強い思いがある」と指摘する。

 市長は昨年2月、消防を除く全市職員の2007年度の給与額などを市のホームページで1円単位で公開。多くの市民が敏感に反応した。

 市によると、08年度の市職員の平均月給は36万2820円、平均賞与は168万2849円。単純
計算すると平均年収は約600万円だ。鹿児島県の統計では、1人あたりの市民所得で阿久根市は約192万円(06年度分)と、県内18市で最下位に近い。多くの市民が「公務員の給与は高い」と実感している。

ブログでの発信を含む徹底した情報公開の効果も市長に味方する。 市内の70代男性は 「竹原市長になるまでは、市職員と民間との所得格差がそれほど大きいとは思ってもいなかった」と漏らす。

 閉塞感が漂う地域経済の現状も影響している。

 阿久根市の北隣にある同県出水市では昨年2月、パイオニアのプラズマディスプレー工場が閉鎖し、12月には隣接するNECの液晶ディスプレー工場が40年間の歴史の幕を閉じた。人口約5万7千人の街から約千人の雇用が一気に消えた。

 阿久根市の中心部から両工場まで約15?。車で通勤していた従業員も多かった。秋田などの工場への配置転換に応じず地元に残った大半の元従業員は、 いまだに次の仕事が見つからない状況だ。

 街の疲弊が目立ち始めたのは、04年3月の九州新幹線の一部開通 (鹿児島中央?新八代)以降という。新幹線ルートから外れただけでなくJR九州が撤退し、特急が止まっていた阿久根駅は第三セクターのローカル駅となり、駅前も寂れた。

 飲食店経営の女性は「市長はまだ改革を実現していない。辞めるなら徹底的に改革してから」

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 市議会から2回の不信任決議を突きつけられて失職しながらも昨年5月、562票差の接線を制して再選を果たした竹原市長。だが、「逆風」も強まってきた。

 まず再選の2カ月後。部署ごとに張り出させていた07年度の人件費総額を記した紙をはがしたとして、 市長は男性係長(45)を懲戒免職処分にした。 男性が処分取り消しを求めた訴訟では昨年12月、「判決確定まで処分の効力を停止する」という地裁決定が確定。が、男性は今も職場復帰できず、給料も支払われていない。

 ブログに「高度医療のおかげで機能障害を持ったのを生き残らせている」 と記したことについても、障害者団体などから強い抗議が相次ぐ。鹿児島県議会からは異例の非難決議を受け、市議会も謝罪などを求めて決議した。

 そもそも、市議会の決議の提案者は「市長の改革を支持する」と昨年3月の市議選に立ち、 得票4位で当選した女性市議(51)だ。選挙で市長を支持した市民団体 「阿想会」 の松岡徳博会長(55)ですら、「議会、職員、市長の三位一体での改革を期待したが、現状は、 話を聞かない歩み寄らない」という『独裁政治』。市政がマヒしている」とこぼす。

 20?40代の市民らでつくる「阿久根の将来を考える会」が1月28日、初会合を開いた。 「法と秩序を守らない人に市長の資格はない。辞職すべきだ」。市民約50人、市議15人の話し合いでは、批判の声が目立った。


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 現在の市議会構成は市長派4人、 反市長派12人。 不信任決議案を出せば可決の可能性は高いが、動きは鈍い。

 反市長派にとっては、 これまで2回の不信任決議の結末がトラウマとなっている。 1回目の不信任で市長は議会を解散し、当時市長派だった5人が上位当選した。 2回目は出直し選で市長が返り咲く。2回とも、むしろ不利な状況を招いた。「市長は議会解散をにらみ、不信任決議を待っているのでは」。反市長派の市議らは疑心暗鬼だ。

 市民の解職請求(リコール)は制度上、選挙後1年間はできない。仮にその動きが出てきても、請求は早くて6月以降になる。

 「今年は激動の年になります。これからの作業に比べれば、これまでのものは児戯です」。市長は1月1日付のブログで宣言した。

 多くの市民が戸惑いながらも、市長と市議会の動きを注視している。

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■竹原市長を巡る主な出来事
【2008年】
8月31日  竹原氏が市長に初当選
10月17日 市議会定数を16から6とする削減案などを市議会が否決
【2009年】
2月6日  市議会で市長の不信任決議、市長は10日、議会を解散
4月16日  市長が市庁舎内に2007年度の職員人件費総額を張り出させる
  17日  再度の市長不信任決議。市長失職後、人件費の張り紙がすべてはがされる
5月31日  出直し市長選で竹原氏、再選
6月11日  市職労事務所の使用を取り消し、退去を通告。24日、市職労が処分取り消しを求めて提訴
7月31日  人件費の張り紙をはがしたとして、男性係長を懲戒免職処分に
8月26日  元係長が処分取り消しを求めて鹿児島地裁に提訴。10月21日、地裁が判決確定までの効力停止を決定
10月23日 市職労事務所をめぐり、鹿児島地裁が事務所退去の処分を取り消す判決
11月30日 元係長が未払い給与支払いを求めて提訴
12月17日 県議会がブログ記述について非難決議案を全会一致で可決。市議会も18日、謝罪などを求める決議
【2010年】
1月27日 報道各社に対し、市庁舎内での撮影は原則禁止すると文書で通知
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ある「平和」市民が鹿児島県阿久根市長に竹原信一さんが再選されたことを受けて、感極まってのことなのでしょう。「ヤッホー! 市民派市長再選される」という投稿を某MLに発信していました。この「平和」市民によれば、「投票率82.59%、すごいね。真実を知った市民のパワーを思い知ったかい?」ということになるようですが、この「平和」市民の認識は根底的に誤っています。

「低気温のエクスタシーbyはなゆー」の主宰者のはなゆーさんが、ブログ市長として有名になった阿久根市長の再選を「小泉流『ワンフレーズ・ポリティクス』」の勝利と位置づけています。「訴えを市役所人件費の是正一点に絞ってつかんだ勝利」というわけです。

そうしてはなゆーさんは次のような西日本新聞の記事を紹介しています。

■阿久根市長再選 波乱覚悟 改革望む 民意、市議選から一転(西日本新聞 2009年6月1日)

「タクシー運転手男性(60)は「ボーナスのない企業もあり、民間の生活はギリギリなのに、市職員の半数は年収が700万円以上もある。票は市職員への怒りの表れ。人件費改革に手を付けてほしい」と竹原氏の当選を評価」

さて、以下が、そのはなゆーさんの記事を読んだ私の感想です。

はなゆーさんが紹介される西日本新聞の記事中に「竹原氏は『これから革命を起こす』と宣言。支持者からは『(改革派の)大阪や宮崎の知事のようになって』とエールが飛んだ」という一文がありますが、記者の意図とは関係なく、同一文は、阿久根市長が行おうとしているポピュリズム政治の危険性を端的に示しているように思います。

以下、上記に関連する地元紙の南日本新聞と朝日新聞の記事です。

■阿久根出直し市長選 竹原流「改革」に軍配(南日本新聞 2009年6月1日)
■「職員厚遇」不満が追い風 阿久根市長選で竹原氏再選(朝日新聞 2009年6月1日)

再選された阿久根市長と大阪府の橋下知事との類似性について、朝日新聞と南日本新聞は、上記の記事でそれぞれ次のように記しています。

朝日新聞:
「職員の待遇や税金のあり方に疑問を投げかける首長が全国で相次いで生まれている。/08年1月の大阪府知事選で、人件費カットを含む財政健全化を訴えた橋下徹氏が当選。今年4月の名古屋市長選でも、『市民税10%減税』『職員人件費10%削減』などを掲げた河村たかし氏が圧勝した。橋下氏は職員の基本給カットを実施。竹原氏の職員年収公開を評価し、府幹部職員のモデル年収を府のHPに掲載した」

南日本新聞:
「『革命』と表現する市職員給与の削減については『住民の主権が自治労に取り上げられてきた。(住民の立場が公務員より下にある)下克上の状態を元に戻すこと』と説明。『自治労は阿久根から出て行ってもらう』とこれまで同様、対決の姿勢を鮮明にした。/竹原さんは昨年8月の市長初当選以来、議員定数の削減や民間からの市幹部登用をめぐり議会と対立。ほかにも自身のブログ(インターネットの日記風サイト)で「辞めさせたい議員アンケート」を実施、市のホームページで市職員給与を1円単位で公開したり、市役所各課に人件費総額を掲示するなど、物議を醸してきた」

さて、下記の辛淑玉さんの小論攷は、上記の阿久根市長と橋下知事らとの同質性、また、同市長が進めようとしている「革命」なるものの危険性を考えるについて、とても参考になる記事だと思います。

週刊金曜日748号(4月24日)の特集は「どこへいくニッポンの民度 タレント知事がやってきた」というものでしたが、その特集の囲み記事(「ウケ狙いの政治の果て」)で、辛淑玉さんは「大衆の中にある差別感情を扇動する」ということについて次のように書いています。

「芸能番組で生きてきた彼ら(筆者注:タレント政治家)は、同じテレビで活躍していてもジャーナリスト出身の政治家とは異なり、絶えず視聴率を意識し、スポンサーや興行主にへつらい、また師匠=君主、弟子=奴隷という封建的人間関係が体にしみついている。ビートたけしの前の東国原知事を見るまでもなく、配下の者には絶対者として君臨するという家父長主義的な芸能界の掟が、タレント知事の誕生でそのまま政治に持ち込まれているのだ」

「たとえば、彼らの常套手段は『公務員攻撃』だ。カメラの前ではこれがウケる。公務員はその仕事の割に高給を取っているというのがその理由だが、バブルの頃は優秀なやつは公務員になどならなかった。今は、民間の給与水準が低下したために、相対的に地方公務員が給与が高くなっているだけだ。/労働者の組織率が低く、組合運動が弱い地方の民間企業の労働者が資本の攻撃に負けた結果として賃金の崩壊が進んだにもかかわらず、その大衆のうっぷんを地方公務員に対する怨嗟と八つ当たり攻撃にすり替えた。まさにウケ狙いの政治だ」

