東大の政治学教授の西崎文子さんが(西崎さんはTBSの『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演している有名人でもあるらしいのですが、私はテレビは見ませんので知りませんでした。ちなみに私は「主義」でテレビを見ないわけではありません。単に「面白くない」から見ないというだけのことです)昨日の毎日新聞のインタビュー記事で「議論の作法」に関するインタビューを受けて次のように述べています。「議論の作法」というテーマはおそらく同教授をインタビューした同紙客員編集委員の近藤勝重記者が考えたものでしょう。同インタビュー記事の「まとめ」役の小国綾子記者はインタビュー記事の前振りとして次のように書いています。「世の中に極端な物言いが増え、不寛容な空気が漂っている。異なる意見を唱える相手を全否定し「売国奴」「国賊」などの言葉を投げつける。今求められる「議論の作法」について、政治学者・西崎文子東大教授(55)に近藤勝重・客員編集委員が聞いた」。
 
さて、西崎文子教授のインタビュー発言は次のようなもの。
 
「一つは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)での、「非国民」「反日」などと相手を全否定する物言いが目立ちます。ツイッターでは、わずか140字で発信するだけなのですが、周囲の反響や評価を感じられる。彼らはある意味、真面目に書き込んでいるので、規制できる類いのものではありません。こういう行為が人を傷つけ、不寛容を助長すると気付かせるような社会を模索していくほかありません。しかし、ヘイトスピーチは次元が違います。実際に人が街に出て、行動を起こしている。極めて暴力的な要素をはらんでいます。言論の自由を守りつつも、取り締まりの対象にすべきだと思います。一方、雑誌メディアが「売国奴」などの言葉を使うのは別問題です。朝日新聞に対する「売国奴」などの過激な批判は、部数増、売り上げ増を狙っているのでしょうが、メディアがこういう風潮に加担するというのは、自分で自分の首を絞めているのではないか。」
 
この西崎教授の認識と発言は私は正しくないと思います。以下、その理由を述べます。
 
第1。西崎教授はSNS上の発言(いわゆるネット発言)と「実際に人が街に出て、行動を起こしている」場での発言を区別し、前者は「「非国民」「反日」などと相手を全否定する物言い」であっても「ある意味、真面目に書き込んでいるので、規制できる類いのものでは」ないと言います。しかし、真面目であろうと不真面目であろうと両者とも「相手を全否定する」「議論の作法」であることには変わりはありません。それに「実際に人が街に出て、行動を起こしている」場合のヘイトスピーチを不真面目と決めつける根拠もありません。本人のつもりでは「真面目に」相手を「全否定」の言葉で罵倒しているということだってあるでしょう。この西崎教授の論理に従えば、ネットで真面目に書いたものであれば、たとえば殺人予告などの強迫のような場合であっても「真面目」だからという理由で「規制できる類いのもの」ではない。すなわち、犯罪に問えないということにならざるをえません。
 
第2。「雑誌メディア」での「売国奴」などの言葉を用いた「全否定」発言も「別問題」、雑誌メディアの言論暴力は「自分で自分の首を絞めているの」だけだとし、事実上同メディアの言論暴力を不問に附してもいます。
 
なぜ西崎さんは上記のような認識を持ち、また、発言をするのでしょうか。カギは西崎さんの上記発言のうち「実際に人が街に出て、行動を起こしている。極めて暴力的な要素をはらんでいます」という発言部分にあるように思います。西崎さんは「暴力」を文字どおり身体的暴力とのみ解釈しているから、「実際に人が街に出て、行動を起こしている」場合は身体的暴力の危害を受ける危険がある。したがって「実際に人が街に出て、行動を起こしている」場合極めて暴力的な要素をはらんで」いるということにもなるのでしょう。
 
しかし、身体的暴力のみが「暴力」ではありません。「言論の暴力」も法律的に犯罪が成立する暴力であることは、たとえばいわゆるドメスティック・バイオレンス法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)第1条に「この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力(略)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(略)をい」うと明確に規定されていることからも明らかというべきものです。
 