「さらに、社会の変化についていけず、被害者感情を募らせている一般大衆の持つねたみやそねみを、八十年代以降のリベラルな社会運動がもたらした制度改革によって社会上昇を果たしたマイノリティに対する攻撃に誘導しようとしている/大衆の中にある差別感情を扇動することによって当選を果たしたタレント知事が言う『地方から日本を変える』とは、資本の手先となって『大衆の敵』を作り出し、本当の敵から目をそらさせ、日本を政治のガラパゴス化させることなのだ」

はなゆーさんが紹介される西日本新聞の記事。「ボーナスのない企業もあり、民間の生活はギリギリなのに、市職員の半数は年収が700万円以上もある」という公務員の賃金についてのタクシー運転手男性(60)の嘆きは真っ当な嘆きであり、悲鳴です。しかし、誰が、そして、どのような経済構造のもとにそのような事態が現出しているのか? そのことの考察を抜きにして、安易にそのタクシー運転手の悲嘆に共感するだけでは、辛淑玉さんが指摘する罠に陥る可能性があります。

再選された阿久根市長が行おうとしている「革命」と橋下「革命」との類似性は報道等で指摘されているとおりです。そのことがすでに示唆的ですが、彼らの「革命」宣言は、「被害者感情を募らせている一般大衆の持つねたみやそねみ」「大衆の中にある差別感情」をさらに助長、扇動し、結果として「資本の手先となって『大衆の敵』を作り出し、本当の敵から目をそらさせ、日本を政治のガラパゴス化させること」につながるドン・キホーテ的なポピュリズム宣言というべきだろう、と私は思います。私たちはそのことに自覚的でありたい、と思います。(2009年6月1日記)

追伸。
上記の小文をあるMLに発信したところ、北海道旭川市にお住まいの久保あつこさんから下記のような反論を含む返信をいただきました。


下記はその返信に対する私の再返信です。


辛淑玉さんの下記発言に関する久保さんのご指摘、ご批判はそのとおりだと思います。

辛淑玉さんの「バブルの頃は優秀なやつは公務員になどならなかった」という発言は、比喩的な意味で援用するのですが、おそらく宮台真司(首都大学東京教授)の「昔は東大法学部の成績優秀者は官僚になりました。今は官僚にならず、外資系のコンサルか金融に行く」(下記HPの宮台第2発言第4パラグラフ)などの放言に影響されたもののように私は思っています。

上記の宮台発言は一面の真実は衝いてはいますが、あくまでもエリート集団内部の「最新事情」のようなものにすぎません。エリート集団特有の一部の側面を拡張して、バブルの頃の総体としての就職事情を「優秀なやつは公務員になどならなかった」というのは俗論(誤り)だと私も思います。

しかし、辛淑玉さんは、俗論を承知で、ある種比喩的な意味で上記のことを言っているのだとも思います。私はそのように解釈しました。

私も久保さん指摘される箇所には同様の違和感を持ちましたが、辛淑玉さんの論を総体として支持する立場から紹介させていただきました。

が、久保さんのご指摘のとおりだと思いますし、久保さんの問題提起もそのとおりだと思います。(2009年6月3日記)

上記の金さんの論攷の指摘には肯えるところも少なくありません。が、金さんが左記の指摘をする問題提起の作法、あるいは論文の書き方の作法といってよいものに私は少なくない違和感を持ちます。

「日本人リベラル・左派」の朝鮮学校排除問題についての論の欠落点を指摘する上記の金さんの論攷は400字詰め原稿用紙にしておよそ16枚分ほどになり、ブログ記事としてはいささか長文です。しかし、長文であること自体が別に問題なのではありません。冗長ということでもない限り、自身の論の展開に必要ということであればどんなに長くなってもよいわけです。問題は、「日本人リベラル・左派」の論とはこういうものではないか、と自らが仮定したいわば架空の論でしかない論を「こうした『戦略』は、何重にも間違っている」などとして、その長文の大半、というよりほとんど全文を費やして反論、批判する金さんの執筆姿勢です。

金光翔さんは、「日本人リベラル・左派」が見落としている/欠落させている論点は「在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」という視点であるとした上で、その「日本人リベラル・左派」の見落とし、あるいは欠落させている視点が仮に「意図的(「戦略」的)なものであるならば、それは極めて問題である」、として持論を展開していきます。金さんはその論攷の最後で「歴史的経緯に触れずに外国人の一般的権利の問題として捉える反対論が、意図的な(「戦略」的な)ものではなかったことを願う」という但し書きを挿入してはいます。が、「日本人リベラル・左派」の視点には欠落がある、「意図的(「戦略」的)なものであるならば、それは極めて問題である」、という仮定の論を前提にした上で、その論をほとんど全文に渡って批判していく、という論文の書き方の作法は、マッチポンプ的な論文作成の手法として強く批判されなければならない姿勢だろう、と私は思います。

そして、私の見るところ、「在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」の問題についての視点の欠落が、金さんが「仮定」として指摘するように「日本人リベラル・左派」の側の「有力な反対論のほとんど」が「意図的(「戦略」的)なもの」である、ともいえないように思います。また、金さんの左記の認識は事実としても誤っているようにも思います。

たしかに日弁連、また単位弁護士会や地方自治体議会などの声明や要請書には散見した限りにおいて「在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」の問題は触れられていないようです。しかし、左記は、議会や弁護士会という組織としての声明の性質によるものというべきでしょう。私のブログにまとめている「朝鮮学校排除問題」のリストの声明や見解を一覧しても「在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」の問題について言及しているものは少なくありません。たとえば、

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(2) 師岡康子弁護士インタビュー」
「彼女(筆者中:師岡弁護士)は《在日朝鮮人に対する日本政府の差別及び日本社会の差別的態度を見ると、北朝鮮に対する外交問題という「仮面」をかぶっているが、本質的には植民地時代から続いている植民地主義に根を置いた民族差別だ》と言った」

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(10) 「子どもはお国のためにあるんじゃない!」市民連絡会声明」
「言うまでもないことですが、戦後日本政府は朝鮮半島出身者を「朝鮮籍」としました。祖国が分断された後も、「どちらかを選ぶことはできない」と、韓国籍を取得せず、朝鮮籍のままでいる方も多くいます」

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(12) 外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク要請書」
「朝鮮学校は、戦後直後に、日本の植民地支配下で民族の言葉を奪われた在日コリアンが子どもたちにその言葉を伝えるべく、極貧の生活の中から自力で立ち上げたものです」

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(14) 「韓国併合」100年 日韓市民ネットワーク・関東要請書」
「また、今年2010年は、「韓国併合」100年に当たる年です。鳩山首相は、昨年11月にシンガポールで開催されたAPECで、「この地域では、ほかならぬ日本が、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた後、60年以上がたった今もなお、真の和解が達成されたとは必ずしも考えられていない」と演説されました。(略)そうであるならば、なおのこと高校授業料無償化政策から朝鮮学校の生徒を除外するなどということがあってはならないと考えます」

■資料:朝鮮学校無償化除外問題(29) 文科省申入れ報告と要請書 「韓国併合」100年?2010年運動(2010年3月20日)
「「韓国併合」から100年を迎える時点に、日本政府は朝鮮半島との不正常な関係を正し、過去を清算して和解・平和・友好関係を築くよう積極的に取り組むべきでしょう。それを真に望む朝鮮半島の人々は、今回の高校無償化法案をその試金石として注視しています」

など。

各声明や見解におけるこの問題についての指摘は上記に見たとおり短いものですが、これもやはり声明や要請書という文書の性質によるものというべきだろうと思います。金さんが「日本の任意の反対声明を、韓国の『真実と未来,国恥100年事業共同推進委員会声明』と比べてみれば」、日本の反対声明が在日朝鮮人社会の形成の歴史的経緯・必然性に触れていないことは「明らかであろう」という韓国の声明の当該部分も「日本が朝鮮を強制併合して100年を迎える時点に、日本政府はアジアでの過去清算に先立ち、内部的な過去清算に積極的に取り組むべきだろう。植民主義清算を真に望む世界の人々は、今回の高校授業料無償化政策をその試金石として注視している」という短いもので、日本の声明や見解が特に短いというわけでもないように私は思います。やはり声明や要請書という文書の性質がそうさせるのだろう、と私は思います。

上記の私の金論攷に対するコメント、あるいは評価を述べた上で、金光翔さんの同論攷を私のブログの「朝鮮学校無償化除外問題」リストの中につけ加えさせていただきたいと思います。もちろん、金さんの指摘には仮定上の問題への作為的反論という私として問題としたいところを除いて、傾聴に値する指摘も少なくないからです。
上記の世論調査結果をどのように読み解くべきでしょうか。

参考になるのはやはり上記の「世論調査―質問と回答」です。そこからいまの「世論」の意識構造のようなものが読み取れるように思います。

上記の世論調査の質問(19)に「(政治的に)もっとも保守的な立場を10、もっともリベラルな立場を0、中間を5にした場合、あなたご自身の立場はどのあたりに位置すると思いますか」という問いがありますが、その問いに対する回答は次のようになっています。

「0=1▽1=1▽2=3▽3=10▽4=13▽5=36▽6=14▽7=11▽8=4▽9=1▽10=1」

中間の4?6の合計は63%。3?7までを中間とみなして合計すると84%。つまり、63%?84%の人たちが自分を政治的には中間層と見ている、ということになります。その人たちの心の基層、あるいは識閾というところに伏流している無意識的意識はおそらく政治的、経済的な中流意識と見てよいでしょう。自分はひとしなみにはほどほどの生活をしているという中産階級思想、と言い換えてもよいかもしれません。

さらにその中産階級思想を持つ人たちの具体的な政治意識を上記の「世論調査―質問と回答」から抽出して見てみると次のようです。

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●Q(28):「愛国心を、もっと学校で教えるべきだ」という意見に賛成ですか。反対ですか。
  A:賛成 35/どちらかといえば賛成 38/どちらかといえば反対 16/反対 6
●Q(29):「いまの日本は個人の権利主張が行き過ぎている」という意見に賛成ですか。反対ですか。
  A:賛成 24/どちらかといえば賛成 38/どちらかといえば反対 27/反対 6
●Q(31):日本は、戦争や植民地支配を通じて被害を与えた国や人々に対して、謝罪や償いを十分にしてきたと思いますか。まだ不十分だと思いますか。
  A:十分だ 23/どちらかといえば十分だ 40/どちらかといえば不十分だ 24/不十分だ 7
●Q(32):「治安を保つためには、警察など捜査機関にもっと強い権限をもたせるべきだ」という意見に賛成ですか。反対ですか。
  A:賛成 22/どちらかといえば賛成 37/どちらかといえば反対 28/反対 10
●Q(27):夫婦が希望すれば、結婚前のそれぞれの名字を名乗れる「選択的夫婦別姓」に賛成ですか。反対ですか。
  A:賛成 22/どちらかといえば賛成 20/どちらかといえば反対 23/反対 31
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「愛国心」賛成73%、「権利主張の行き過ぎ」(「自己責任論」といってもよいでしょう)賛成62%、「戦争責任への謝罪と償いは果たした」賛成63%、「夜警国家論」賛成59%、「選択的夫婦別姓」反対54%。総体としてきわめて保守的な思想が「世論」の多数派を形成している、と見ることができるでしょう。

一方でその保守的な思想を持つ「世論」は次のような所感も持ちあわせている人たちです。

━━━━━━━━━━━━━━━━
●Q(20):いまの日本の社会にある所得の格差は、許容できる範囲内だと思いますか。行き過ぎていると思いますか。
  A:許容できる 6/どちらかといえば許容できる 29/どちらかといえば行き過ぎている 43/行き過ぎている 18
●Q(33):憲法は9条で「戦争を放棄し、戦力は持たない」と定めています。憲法9条を変えることに賛成ですか。反対ですか。
  A:賛成 18/どちらかといえば賛成 20/どちらかといえば反対 24/反対 35
━━━━━━━━━━━━━━━━

「いまの日本の社会にある所得の格差は許容できる」反対61%、「憲法9条を変える」反対59%。ここにはこの「失われた20年」の間に形成されたいまの甚だしい社会の所得格差に憤り、平和を希求するもう一面の「世論」の姿を見出すことができます。

ここで改めてみんなの党の最近の支持率アップの問題に立ち返ってみます。

上記ではあえてとりあげませんでしたが、上記の世論調査の質問の中には「(17)政権交代後、政治はどの程度変わったと思いますか」という質問もありました。その質問への回答は、大いに変わった4%、ある程度変わった39%、あまり変わっていない44%、まったく変わっていない11%というものでした。55%もの「世論」が民主党政権NOという回答をしています。そうした世論結果からも、民主党に失望して、かつ自民党にも失望していた総体的に保守的な思想傾向を持つ「世論」が今回のみんなの党の支持率アップのひとつの大きな要因になっていることは容易に見てとれます。

しかし、民主党に失望して、かつその前から自民党にも見切りをつけていた「世論」は、みんなの党を選考するしか道はないのでしょうか。上記で述べたように総体的に保守的な「世論」は一方でいまの甚だしい社会の所得格差に憤り、平和を希求するというもう一面の政治的志向性をも合わせ持っています。この「世論」のもう一面の政治的ニーズに応えうる政局の展開をこの世論なるものが実感することができれば、政局は革新的な局面にドラスチックに変化していく可能性を秘めているのではないか、と私は思っています。

しかし、その可能性を閉ざしているのは2大政党制論というまことしやかでまことしやかでない言説だと思います。2大政党制論とはイデオロギーの差異が小さい2大政党が交互に政権を担当し、牽制しあうというひとつの政治の型のことをいいます。そのことで政局は安定し、経済的活力も生まれてくるというバラ色の近未来社会の構図が描き出されます。しかし実際にはこの2大政党制論とは基本的には同質の保守政治の交代劇を合理化する論理でしかありません。そのことは日本における2大政党制と擬制される自民党と民主党の政権交代劇が上記のような「世論」に失望を与えるものでしかなかったことを見ても証左されつつあることです。

このバラ色の近未来社会を描く2大政党制論のわが国の社会への悪しき拡散については、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞など大マスメディアの一大キャンペーンに負うところがきわめて大きいといわなければならないのですが(注1参照)、実のところ私たちいわゆる民主陣営の側にも本人がそれとして意識しない形でこの2大政党制論をナイーブな形で拡散している気配が濃厚なのです(注2参照)。

この私たちいわゆる民主陣営の側が本人がそれとして意識しない形でこの2大政党制論をナイーブな形で拡散している事例については上記の注2で指摘していることのほかに次に示す天木直人氏の言説なども含めるべきだろう、と私は思います。天木氏はことにふれて私たちの国の政治革新の重要性を提起されるのですが、その提起のしかたは、政治革新の担い手として民主党はダメだし、社民党もダメだ。共産党は「組織の存続を最優先にして国民からますます愛想をつかされつつある」(注3参照)。また、共産党は「イデオロギー政党」(注4参照)だからこれもダメだ、というものです。そうして天木氏が結局ゆき着くところは「既存の政治の全否定」(注3参照)ということになります(注5)。こうした天木氏の政治展望の示し方では、国民は結局依拠すべき政治展望を持つことはできず、政治不信の徒(ニヒリスト)になるか、なんとなく「世論」上で賑わしいみんなの党にでも今度は投票してみようか、ということにしかならない。この天木氏のような論は形を変えたもうひとつの2大政党制論となるよりほかないものだろう、と私は思います。こうしたナイーブな2大政党制論はさらにさまざまなバリエーションをともなって、かつ誰にも気づかれない形で私たちいわゆる民主陣営の側に流通している、というのが私の見方です。

「自民党の別働隊」でしかないみんなの党へ「新自由主義者でない人たちが同党に投票してしまうのを」防ぐためにも、私たち自身がいま2大政党制の論理のくびきから明確に脱却し、真の政治革新の方向性を有権者たる国民に指し示すことが求められているのだ、と私は思います。

注1:マス・メディアのダブル・スタンダード報道(「草の根通信」の志を継いで 2006年5月21日)
注2:民主的な政治闘争の課題をどこに収斂させるべきか、という問題について(「草の根通信」の志を継いで 2010年3月12日)
注3:鳩山首相への決別宣言(天木直人のブログ 2010年3月21日)
注4:福島社民党党首に助言する(天木直人のブログ 2010年3月2日)
注5:「既存の政治(を)全否定」する天木氏がつい最近までどういう理由であれ社民党や共産党ではなく、民主党を支持していた事実(注3参照)はナイーブな2大政党制論の陥ちゆく先を示す象徴的という以上の意味があるように私は思います。
各種の世論調査をみると、最近、みんなの党の支持率が急伸しています。こうしたみんなの党の支持率アップの現象に私はある種の危機意識を持っています。

たとえば最近のロイターの個人投資家を対象にした世論調査ではみんなの党の支持率は自民党を抜き、民主党に肉薄して2位になっています。みんなの党の支持率アップがもともとの自由主義者、新自由主義者の支持の増大にすぎないのであれば、私は、そういうことはある程度予想されていたことでもあり、想定の範囲内という意味で「自然」な現象と呼んでも差し支えないものだろうと思います。

民主党の熱烈な支持者として知られる経済評論家の植草一秀氏は1月ほど前にみんなの党について「自民党別働隊の動かぬ証拠」を掴んだとして欣喜雀躍した記事を書いていましたが、同党代表の渡辺喜美は、父渡辺美智雄の地盤を継承して14年前に自民党衆院議員となり、その後一貫して同党の要職を歴任してきた根っからの自民党員です。その渡辺が同党を私怨がらみで離党して結成した政党がみんなの党であるという同党の出自に思い致せば、動かぬ証拠もなにも、同党が自民党の別働隊であることは論証するまでもなく明らかなことだといわなければならないでしょう。そういうわけで、もともとの自由主義者、新自由主義者の支持が少しばかり増大したり、また、自民党からみんなの党に宗旨替えする者が少しばかり増えたからといってもまあ「自然」な現象といえるでしょう。

しかし、そうした「保守」移動の現象を超えてみんなの党の支持が増大しているのだとすれば、私たちはもう少し思いを凝らしてこの現象について考察してみる必要があるように思います。そして、実際にみんなの党の支持率アップは、「保守」移動の現象を超える兆候を見せています。

上記の「みんなの党が自民党を抜き、民主党に肉薄して2位になった」というロイターの記事は、個人投資家というある種特異な富裕階層における同党の支持率アップを報じる体のものにすぎませんでしたが、最近行われた下記の朝日新聞の世論調査の結果を見てもみんなの党の支持率は、民主党37%、自民党29%に次いでみんなの党9%と公明党5%、共産党4%、社民党3%、国民新党1%を断然抜いて3位に浮上しています(同紙「世論調査―質問と回答〈2月中旬から3月中旬〉」質問(53))。

さらに「衆院選で民主に投票したと答えた人(全体の45%)のうち、参院選でも民主に投票するという人は67%だった。11%は自民に投票、8%はみんなの党に投票するとしている」という調査結果もあります。鳩山内閣の支持率自体は「支持する」40%、「支持しない」51%と不支持率の方が高くなっています(同紙「衆院選で民主投票『参院選は別』3割 朝日新聞世論調査」)。((下)に続く)
教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会事務局作成の現行の教育基本法と政府の教育基本法案の対照表の中央の解説を参考に政府案、民主党案を比較すれば、民主党案が政府案よりもさらに右の案であることがわかります。民主党案の前文をざっと見ただけでも次のような問題点があることを指摘することができます。

?政府案と同じく民主党案も「われらは、さきに、日本国憲法を確定し」、「この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」を削除=日本国憲法の理想の実現と教育基本法との関係を明示化した部分が削除されている