ただし、西崎文子東大政治学教授だけがただひとり「言論の暴力」についての認識に瑕疵があるということではないでしょう。ヘイトスピーチ問題がご専門の東京造形大学教授の前田朗さんによれば、「現在の憲法学は、(略)ヘイトスピーチの問題は「差別煽動」問題であるが、問題を切り離したまま論じている」(「差別表現の自由はあるか(2)」『統一評論』561号、2012年7月)という状況です。それゆえ、西崎さんの「議論の作法」に関する認識は、その日本の「現在の憲法学」状況を反映した学会界隈でのある意味「常識」的な認識ともいえます。しかし、その認識を一歩も超えることのないサロンとしての学会という巷間界隈の認識ともいわなければならないところが残念です。さらに一言しておけば、この西崎東大教授の通俗を超えない認識をさも「世の中に極端な物言いが増え、不寛容な空気が漂っている」社会を変えていくための金言のように紹介している毎日新聞の記者諸氏のけっして優れているとはいえないヘイトスピーチに対する認識力も問われなければならないでしょう。
 
ネット発言であれ、雑誌メディアの「言論」であれ、「暴力」は「暴力」とはっきり認識する必要があると私は思います。この点で参考になるのが内田樹さん(神戸女学院大学名誉教授)の下記の発言です。ヘイトスピーチのない社会をつくるためには私たちはこの内田樹さんの論をもっと発展させていく必要があるでしょう。
 
「北星学園大学を脅迫した容疑者が絞り込まれたようです。威力業務妨害容疑です。ネットでの匿名での脅迫や名誉毀損は「対面状況で顔を隠して同じ言葉を発した場合と同じ罪に問われる」というルールを徹底させる必要があると僕は思います」(「内田樹Twitter」2014年10月23日)。
盟友の瀬戸内寂聴さんもそうだが、戦前の日本を識っている年齢の方々は口をそろえて今の日本の空気は戦前の似ているという。
 
私は終戦の年の生まれだから当然戦前の日本の空気は知るよしもないが、戦前に似ているということは「戦争に向っている」ということであり、戦後70年の平和を享受して来た私たちには今ひとつその危機感にリアリティを感じない。
 
まさか戦争など起きるわけがない。
 
まさか徴兵制などが復古するわけはない。
 
そんな感覚が頭のどこかにある。
 
私の場合もそういった一抹の気分がないわけではない。
 
だが、昨今の日本の状況を見ると、それが即戦争に結びつくかどうかは別として”異様”な空気があの御嶽山の蒸気のように、とくに言論界に充満しつつあると思わざるを得ない
 
集団的自衛権や秘密保護法の強権的立法化はもとより、福島第一原発事故以降年々強くなる傾向にある原発批判封殺。民俗排他運動(ヘイトスピーチ)の過激化とそれに対する政府要人の黙認。
 
この8月には国連人種差別撤廃委員会が日本政府に対して、ヘイトスピーチ(憎悪表現)問題に「毅然と対処」し、法律で規制するよう勧告する「最終見解」を公表したが、これを政府は無視しているばかりか、一部の人間は国連が極左の巣窟となっているというようなトンでも発言をしている。
 
いま自分と意見を異にする者の声を聞く耳を持たないばかりか、それを敵視し、攻撃的な挙動に出る風潮が醸造されつつある。
 
まさに異様な空気感である。
 
こういったバランス感覚の喪失というものは先のトークでも触れたように911に端を発する世界的傾向であり、就中日本においてよりそういった傾向が顕著になったのはひとつには311の大災害に原因があると私は見ている。
 
つまり日本全体をひとつの人体として考えるなら、私たち日本人は手負いである。
 
右の肩口から腰のあたりまで、つまり体の5分の1に大きな痛手を負っている。
 
さらにその半身の一部は原発災害によって欠損し、放射能によって膿んでもいる。
 
そういった大きな病に侵された人体(人間)が健常者と同じようにそこに健全な精神が宿るとはなかなか思い難い。
 
そしてその人間(日本人)の行状を観察するに、そういった外部から攻撃(震災と原発)に曝され、手負いになった私たちはいま国民レベルの被害妄想という精神の病を抱えているように思われるのである。
 
そしてその被害妄想の癒えないまま、私たちは追い打ちかけられるように、さらなる自然の攻撃に曝されている。
 
一人の個人が他者からの攻撃によって大きなダメージを背負うことによって生じるトラウマがのちに他者への攻撃的変成となって吹き出すことは私たちはさまざまな事件現場で目撃するわけだが、昨今の日本人(特定のというべきか)の自分と異なる他者の存在を許さない攻撃性は未曾有のダメージによって手負いとなった人間の中に宿ってしまったきわめて異様な挙動と言っても過言でないだろう。
 
問題はこの異様な状態が局部世界にとどまらず、政権からマスメディアまで、本来中庸とバランス感覚によって社会に一定の規矩を示さなければならない世界までに及んでいることである。
 