?民主党案は冒頭から「心身ともに健やかな人間の育成は、教育の原点である家庭…広義の教育の力によって達成されるものである」としている。これは、国民の「教育を受ける権利」に対する国家・行政の第一義的責任(憲法上の要請)を放棄し、その責任を「家庭」に転嫁(「新自由主義」思想の行き着くところ)しようとすることにほかならない

?そのため、民主党案は冒頭4行目にして早くも「自由と責任」を強調する。この「自由と責任」論は、いうまでもなく政府案前文冒頭の「公共の精神」論、自民党新憲法草案「公益及び公の秩序に反しない」精神論に呼応している。その精神論の帰着するところは、すでにイラク人質事件の際の政府の対応に解答のひとつが示されている。それは、「自己責任」の名において、国家=政府の意思を人質やその家族をはじめとする人々に強制しようとする「自由の束縛」にほかならなかった

?いわゆる「愛国心」の表記について、政府案が「国と郷土を愛する…態度」と修正したものを、民主党案は「日本を愛する心を涵養」とし、もともとの自民党(右派)案の表記を復活させている=民主党案は、政府案よりもより強行に「国家が国を愛する態度を強制」するものとなっている

上記のことは、次の朝日新聞の報道などによっても傍証できるでしょう。

■「教育基本法、16日から審議 民主党案に与党動揺」(朝日、5月16日付)

民主党案の意図は、「自民、公明両党間で議論が割れた『日本を愛する心』『宗教的感性の涵養(かんよう)』」を盛り込むことによって、自公体制にゆさぶりをかけようとするものだ。そうした警戒感が与党側に強いというのです。民主党の小沢代表をよく知る与党幹部からは「小沢さんは政策を政局の道具にする人」だという懸念も出ているといいます。 そうであるとして、自らがその案において「日本国憲法の精神と新たな理念に基づく教育に日本の明日を託す」とする準憲法的重要法案を「政局の道具にする」。あってはならないことだといわなければなりません。

先の17日、小泉首相と小沢民主党党首の党首討論があり、その中心的テーマが教育基本法であったことは、両党(マス・メディアが期待値をこめて報道する「二大政党制」の旗手)の危険な同質性を「国民」の前に改めて示すものとなった、と私は思います。

その小泉・小沢の党首討論をマス・メディアはどう報じたか。

【全国紙記事例】
■党首討論:小泉首相VS小沢代表 3年ぶり直接対決(毎日、15日付)
■初対決は教育問題 首相と小沢代表が党首討論(朝日、17日付)
■小沢民主党代表登場、小泉首相と国会で党首討論(読売、17日付)

【全国紙社説例】
■社説:党首討論 かみ合う論戦が期待できる(毎日18日付社説)
■小沢民主党 対決本番にどう挑む(朝日18日付社説)
■[党首討論]「掘り下げたかった教育論争」(読売18日付社説)

各紙とも一面、あるいは二面、三面の政治欄、社説を使って大々的に報じているものの「二大政党制待望論」のフレームを超えない。「二大保守制」の危険について語る報道は私の知る限り皆無です。

マス・メディアの報道はこれでよいのか。マス・メディアは、私たちの「国」、社会が危険な方向に向かっていることに警鐘を鳴らさなくともよいのか。マス・メディアの使命は、「炭鉱のカナリア」になることではなかったのか。二大政党制=民主主義社会の成熟度を測る尺度でもあるかのように喧伝し、そのときどきに小泉に期待し、そして小沢に期待するという構図は、結果として私たちの社会に何を招きいれたか。「消費ナショナリズム」の典型ともいうべき草の根保守の増殖(「つくる会」を見よ)、改憲可能なまでに伸張した先の衆院選における自民党の圧勝、そのひと昔前の民主党の驕りと、同衆院選における民主党の地すべり的敗退…などなどではなかったか。

教育基本法「改正」案、共謀罪法案の国会通過には反対をいう。しかし、その一方で「二大政党制」(自民党、民主党の伸張)が政治的にバラ色の近未来であるかのようにいう報道のダブル・スタンダード。マス・メディアには、そのダブル・スタンダードを脱してもらいたい。マス・メディアは、政治の対抗軸を見誤ってはならないでしょう。いまの政治の対抗軸は、共謀罪、教育基本法「改正」案、国民投票法案の成否であり、さらにいえば、いま各地で頻発するジェンダー・バッシングにつらなる非民主的な行政のバックラッシュなどなどです。小泉と小沢の政治対決では決してありえない、と私は思います。

いままたマス・メディアは、「小沢効果」で民主党支持率がアップしていると、競い合うように報道合戦を繰り広げています。「劇場型」のそうしたマス・メディアの報道姿勢に危機感を募らせているのは、私だけでしょうか。

下記のような追悼講演会の案内が私のもとにとどきました。

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増本亨 追悼講演会
 ?あなたを忘れない 一周忌によせて?

講師  西尾 漠 (原子力情報資料室 共同代表)
 「始まってしまったプルサーマル、何が危険なのか?」

3月28日(日曜) 午後 2時 から 4時まで
唐津市民会館 (四階大会議室)
 佐賀県唐津市、唐津駅から北へ徒歩8分、曳山展示場となり
 電話 0955?72?8278
入場無料 (当日カンパをお願いします)

主催  増本亨 追悼講演会実行委員会
後援  NO!プルサーマル佐賀ん会
問合わせ電話  090?6779?7522 (村山さん)
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増本亨さん(当時、佐賀県議会議員)とは5年ほど前の大分県佐伯市にある大入島埋立反対闘争のときに現地でお会いしたことがあります。増本さんは三浦正之さん(当時、唐津市議会議員)、阪本登さん(唐津市)、荒木龍昇さん(当時、福岡市議会議員)、足立力也さん(コスタリカ研究家)とともにご一緒に来られて、同埋立反対闘争のために佐伯市議会議員選挙に出馬した大入島在住の女性の応援をしてくれました。増本さんはその後もおひとりでこの選挙期間中に3度ほど応援に駆けつけてくれました(このとき私は同選対の事務局長なるものを引き受けていました)。

私が増本さんの早すぎる死を知ったのはずっと後のことで、葬儀に出席することはかないませんでした。

最後まで市民運動家として活動された増本亨さんの心からのご冥福をこのブログという場を借りて祈らせていただきたいと存じます。

増本さんのお人柄を知る者のひとりとして。

不一


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 京都市南区の京都朝鮮第一初級学校で「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などが民族差別発言をしたとされる問題で、京都地裁(小河好美裁判官)は24日、在特会などに学校周辺で誹謗(ひぼう)中傷を伴う街宣活動を禁止する仮処分を決定した。

 学校側が、28日に在特会が街宣活動を予定しているとして、19日付で仮処分を申し立てていた。

 申し立てによると、在特会のメンバーらが昨年12月4日、学校による近隣公園の使用方法を批判するため、授業中の学校前に訪れた。約1時間、拡声器を使って差別的発言を繰り返したという。
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 京都地裁は24日、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などに対し、京都朝鮮第一初級学校(京都市南区)の敷地を中心とする半径200メートルの範囲で、学校関係者を非難する演説やビラ配りなどの脅迫的行為を禁じる仮処分を決定した。在特会が門前で拡声機を使って児童や学校を中傷したなどとして、「京都第一初級学校嫌がらせ事件弁護団」(仮)が19日に申し立てていた。

 弁護団の弁護士は、「裁判所が明確に違法と宣言したことに意義がある」と話した。

 申立書によると、在特会のメンバーらは昨年12月4日、初級学校が市から一部を借りている、同校向かいの児童公園に集まり、同校が設置したスピーカーのコードを壊したり、サッカーゴールを同校に移動させたりしたという。また、授業中に同校の門前で約1時間にわたって拡声機を使って児童や学校を中傷し続け、「未熟で敏感な児童の精神面に深い傷を与えた」としている。街宣活動は今年1月14日にもあったという。

 在特会はホームページなどで、3月28日にも同校に対して街宣活動をすると予告している。弁護団は今後、同校に対する街宣活動があった場合、制裁金を支払うよう命じる間接強制を地裁に申し立てるという。
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私のコメント:
上記の京都新聞と朝日新聞の報道によれば、昨年12月4日に在特会が京都の朝鮮学校を襲撃した事件で、京都地裁は昨日24日、在特会などに学校周辺半径200m以内での街宣活動を禁止する仮処分の決定をした、ということです。

京都地裁の今回の仮処分決定は、あくまでも「京都朝鮮第一初級学校周辺」と場所を限定した上での在特会の街宣活動を禁止する仮処分決定で、同会の差別行為そのものを禁止する決定をしたわけではありませんが、同会の脅迫行為が裁判所によって違法行為と認定されたわけで、その意義はきわめて大きいと思います。

池田香代子さんが3月20日に名古屋であったイラク戦争検証シンポジウム「イラク戦争なんだったの!?」という集会で配布された共産党の赤嶺政賢衆院議員の質問主意書と答弁書のコピーにもとづいて「答弁書のもやもや・赤旗の暴投 本編」(池田香代子ブログ 2010年3月23日付)という記事を書かれています。
http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/51368910.html

池田さんは同記事で「イラク派兵 鳩山内閣が正当化 戦争支持の検証棚上げ 赤嶺議員に答弁書 野党時の主張翻す」という赤旗の記事(2010年3月20日付)について、同紙の「感情的な反撥を見込んだミスリード」であり、「ポピュリズムの手法」であるとして批判します。前日の「答弁書のもやもやも赤旗の暴投もふっとばすイラク戦争検証シンポ」というブログ記事では「赤旗のスピンドクターぶり」とも批判しています。

池田さんが赤旗記事を批判すること自体はなんら問題はありません。どの政党であれ批判に値する行為があれば、その行為について批判を受けるのは当然のことです。しかし、問題は、その批判が適正で正当な批判といいうるかどうかです。が、私は今回の池田さんの赤旗批判は当たっていないように思います。

池田さんの赤旗批判の要旨は次のようなものです。

「共産党の赤嶺議員がイラク自衛隊派遣について鳩山内閣の考え方をただす質問主意書を出した。それにたいする政府の答弁書を赤旗は、『イラク派兵 鳩山内閣が正当化』とかなりセンセーショナルに伝えている。けれど、『イラク派兵を正当化』というのは、答弁書のどこをどう読んでも出てこない。鳩山政権はイラク派兵を正当化していると断定するのは勇み足だ。なのに、見出しで『正当化』と謳うのは、赤旗の感情的な反撥を見込んだミスリードであって、ポピュリズムの手法だと思う」
 
池田さんが上記のように赤旗を批判する根拠は赤嶺議員の質問趣意書に対する政府答弁書の次の部分にあるようです。

「同法(筆者注:イラク特措法)第八条第三項に規定する実施区域が、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域であるなど、同法の規定に従って行われるものである限りにおいては、違憲となるとは考えていない」

上記において、「行われるものである限りにおいては」というのは、事実ではなく一般論としての前提だ。「行われたものである限りにおいては」と過去形で事実を述べ、それは違憲ではないと締めくくれば、自衛隊のイラク派兵という過去の事実を合憲として追認していることになるが、そうではない以上、鳩山政権はイラク派兵を正当化していると断定することはできない、と池田さんは言います。

しかし、私は、この池田さんの立論(筋立て)には賛成できません。たしかに池田さんのおっしゃるように答弁書「二について」の「行われるものである限りにおいては」という部分は「一般論」だと私も思います。また、その部分にとどまらず答弁書「二について」の全体が「一般論」というべきものです。

しかし、答弁書はそれ自体として独立して書き下ろされている文章ではありません。いうまでもなく質問趣意書を受けての答弁書です。そうであれば、質問に対してどのように答弁しているのか、その連関を見なければなりません。赤嶺議員の質問は二について、自衛隊のイラクへの派遣については名古屋高等裁判所が「イラクにおける航空自衛隊の空輸活動は、武力行使を禁止したイラク特措法第二条第二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条第三項に違反し、かつ憲法第九条第一項に違反する活動を含んでいるとの判断を示し、確定し」ていることを前提にした上で、鳩山内閣は「航空自衛隊及び陸上自衛隊のイラクへの派遣は、憲法に違反するとの認識か」と問うています。

その質問に対して答弁書の「二について」では「一般論」を述べているのだとしても、「違憲であったとは考えていない」「違憲となるとは考えていない」と答えているわけですから、質問で具体的に提起されている名古屋高等裁判所の「イラクにおける航空自衛隊の空輸活動は、武力行使を禁止したイラク特措法第二条第二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条第三項に違反」している、と判示した判決を否定しているということにならざるをえないのではないか、と私は思います。

答弁書で問われている問題に直裁に答えようとせず、「一般論」を述べて恙(つつが)なし、あるいは一件落着とする官僚の作為的なレトリックをそのレトリックのままで「一般論」にすぎない、ということで擁護するようであれば、どんな質問も無為なものにならざるをえません。そういうことでよいのでしょうか。質問の趣意からみて答弁書の中身を判断するというのは当然の読解法といってよいし、また、あるべき政治の姿勢ともいってよいのではないでしょうか。

赤嶺議員の質問主意書と政府答弁書は上記の池田香代子さんのブログでも見ることができますが、下記にも転記しておきます。最下記にはくだんの赤旗記事のURLも示しておきます。

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■イラクに対する武力行使及び自衛隊派遣についての鳩山内閣の統一見解に関する質問趣意書
http://livedoor.2.blogimg.jp/ikedakayoko/imgs/6/2/621029f1.jpg

提出者名  赤嶺政賢君
会派名   日本共産党
質問主意書提出年月日  平成22年3月11日
答弁書受領年月日    平成22年3月19日

 二〇〇三年三月二十日、米国及び英国をはじめとする有志連合国は、国際社会の圧倒的多数の反対の声を押し切り、イラクに対する武力行使を開始した。同日、当時の小泉純一郎首相は武力行使への支持を表明し、同年末以降、イラク特措法に基づき、戦闘の継続するイラクに自衛隊を派遣した。
 ところが、その後、二〇〇四年十月に米政府調査団の報告書が公表され、開戦の最大の根拠とされた大量破壊兵器はイラクに存在しなかったことが確定した。二〇〇五年十二月には、当時のブッシュ米大統領自身が誤った情報に基づいて判断したことを公式に認めた。旧フセイン政権と国際テロ組織アルカイダとの間に一切関係がなかったことも、二〇〇六年九月に米上院情報特別委員会が公表した報告書などで明らかになった。
 自衛隊のイラクへの派遣については、二〇〇八年四月、名古屋高等裁判所が、イラクにおける航空自衛隊の空輸活動は、武力行使を禁止したイラク特措法第二条第二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条第三項に違反し、かつ憲法第九条第一項に違反する活動を含んでいるとの判断を示し、確定した。
 民主党は、イラクに対する武力行使は国連憲章をはじめとする国際法の原則に違反し、自衛隊のイラク派遣は憲法上の疑義があるとの見解を表明し、政府の対応を批判してきた。
 昨年九月、鳩山内閣が発足した。日米両政府は、日米安保条約の改定から五十年を迎えた今年、日米同盟を深化させるための協議を開始しているが、イラクに対する武力行使を支持し、自衛隊を派遣するに至った経緯について現政権が検証し総括することは、今後の日米関係と日本外交のあり方にとって、きわめて重要な意味を持つと考える。
 したがって、次の事項について、鳩山内閣の統一見解を示されたい。
一 イラクに対する武力行使は、国際法に違反するとの認識か。
二 航空自衛隊及び陸上自衛隊のイラクへの派遣は、憲法に違反するとの認識か。
三 イラクに対する武力行使を支持し、自衛隊を派遣した当時の政府の判断は、誤っていたとの認識か。
四 イラクに対する武力行使を支持し、自衛隊を派遣するに至った経緯について検証し、結果を公表すべきではないか。
右質問する。

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■衆議院議員赤嶺政賢君提出イラクに対する武力行使及び自衛隊派遣についての鳩山内閣の統一見解に関する質問に対する答弁書
http://livedoor.2.blogimg.jp/ikedakayoko/imgs/6/2/621029f1.jpg

一について
 イラクに対する武力行使は、国際の平和と安全を回復するという目的のために武力行使を認める国債連合憲章第七章の下で採択された決議第六百七十八号、決議第六百八十七号及び決議第千四百四十一号を含む関連する国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)の決議により国際法上正当化されるというのが当時の政府の考え方であった。

二について
 政府は、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号)そのものが違憲であったとは考えていない。同法に基づく自衛隊のイラクへの派遣についても、同法第八条第三項に規定する実施区域が、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の機関を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域であるなど、同法の規定に従って行われるものである限りにおいては、違憲となるとは考えていない。

三及び四について
 当時の政府は、イラクが十二年間にわたり、累次の安保理の決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会をいかそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかったとの認識の下で、米国を始めとする国々の武力行使を支持したと承知している。他方、当該武力行使を支持し、イラクへ自衛隊を派遣した当時の政府の判断については、異なる判断もあり得たのではないかとの考えもあり、当該武力行使を支持し、自衛隊を派遣した当時の政府の判断の検証は、将来の課題である。

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■イラク派兵 鳩山内閣が正当化 戦争支持の検証棚上げ 赤嶺議員に答弁書 野党時の主張翻す(赤旗 2010年3月20日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-03-20/2010032001_01_1.html

国会議員を心から尊敬する気持ちになったのはほんとうに何十年ぶりのことでしょう。もしかしたらはじめてのことかもしれません。沖縄東村高江地区の米軍ヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)建設に反対する住民に対して、今年の1月に現鳩山政権が那覇地裁に起こした通行妨害禁止本訴訟について(同仮処分申し立ては前政権時の2008年11月)共産党の仁比聡平議員が一昨日の参議院法務委員会でその問題点を糾しましたが、その映像を見ての感想です。

この件について「やんばる東村 高江の現状」ブログは次のように記しています。

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そのころ国会では・・・(2010年3月19日)

先日は、瑞慶覧チョービンさんが、高江の問題を予算委員会で採り上げて質問して下さいましたが、その内容を引き継ぐかたちで、今日は、仁比聡平さんが、法務委員会で、この高江の裁判の問題を追求して下さいました。ここから、動画配信を見ることが出来ます。リンクがうまくつながらないばあいは、参議院インターネット審議中継のページからカレンダーで2010年3月19日を選び「法務委員会」の人のアイコンをクリックし、発言者名で「仁比聡平」を選んで下さい。
「法的な観点から問題がないので起訴した」という千葉大臣の回答に、絶句する議員の様子・・・迫力あります。
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*上記のブログ記事の「ここから、動画配信」をクリックすれば同委員会審議の映像を見ることができます。

上記の仁比聡平さんの質問の中でも、とりわけ同訴訟の仮処分申し立て時に小学生を15人の通告妨害者のひとりとして対象者に含めていた問題(結局取り下げられて14人になりましたが)、この問題を先の2月25日の衆議院予算委員会の第一分科会で民主党の瑞慶覧チョービン議員が取り上げたときの榛葉防衛副大臣の答弁について糾したときの仁比さんの質問の部分は、同議員の絶句するまでに言葉にならない腹の底からの怒りが伝わってきて、冒頭に述べたような感想を私は抱きました。

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仁比委員(要旨):
榛葉防衛副大臣。あなたは2月25日の衆議院の予算委員会の第一分科会で瑞慶覧チョービン議員から、仮処分申し立て時の15人のうちの1名は小学生への申し立てであったことの所見を問われて、「杜撰なという言葉がありましたが私はそのようには思っていない」「むしろお子さんがそのようなところにいるのはきわめて危ない」「その辺は大人がしっかりと配慮しなければならない」と答弁しました。その答弁が親子の心を深く傷つけています。お母さんは「娘は現場にはいませんでした」「防衛局が証拠としてあげたものの中には娘の写真はおろか証拠となるようなものは何一つありませんでした」といっています。そのことは私も弁護団も確認している。副大臣は何を根拠にこの小学生のお子さんが「そのようなところにいた」とか「きわめて危ない」とか「大人が配慮しなければならない」と答弁されたのか。その根拠を聞きたい。