このことを象徴するのが朝日新聞の誤報問題に端を発する”メディア粛清”とも言える官民一体となった一連の動きだろう。
 
朝日新聞の誤報はかつてあった”サンゴ事件”のようにみっともない。しかしあらゆるメディアは必ず誤算による誤報を犯しているのであり、ここのところの一連の政権の対抗メディアと目される左派系のマスメディア抹殺の動きは意図的であり集中砲火的である。
 
それでなくともその前段には国営放送であるNHKは政権の意図的介入によって骨抜き状態となっている。残るは”邪魔なヤツ”は”もの言う”マスメディアということになる。
 
石原慎太郎は朝日新聞の廃刊を声高に叫び、この意図的な流れはここ数日、同じ朝日系列のニュースステーションの誤報問題にもお呼び、一部には番組打ち切りという人心誘導的ガセ情報まで流され、右系週刊誌「週刊文春」はお手盛りの知識人有名人のがん首を並べ、ほぼ一冊まるごと朝日バッシングに情熱を燃やしている。
 
私には今日の新聞の47名の火山死を告げる報道と、その下の我を失ったかのようなアグレッシブな攻撃性の週刊誌見出しが一対となって見えるのである。
 
これを異様な空気と言わざるして何と言うだろう。
 
フランスの哲学者ヴォルテールはフランスに封建政治が蔓延する中「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」という言葉を発した。
 
だが日本は今自分と反対の意見を持つ者は敵であり許さないという、このヴォルテールの言葉とは真逆の時代を突き進もうとしている。
 
寂聴さんはある時私に今という時代は大政翼賛会が勢いを増したあの時に似てるわねぇ、と言ったことがある。
 
だが私は戦前の空気というものを知らない。
 
その意味において、こういった手負いの身体が生む異様な空気を読む上において、あの時代を知る先達の言葉に耳を傾けることは今必要なことのように思える。
 
件の「週刊文春」の対抗メディアバッシング特集だが、大半の知識人有名人が大政翼賛的とも言える檄を発する中、1930年生まれで戦前の空気を知る、元「週刊文春」や「文藝春秋」の編集長を歴任した作家の半藤一利さんのみがゆいいつ中庸的意見を述べていたのは救いだった。
 
                           ◉
 
今「週刊文春」を筆頭に、読売、産経などあらゆるメディアがワッショイ、ワッショイと朝日批判を繰り広げている。
 
私は昭和史を一番歪めたのは言論の自由がなくなったことにあると思っています。
 
これがいちばん大事です。
 
昭和6年の満州事変から、日本の言論は一つになってしまい、政府の肩車に載って、ワッショイ、ワッショイと戦争に向ってしまった。
 
あの時の反省から、言論は多様であればあるほど良いと思うのです。
 
私のような爺いが、集団的自衛権や秘密保護法に反対と堂々と声を出せることは、大変ありがたいこと。
 
こういう声が封じられるようになったら終わりです。
藤原新也 2014/10/02
関西の在特会と自民党のレイシスト・政治家たち(高市早苗(写真記事)、稲田朋美(同左)、山谷えり子(同左)、安倍晋三(同左)・・・)の裏盃(やくざ世界の 表立って盃を交わさない裏の盃事。ただし、フィクションの世界での話)の実態が次々とスクープされていますが、芸能界においてもレイシズム問題に関連して「やしきたかじんの隠された出自」の話があります。以下、ZED氏のブログから。ゴシップ記事の範疇ですが、レイシズム排撃論の一情報として知らないよりは知っておいた方がよいと思います。
 
ある「模範的名誉日本人」の明かされた出自(ZED 2014年09月09日)
 
お話にならない極右番組で世に害毒を垂れ流し続けたやしきたかじんだったが、死後の今になって実は在日だったという事が明かされたという。これは筆者も初めて知った。
 
http://www.daily.co.jp/opinion-d/2014/09/08/0007312441.shtml
やしきたかじんさんの隠された出自とは
 
上記記事はたかじんの事を「カリスマ」扱いして「こんなにたかじんさんは苦労した」みたいな書き方をしているが、この著者の角岡伸彦とやらは何を言っているのか?
 