榛葉賀津也防衛副大臣(要旨):
(14:30秒頃)女の子の件ですが、これは齢や性別に関わりなく司法の判断を仰ぐべきであるという根拠から・・・

仁比委員(要旨):
(14:55秒頃)信じがたい答弁ですよ。「いなかった」といっているじゃありませんか。いなかった子どもを何が司法の判断を仰ぐ、ですか。小学生を仮処分の通告妨害者として申し立ての対象とすることを決めたのはもちろん前政権ですが、司法の判断を仰ぐ前に小学生を裁判の対象にするということを決めたその政治の姿勢を私は問うているのです。しかも榛葉大臣、根拠を示せないじゃないですか。いなかったんですよ。根拠があるなら裁判ででも私にでも示せるものなら示してくださいよ。(このときの仁比議員の怒りの表情は言葉には表せません。ぜひ上記の映像をご覧ください)

また、これは上記の「やんばる東村 高江の現状」ブログでも触れられていますが、「『法的な観点から問題がないので起訴した』という千葉大臣の回答に、絶句する議員の様子」からも仁比さんの怒りがよく伝わってきます(仁比さんのこの怒りに触れて、私は彼に心からの尊敬の念を持ちました)。

そして、私は私で、一部では期待の厚い法務大臣の千葉景子さんという人に民主党員という枠を決して超えきらない日和見主義的な政治家の姿勢を見てしまうことになりました。

千葉さんは言います。「(この裁判は)国が起こしているわけですので」。「この訴訟については基本的な、法的な観点から見て問題がない、ということで私の名のもとに起こさせていただいているとご理解いただきたい」。千葉さん。あなたが人権の擁護者であるのならば、この訴訟は「私の名のもとに起こさせていただいている」などと言うのではなく、「法務大臣という職を賭してでも人権無視も甚だしいこの訴訟を取り下げるために努力する」となぜ言えないのでしょう? そして実際に同訴訟を取り下げることができなければ鳩山首相に辞表を叩きつければよいのです。また、場合によっては民主党を離党すればよいのです。なぜ法務大臣という職に汲々としなければならないのでしょう? 人権よりもなにもなしえない大臣の職の方が重要ですか?

*やんばる高江の「SLAPP(恫喝)訴訟」の件については以下にも書いていますので添付して
おきます。

昨日、私のもとに未知の人から下記のような一通のメールが届きました。どうやら「外国人参政権」や「夫婦別姓」「人権擁護法案」などに反対するウヨクの人からのメールのようです。配信先には民主党の議員や社民党の議員のアドレスなどもあります。なぜこのようなメールが私のもとに届くのか、私には心当たりはないのですが、私は上記のテーマについていろいろな媒体に発信することがちょくちょくあるものですから、もしかしたらそういうものを見て私のもとにも配信してきた、ということなのかもしれません。

文面を見るとウヨクらしい人からの発信であることは確かです。しかし、文面は意外と礼儀正しく、人を口汚く罵るような言葉も見当たりません。論旨は予断に満ちた支離滅裂な主張の羅列にすぎませんが(当人はそう思っていないでしょうが)、おそらく「ある意味で戦後的価値観を身につけた」ふつうの市民からのメールのように思われます。

こうしたふつうの市民(と思える人)がなぜウヨク的言辞に走るのか? 走ろうとするのか? そうした現象が、いま、なぜ、特に生じているのか? 

「生きた人間(たち)の感じかたや考えかた」「近年の(保守)運動の性格の重要な側面」を熟考して見ることは、私たちにいま課せられているアクチュアルにして重要な課題というべきだろう、と私も思っています。

●未知の人からのメール:
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民主党の思想・政策を見直す機会にして頂けると幸いです。


日本の国会議員は、日本国民の利益の為に活動して下さい。
韓国民団の様な外国団体に、外国人参政権法案成立の選挙公約はしません。

日本の国会議員は、民主主義を害する行動は行いません。
共産主義に基づく「夫婦別姓」「戸籍制度廃止」「扶養控除廃止」「人権擁護法案」に反対します。
フェミニストも共産主義者です。千葉景子や福島瑞穂は上記法案に賛成しています。なぜでしょうか。
人権、共生などと聞こえのいい言葉は、すべて共産主義革命達成の為の偽善です。中国は共産党独裁国家です。

日本の国会議員は、日本の歴史を熟知しているはずです。
中華圏も朝鮮半島も日本は侵略は行っていません。強制的に慰安婦として利用されたと主張する朝鮮の女性は当時のプロの娼婦です。現在の価値で1億は稼いでいました。
南京は中華軍人ゲリラによる市民虐殺が行われていました。日本軍が虐殺をしていたという信用に足りる目撃情報は一切ありません。当事者の申告もいままでありません。在日朝鮮人は密入国の自由意志で日本に滞在しています。
朝鮮半島併合時に20兆円を半島につぎ込み、1000年遅れていると言われた土人・奴隷生活から日本は救ってあげました。彼らは捏造された歴史をおしえられ、そんなことは到底しりません。


日本列島は日本人のものです。日本は鎖国していません。日本はNPOと同格の政府は必要ありません。
まともな思考回路の政府が必要です。中国・韓国は共生など望んでいません。日本を精神的にも物理的にも侵略したいだけです。彼らは日本人ではありません。「お互い様」などという概念はありません。日本が事態沈静化の為に賠償金をはらっても、日韓基本条約で清算済みでも未だに謝罪や賠償をうたっています。
なぜでしょうか?

民主党執行部のやることをしっかり見ていて下さい。何かおかしいと思ったら勇気を持って反対して下さい。
そして、歴史と思想を勉強して下さい。今の日本の危機的状況がわかります。

いち日本国選挙民より
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私は、「この問題を『草の根保守』『市民運動の一つ』『アンチ左翼』と単純に受け取」めているわけではありません。

先の小文はただ「『在特会』『行動する保守』『草の根保守』 について分析した」3本の論攷・記事を紹介しているだけのもので、私の見解を述べているものではありません。また、「草の根保守」という言葉も、「アンチ左翼」という言葉も、私の紹介した朝日新聞の藤生京子記者の記事の中に出てくる言葉で、私が用いている言葉ではありません。また、「市民運動の一つ」という見方も私の見方ではありません。

とはいえ、上記記者が「草の根保守」という言葉を用いていることをもって「『草の根』『市民運動』の語を汚すといってさえよい」と見る見方は、いささか浅薄な見方であるように思います。「草の根保守」という言葉の用い方を批判することよりも(私は「草の根保守」という言い方は現象の本質を言い当てて妙だと思っていますが。もう少し詳しくは付記2参照)、記者はなぜ「草の根保守」という言葉を用いて同記事を書いたのか。あるいは書こうとしたのか。その記者のあるいは記事の意図するところを読みとることこそ大切なことというべきではないか、と私は思います。

たとえば「ルポ 新「保守」(上)」(朝日新聞、2010年3月15日付)には在特会のデモに参加したある市民の行動が記者によって次のように記述されています。「東京都港区のデモが終わった夕方、参加者は、日の丸や段ボール製の看板をカバンにしまい、地下鉄に乗って家路についた。前橋市の男性行政書士(54)は家族に活動を『差別的』と非難されているという。名刺をくれた後、『話を聞いてくれてありがとう』と頭を下げて、立ち去った」。

この市民はなぜ家族に「差別的」と非難されてまで在特会のデモに参加したのか。この市民はおそらく「『サイレント市民』と上野さんが名づけた、ある意味で戦後的価値観を身につけた」ふつうの市民です。そのふつうの市民を右翼的行動に駆り立てる衝動や心理に考えを及ぼしてみることは「在特会」という現象を治癒していくためにもとても大切なことだろう、と私は思います。そういう意味で私は上記の3本の論攷と記事を紹介しました。

付記1:私は在特会がアップしたyou tubeなどの動画は、先の朝鮮人学校襲撃の際の在特会の暴力行為を人々に知らしめるなどの特別な場合を除いて、できるだけ観ない方がよい、と思っています。動画の視聴者が増えることは在特会側を喜ばせ、つけあがらせるだけの効果しか持ちえないだろうと思いますし、在特会の資金源のひとつとして同会のホームページに誰かがアクセスするとスポンサーからお金が入る仕組みを作っている、という確かな人から発せられた未確認情報もあります。

付記2:「草の根の志士」、またよく似た言葉として「草莽の志士」という言い方は古くからありますし、「『草の根』を偽装する」などと「草の根」という言葉の専売特許争いをしても詮ないことのように思います。問題は「草の根」の内実というべきではないでしょうか。
『祝の島』(ほうりのしま)の監督の纐纈あやさんを私は応援しています。

祝島で試写会があるときは観に行くつもりです。

今回が映画公開前最後の祝の島座談会だということです。

関東方面にお住まいの方、もしよろしければご参加いただければうれしいです。

下記に以前、纐纈あやさんについて書いた拙文を添付させていただきます。


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■□■映画『祝の島』事務局からのお知らせです■□■

暖かくなったり寒くなったり、
気候の代わりやすいこの頃ですが
いかがお過ごしでしょうか?

来る3月31日、第4回祝の島座談会を行ないます。
今回が映画公開前最後の座談会となる予定です。
テーマは“原発が地域にもたらすもの”。
第1部では、撮影してきた「祝の島」の映像の中から
テーマに沿った約40分の映像上映を行います。
第2部のトークでは、中央大学法学部教授で
新潟県巻町の原子力発電所計画に研究者として密着しておられた中澤秀雄さん、
映画製作者として山口県祝島に通ってきた「祝の島」監督の纐纈、
同じくライターとして石川県珠洲市に通っておられた山秋真さんの3名で、
それぞれ現地の人たちとの交流の中で感じてきたことを語り合います。

まさに「原発が地域に何をもたらすのか」を三者三様の視点で、
何を見て何を感じたか語られることと思います。
乞うご期待です。

映画『祝の島』を観る前に、今一度原発について考える場にご参加いただけたらと思います。


【第4回「祝の島」座談会】
■テーマ:原発が地域にもたらすもの
■トーク:中澤秀雄さん(中央大学法学部教授)×纐纈あや(祝の島監督)
     司会進行:山秋真さん(ライター)
■日時:2010年3月31日(水)
    18:30開場 19:00開演
■場所:東中野space&cafeポレポレ坐 http://za.polepoletimes.jp/
■入場料1,000円(祝島のびわ茶付)
■予約:Tel:03-3227-1405(ポレポレタイムス社)
    Email:event@polepoletimes.jp


?映画「祝の島」撮影中!?
*「祝の島」HP http://web.me.com/polepoletimes/hourinoshima
*「祝の島」スタッフブログ http://blog.goo.ne.jp/hourinoshima
*「祝の島」監督ブログ http://holynoshima.blog60.fc2.com
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映画「祝の島」(ほうりのしま)事務局 
〒164-0003 東京都中野区東中野4-4-1-7F
(ポレポレタイムス社内)
tel:03-3227-3005/fax.03-3227-1406
Email houri@polepoletimes.jp
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「韓国併合」100年?2010年運動は、3月17日、「高校無償化」から朝鮮学校を除外する動きに反対して文科省に申入れを行いました。以下は、申し入れに参加した在日韓国民主統一連合国際局長の朴南仁さんの報告です。(下に申入書)

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3月17日(水)午後2時半から北川広和さん(日韓ネット、「日韓分析」編集)と朴南仁が文部科学省を訪ね、応対した同省の初等中等教育企画課専門職の高橋氏ら2人と面談し、2010年運動の「高校授業料無償化法案の朝鮮学校への適用を求める要請書」を手渡した。

社民党の服部良一衆議院議員の政策秘書、森原秀樹さんと社民党国際委員会の谷瀬綾子さんが同行した。

北川さんらは?対北制裁の流れで、無償化から朝鮮学校を除外することは生徒たちにまで制裁を加えることにつながること、?03年に文部科学省が朝鮮学校を「日本の高校に類する教育課程」を持つ学校として認め、受験資格の判断を各大学に委ねていること、?南北だけでなく、国際的にも今回の除外措置が不当な差別政策であり、新たな差別を生み出すこと――などと指摘し、「教育の機会均等」の観点から無償化除外しないよう申し入れた。

これに対して、高橋氏らは?4月中に第3者機関で客観的に検討し、判断する、?朝鮮学校が無償化の対象になった場合、支援金の支給は6月からなので間に合うようにしたい、などと述べ、要請書を同省3役にしっかり伝えることを明らかにした。

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内閣総理大臣 鳩山由紀夫様
文部科学大臣 川端達夫様

【高校授業料無償化法案の朝鮮学校への適用を求める要請書】

鳩山首相は、高校授業料無償化法案に関連して在日朝鮮人子女の通う朝鮮学校を無償化の対象からはずす方向で調整していることを明らかにし、その理由を「朝鮮学校がどういうことを教えているのか指導内容が必ずしも見えない」と述べました。

朝鮮学校だけを無償化の対象からはずすことに合理的な根拠はありません。朝鮮学校は、各都道府県が各種学校として認定し、多くの国公立、私立大学が受験資格を認めてきた学校です。国立大学で初めて受験資格を認めた京都大学は、朝鮮学校の授業や教科書を検討して日本の高校と差がないことを確認しています。

これは、2003年に文部科学省が朝鮮学校を「日本の高校に類する教育課程」をもつ学校として認めたうえで、受験資格の判断を各大学に委ねたという経過によるものです。

また、朝鮮学校だけを排除することは、「教育の機会均等」や「教育の国際化」という文部科学省の方針にも反するものです。

朝鮮学校には、朝鮮籍と韓国籍の生徒がほぼ半分ずつを占め、日本籍や他の国籍の生徒も数%いる現実があります。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との関係だけを理由に除外することは、明白な人権侵害といえます。

 「友愛」を掲げて発足した鳩山政権は当初から、高校無償化制度において各種学校である外国人学校についてもその範囲に含むことにしており、昨秋、文部科学省が財務省に提出した概算要求でも、朝鮮学校などの外国人学校を含めて試算されています。

「韓国併合」から100年を迎える時点に、日本政府は朝鮮半島との不正常な関係を正し、過去を清算して和解・平和・友好関係を築くよう積極的に取り組むべきでしょう。それを真に望む朝鮮半島の人々は、今回の高校無償化法案をその試金石として注視しています。

 「命を大切にする」政治を目指す鳩山政権が、高校授業料無償化を実現するにあたって朝鮮学校の生徒を対象に含めて実施されるよう強く願い、要請いたします。

2010年3月17日
「韓国併合」100年 真の和解・平和・友好を求める2010年運動(略称 2010運動) 

日韓民衆連帯全国ネットワーク/新しい反安保行動をつくる実行委員会/「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW?NETジャパン)/基地はいらない!女たちの全国ネット/許すな!憲法改悪・市民連絡会/在日韓国民主統一連合
連絡先:東京都文京区小石川1?1?10?105 日韓ネット気付 ?03?5684?0194

NHK受信料拒否問題でNHK敗訴のニュースです。

札幌地裁の判決は「NHKは訴訟で『代署であっても、民法761条が定める日常家事債務にあたり、男性は連帯責任を負う』などと主張したが、杉浦裁判官は『受信料は物品の売買と違い、国民から徴収される特殊な負担金で、日常家事債務には当たらない』として、男性に支払い義務はないと結論づけた」(共同通信)というもので、放送法の受信契約規定の違憲性や契約自由の原則(憲法13条に保障される自己決定権)からの逸脱の問題に踏み込んだ上での判決とはいえませんが、NHKの強引な契約手法の問題点の一端を違法とした判決とはいえるわけで、私のようにNHK受信料を拒否し続けている者にとっては朗報です。


今回の札幌地裁の判決の「日常家事債務」や「代理権」の論理は素人には少し以上にわかりにくい論点であるように思いますので、同論点に関する解説、判例を以下に掲げておきます。ご参考にしていただければ幸いです。



なお、今回の判決とは逆にNHK受信料の全額の支払いを命じた昨年7月28日の東京地裁の判決についての批判的感想を下記で述べていますので、添付しておきます。これもご参考にしていただければ幸いです。

以下、沖縄タイムス2010年3月19日付の社説です。

「14年も紆余(うよ)曲折を重ねた問題がいったん振り出しに戻り、その挙げ句、再び別の県内移設案
が浮上しているのである。沖縄県民をおもちゃか何かのようにもてあそぶのはいい加減にしてほしい」

「移設候補地として上がった国内の自治体からは『絶対反対』の声は聞こえてくるが、『ならば沖縄の負
担軽減を国民全体の問題としてどうやって実現していくか』という声が少しも聞こえてこない」

沖縄県民の日本政府と日本国民に対する告発そのものです。


私は、先に沖縄在住の芥川賞作家の目取真俊さんが次のように告発をしていたのを思い出しました。 

「それは現在行われている普天間基地の『移設』先をめぐる議論を見ても明らかだ。総論賛成だが各論反対、といういつものパターンが繰り返され、沖縄の『負担軽減』は必要だが、自分たちが生活する地域に『移設』して負担を担うのは反対だ。『国外移設』では米軍による抑止力が失われるので、沖縄県内での『移設』=たらい回しをやればいい、という論法がまかり通っている」

「日米安保条約改定から50年がたった現在、沖縄とヤマトゥの間に生じている米軍基地や日米安保体制についての認識の落差を正視しないで、『日米同盟』についていくら議論しても的を射た議論はできないだろう。というよりヤマトゥに住む日本人はまず、日米安保体制維持のために沖縄に米軍基地負担を集中させてきた自らの差別と暴力、政治的欺瞞を直視すべきなのだ」(海鳴りの島から 2010年3月13日)


ヤマトゥに住む日本人としても沖縄と連帯して「4月25日沖縄県民大会」を絶対に成功させなければならない、といま心深く思っています。


【社説】
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■[4月25日県民大会]民意のありか示す時だ(沖縄タイムス 2010年3月19日)
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-03-19_4683/

 米軍普天間飛行場の県内移設に反対する県民大会が、4月25日午後3時から、読谷村運動広場で開かれることになった。県内移設に反対する超党派の県民大会は初めてだ。

 県議会の与野党各会派は、10万人規模の参加を目指すという。すぐに思い浮かぶのは1995年10月21日の県民大会である。県議会各会派、経済団体、労働団体、婦人団体などが呼びかけ、主会場の宜野湾市・海浜公園に主催者発表で8万5000人が集まった。

 「10・21」は、政府の安保政策に対する復帰後最大規模の異議申し立てだった。米兵による卑劣な性暴力と、米軍の特権を認めた地位協定に、県民の怒りが爆発した。

 「10・21」県民大会は、「沖縄の基地問題は決して沖縄問題ではない。日本全体が考えるべき問題だ」という本土の国民に対する問いかけでもあった。

 日米両政府は翌96年4月、米軍普天間飛行場の返還に合意した。あれから14年。状況は、どこがどう変わったというのだろうか。

 衆院選の期間中、「最低でも県外」だと言い切った鳩山由紀夫民主党代表が政権の座につき、名護市長選でキャンプ・シュワブ沿岸部への移設に反対する稲嶺進市長が当選したことで、県内の空気は一気に変わった。県内移設反対の声は日に日に高まるばかりだ。にもかかわらず、政府や民主党サイドから漏れ伝わってくる情報は、県内移設案ばかりである。

 14年も紆余(うよ)曲折を重ねた問題がいったん振り出しに戻り、その挙げ句、再び別の県内移設案が浮上しているのである。沖縄県民をおもちゃか何かのようにもてあそぶのはいい加減にしてほしい。