はっきり言わせてもらうが、たかじんが同胞だというのがもし事実だとすれば、筆者はなおさらたかじんという男を絶対に許せない。この男の極右番組では「従軍慰安婦は捏造」と主張していたのではなかったのか? 朝鮮高校無償化問題でも筆舌に尽くし難い酷い事をさんざん垂れ流してきたのではなかったか? 北朝鮮問題でも石丸次郎高英起らのゴロツキどもを呼んでは「北朝鮮の脅威」を煽り立てていたではないか? 自分の出自を徹底的に隠した上で「日本人として」同胞に危害を加えるような事を言いまくったのだから、これほど卑劣な奴はいない。たかじんから目をかけられて番組にしょっちゅう出してもらっていた高英起は、この事を知っていたのか? まあ、知っていてもお互いに共犯関係にある以上言うはずもないだろうが。片や在日である事を公表して、片やその事を徹底して隠した「日本人」として、見事なコンビネーション&チームプレイの役割分担を(知っていたかどうかを問わず結果的に)してきたという訳だから。たかじんの素性が割れたというのは、同時にお仲間である高英起(及びたかじんに取り立てられた事のある他の在日も全て)という男が従来思われてきた以上に悪逆である事を証明してくれた事でもある。
 
上記記事で角岡はあれこれ言っているが、しょせんやしきたかじんなどという輩は同胞を売って自分の栄達だけを追い求めた卑劣漢の民族反逆者でしかない。模範的親日派である。それも最低の。身も心もすっかり日本人に同化して、右翼日本人に媚びへつらい続けたのがこの男の人生歴程と担当番組だったのだ。以前から酷過ぎる番組だったが、この事を知ってからはなおさら反吐が出る。
 
たかじんが橋下徹をあれだけ持ち上げてきたのは、要するに同じような立場だったからという事だろう。同胞に不利益をもたらすような言動を平然と行って、それで自分の私利私欲ばかりを追求し、社会に害悪を垂れ流す。
 
「それ(出自)をバネにして彼は歌手として頑張った」などと角岡は言うが、笑わせてはいけない。この男は後にヒットが出ず歌手として完全に行き詰まり、結局は日本人に媚びへつらい、同胞を売って食い物にする道へ進んだだけの事だ。たかじんが出自を必死に隠し続けたのは単に臆病だったからだろう。あれだけ同胞社会に害や不利益を及ぼす右翼芸人活動をやり続ければ、いずれ同胞達から手痛い制裁や報復を受けるかもしれない。そういう恐怖感に圧迫されての事でしかないだろう。「おまえも朝鮮人のくせに!」と同胞から言われるのを何よりも恐れ、逃げ回った惨めな小心者の小悪党というのがやしきたかじんの本質である。
 
ただ一つ遺憾なのは、我々はこの男が生きている時に同胞として膺懲・制裁出来なかった事であろう。この男が生きている時に「おまえも朝鮮人のくせに! ふざけるな!」という罵倒をせめて突きつけてやりたかった。小心者らしくこそこそとあの世へ「勝ち逃げ」された事だけは、返す返すも腹立たしく口惜しい。死後とあってはいささか遅すぎる感もするが、せめて今後ともこの親日民族反逆者への徹底した批判を続けていかねばならないだろう。
群馬県立公園群馬の森にある「記憶 反省 そして友好」の追悼碑の存続要請運動は、昨年から続いていた「追悼碑の撤去を求める請願」という右翼の妨害行為を残念ながら阻止することはできませんでした。
 
私も『「記憶 反省 そして友好」の追悼碑』の存続を求める要請文を、この右翼の請願を群馬県議会の運営委員会で審議される日の5月19日まで弊ブログのフリースペース欄に貼りつけて小さな抵抗を試みていたのですが残念です。
 
「vanacoralの日記」の筆者がこの件について記事にしています。「公園に追悼碑を置いてはいけないの?
 
以下、この件に関する東京新聞の記事。
 
強制連行追悼碑の設置許可 取り消しの請願決定 県議会
(東京新聞【群馬】 2014年6月17日)
 
県立公園「群馬の森」(高崎市)にある韓国・朝鮮人の強制連行追悼碑をめぐり、碑を管理する市民団体が碑を政治利用したとして、別の市民団体が県に設置許可の取り消しを求めている請願三件が十六日、県議会本会議で賛成多数で決定された。
 
本会議の賛成討論で、自民の橋爪洋介県議は「設置許可は(政治利用しないなどの)条件付きで下りたのに、それがほごにされたのは遺憾」と述べた。
 
反対討論では、リベラル群馬の黒沢孝行県議が「日中、日韓関係が良くないときに、群馬の地から火に油を注ぐべきではない」と指摘。共産の伊藤祐司県議は「朝鮮人に過酷な労働を強いたのは歴史的事実」と述べた。
 