 稲嶺恵一知事は99年12月16日、普天間の移設先を「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」とすることを正式に発表した。その際、県が移設候補地として検討したのは(1)辺野古沿岸域(2)津堅東沿岸域(3)高江北方(4)辺野古陸上(5)カタバル沿岸域(6)与勝沖(7)伊江島―の7カ所である。

 鳩山政権の下で候補地として浮上しているのは、新たに出てきたわけでも何でもなく、過去に検討済みの場所なのだ。

 そのような場所が再浮上すること自体、県民を愚弄(ぐろう)するような話である。政府は、県内移設案を政府案として決め、沖縄社会を再び混乱に陥れるつもりなのだろうか。とても認めるわけにはいかない。

 「安保はOKだが、米軍基地には反対。特に海兵隊がくるのは困る」と、多くの国民が考えているようだ。

 移設候補地として上がった国内の自治体からは「絶対反対」の声は聞こえてくるが、「ならば沖縄の負担軽減を国民全体の問題としてどうやって実現していくか」という声が少しも聞こえてこない。

 「10・21」と「4・25」。この二つの日付は沖縄現代史の中に深く刻まれることになるだろう。だが、繰り返して言うが、この二つの日付は、沖縄だけの日付ではない。戦後日本のいびつさを象徴する
日付になるはずだ。
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付記:【ニュース】
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■普天間移設 県民大会は4月25日、読谷村運動公園(琉球新報 2010年3月18日)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-159426-storytopic-3.html

 米軍普天間飛行場移設問題をめぐる県民大会の開催に向けた県議会の各派代表者会議が18日、県議会内で行われ、4月25日午後3時から読谷村運動公園で開催することを決めた。

 大会名は県議会意見書に基づき「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民大会」とする。事務局長の新里米吉県議は「10万人参加を目指す」と述べた。
【琉球新報電子版】
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高校無償化:国連委、朝鮮学校除外を懸念 差別改善を勧告(毎日新聞 2010年3月17日)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100317k0000e040028000c.html

 【ジュネーブ伊藤智永】国連の人種差別撤廃委員会(事務局・ジュネーブ)は16日、欧州本部で2月下旬に行った対日審査の最終所見を発表した。所見は、朝鮮学校など外国人学校への公的支援における差別待遇が、子供の教育に与える影響に懸念を表明した。

 所見は、日本政府が高校無償化で朝鮮学校を除外するのは人種差別に当たり、人種差別撤廃条約の「教育に関する権利の平等保障義務」に違反していると警告し、改善を勧告したものだ。

 また、日本で朝鮮学校の生徒らに対する嫌がらせや攻撃、インターネットなどを通じた人種差別的な表現が依然として続いていることにも懸念を表明し、政府に善処を促した。

 政府は2年後と定められた次の審査までに、改善状況を報告しなければならない。

 所見はこのほか、アイヌ民族▽在日外国人▽被差別部落▽沖縄などの差別問題を多岐にわたり指摘している。

 同委員会は人種差別撤廃条約を解釈し、各国を監視する最高機関。日本は95年に同条約に加入した。委員は各国の国際法や人権問題の有識者18人で構成され、日本も人選に同意した。規定では、各国は2年ごとに審査を受けるが、日本の審査は9年ぶり2度目だった。

「在特会」はどのようにして生まれたのか? 「在特会」の資金源はどこから?

私のまわりで最近よく耳にする疑問です。「在特会」の資金源の問題はともかくとして、「在特会」はどのようにして生まれたのか、という疑問に応える記事を3本ご紹介させていただこうと思います。

ひとつは朝日新聞マイタウン愛知記者の「新「保守」(上・中・下)というルポ記事。

■資料:ルポ 新「保守」(上) ●右翼超える「市民の会」(朝日新聞マイタウン愛知 2010年3月15日)
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001003150010
■資料:ルポ 新「保守」(中) ●ネット発 危うい動員(朝日新聞マイタウン愛知 2010年3月16日)
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001003160005
■資料:ルポ 新「保守」(下) ●不安の時代に根張る(朝日新聞マイタウン愛知 2010年3月17日)
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001003170004

もうひとつは、「新しい歴史教科書をつくる会」に集う人々の実体を明らかにした『〈癒し〉のナショナリズム』(小熊英二・上野陽子著、慶大出版会)の著者のひとりの上野陽子さんのフィルドワークを取材した朝日新聞「文化欄」(2002年6月19日付)に掲載された「『普通の市民』任じる静かな保守 ―話題の『〈癒し〉のナショナリズム』―」という藤生京子記者の記事。

■資料:「アンチ左翼」意識で結ばれる“草の根保守”(藤生京子記者 朝日新聞文化欄 2002年6月19日)
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/513055.html

3つ目は「改憲潮流と右翼イデオロギーの現在」と題された太田昌国さんの記事。

■改憲潮流と右翼イデオロギーの現在(太田昌国 現代企画室「状況20?21」 2009年9月15日)
http://www.jca.apc.org/gendai/20-21/2009/kaiken.html

太田さんは上記の論攷の「光景1」の末尾で「こうして、日本における『右翼イデオロギーの現在』を見るうえで、一九八八年の天皇『下血』騒動に始まり、東西冷戦構造の消滅・ソ連東欧社会主義圏の崩壊に象徴される一九九〇年代初頭までの内外状況を視野に入れておくこと――進歩派と左翼がなすすべもなく立ち竦んでいた時期に、右翼は、国内と世界における状況を見極め、実に巧みにこれを利用したことを見ておくことが必要だろう。/右翼の台頭が、進歩派や左翼の『立往生』や『沈黙』と背中合わせであることを自覚しておくことは、こうして、決定的に重要なことなのだ」と記されています。

朝日新聞の藤生記者は上記『〈癒し〉のナショナリズム』の著者の上野さんの眼に託して草の根保守の思想の源泉を次のように見ています。

「持ち前の人なつっこさですぐに溶け込んだ上野さんが見たのは、どこにでもいるホワイトカラーの人々、堅苦しい政治運動とはほど遠い「サークル的」雰囲気だった/彼らを共同体としてつないでいたものが『アンチ左翼』意識だ。左翼、市民運動家、人権主義、マスコミ、官僚、中国といった攻撃対象に挑みかかる。といってナショナリスティックにすぎる言動はノー。天皇万歳を叫ぶ古典的な右翼を苦手とする意見もあった。/運動より仕事や家事という本業を大切にする個人主義、過激さを敬遠すること、皇太子の子どもの誕生を祝う程度の戦後世代の平均的な天皇観しか持ち得ないこと」

私として上記の分析につけ加える用意はいまありません。ただ、上記の資料をご参考に供したいと思います。

■ルポ 新「保守」(下) ●不安の時代に根張る(朝日新聞マイタウン愛知 2010年3月17日)
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001003170004

●不安の時代に根張る

 「行動する保守」に集うのは、「ネット右翼」という言葉だけではくくれない人たちだ。

 「民主党を粉砕するぞ」

 名古屋で1月、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)が開いたデモでマイクを握った情報処理会社の男性社員(31)は「一二三(ひふみ)」という仮名で参加する。会社では、運動のことを話題にしない。

 政治には無関心だった。理系大学院を終えた後、就職してから「嫌韓流」の本に出会い、はまった。一人暮らしの一二三にとって、運動は、同僚には話せない歴史観や靖国問題などを話題にできる場だ。「国に貢献している」とも感じられる。

 彼らは、従来の「保守」とは趣が異なる。地縁や商売で結ばれた自民党後援会のような共同体組織ではない。都会的なバラバラの個人が集い、仲間を発見する。


 既成政党すべてに不満を抱く無党派も目立つ。「民主はサヨク、日本をダメにしたのは自民」。東京のデモに参加した化学会社の男性社員(36)はこう語る。小泉純一郎首相当時の自民は支持したが、2006年に安倍晋三首相(当時)に代わると、「タカ派と期待したのに、靖国参拝しなかった」と幻滅した。

 在特会が生まれたのは、この時期だ。小泉時代に目覚め、受け皿を失った保守無党派層の先端部分なのか。政権交代が、危機感に拍車をかける。

 政治不信は運動論にも表れる。彼らは日本会議など従来の保守団体を「会議で議論ばかり。我々は行動する」(桜井誠会長)と批判する。一方の日本会議は「私たちは時間をかけても、政治や行政に働きかけ、法や制度の変更を目指す」(江崎道朗専任研究員)という。


 時代の気分にも根を張る。「スパイの子供」。彼らは、朝鮮学校前でこう騒いだ。拉致問題を背景に、朝鮮学校を高校無償化の対象から外すことを検討する政府の発想と重なる。

 経済規模で日本と並んだ中国への警戒感も働く。「このままではのみ込まれ、日本はチベットのようになる」。外国人参政権反対デモに参加した2女の父親という国立大の男性職員(45)は語った。

 社会の流動化や閉塞(へいそく)感、国際環境の変化に対する危機感……。先の見えない日本への不安に、運動が油を注いで、極端な敵意を膨らます。

 東西統一直後のドイツで、若者に「外国人は出て行け」と突き飛ばされた経験のある大阪大大学院の木戸衛一准教授(ドイツ政治)は「在特会は、人種差別的なヘイトクライム(憎悪犯罪)をあおっている」と見る。「人種差別撤廃条約を批准しながら、日本は差別を禁じる国内法の整備を留保してきた。ドイツ刑法の『民衆扇動罪』のような歯止めが必要だ」と指摘する。(この連載は西本秀が担当しました)


 【関西学院大の鈴木謙介助教(社会学)の話】
 市民参加の保守運動が登場したのは90年代後半からだ。「新しい歴史教科書」の運動が先駆け、拉致問題で保守世論が盛り上がり、その延長に在特会が生まれた。世の中全体では少数派だが、ネットの発信力で潜在的な支持者を開拓し、街頭行動を呼びかけ存在感を増している。参加者は、行動は過激だが、社会的関心が高いという意味でマジメ。これまで市民運動と言えば「左」で、「右」の受け皿が育っていない。保守的なものを求めると、過激な団体に流れるほかない不幸がある。より極端に走る人々が現れると怖い。