閉会後、大沢正明知事は報道陣に「追悼碑は公園に本当にあるべき施設かどうか、問題はある。公園は県民の憩いの場でなくてはいけない」と語った。
 
碑は二〇〇四年に設置され、「記憶 反省 そして友好の追悼碑を守る会」(前橋市)が管理。県は碑の前の追悼集会で一部の参列者が政治的な発言をしたとみて、一月末の設置期限後も設置許可の更新を保留している。
 
請願は市民団体「新しい日本を考える群馬の会」(富岡市)などが提出し、九日の常任委員会で二件が採択、一件が一部採択となっていた。 (菅原洋)
 
以下は資料として。
呼びかけ文
群馬県立公園群馬の森には、太平洋戦争中の労務動員により作業現場で亡くなられた多くの方々を偲び、二度と過ちを繰り返さず未来に向けて友好を深めていくことを決意した、『「記憶 反省 そして友好」の追悼碑』が2004年に建てられました。毎年5月には碑の前で追悼と未来の友好のための行事が行われてきましたが、昨年から、右翼の妨害によって碑前での行事が行えなくなっています。
 
妨害行為はさらにエスカレートし、公有地から碑を撤去せよとの請願が県議会に提出され、意見も多数(100件以上)届けられているとのことです。「撤去を求める請願」は県議会の運営委員会で来る5月19日に審議されることになっています。
 
上記撤去請願を採択させないためには、撤去の意見の数を上回る存続要請を県に届ける必要があります。碑を存続させるために、是非メール、電話、FAX、はがきなどで、県に存続を訴えて下さいますようお願い致します。
 
群馬県庁(〒371-8570 群馬県前橋市大手町1丁目1-1
電話:027-223-1111)
担当課:県土整備部都市計画課 電話 027-226-3651 FAX 027-221-5566
メール
keikakuka@pref.gunma.lg.jp
 
どうぞ宜しくお願い致します。
 
参考のために、碑文を以下に掲載します。
 
碑文
 
追悼碑建立にあたって
 
20世紀の一時期、わが国は朝鮮を植民地として支配した。また、先の大戦のさなか、政府の労務動員計画により、多くの朝鮮人が全国の鉱山や軍需工場などに動員され、この群馬の地においても、事故や過労などで尊い命を失った人も少なくなかった。21世紀を迎えたいま、私たちは、かつてわが国が朝鮮人に対し、多大の損害と苦痛を与えた歴史の事実を深く記憶にとどめ、心から反省し、二度と過ちを繰り返さない決意を表明する。過去を忘れることなく、未来を見つめ、新しい相互の理解と友好を深めていきたいと考え、ここに労務動員による朝鮮人犠牲者を心から追悼するためにこの碑を建立する。この碑に込められた私たちのおもいを次の世代に引き継ぎ、さらなるアジアの平和と友好の発展を願うものである。
 
2004年4月24日
 
「記憶 反省 そして友好」の追悼碑を建てる会
 
碑文中「朝鮮」及び「朝鮮人という呼称は、動員された当時の呼称をそのまま使用したもので、現在の大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国、及び両国の人達に対する呼称である。
のりこえねっと 
「のりこえねっと」の発足会見(2013年9月25日・東京都新宿区)

ある在日コリアンの青年団体(在日コリアン青年連合(KEY)東京)の発行する情報マガジンの最新号の特集は「日本のレイシズム・ヘイトクライム」。その巻頭に辛淑玉さんの「石原『三国人』発言から13年、いまヘイトスピーチとどう闘うか?――辛淑玉流「在日論」のススメ」というインタビュー記事が掲載されています。辛淑玉さんはいまや在日朝鮮人のひとりとして日本のリベラル・左派にとっても「在日」の人たちにとっても「日本のレイシズム・ヘイトクライム」を語る上で欠かせない存在になっているようです。その辛淑玉さんとはどういう人か? 私はすでに「辛淑玉」という人物像は「メディアというすでにコマーシャル化して久しい独自のフレームによって形成された情報」に基づいて主に日本のリベラル・左派によって形成された「理想化された虚像」ではないか、という疑念を提起していますが、在日コリアンの青年団体の雑誌で辛淑玉さんにスポットを当てた「日本のレイシズム・ヘイトクライム」特集が組まれたのを機に金光翔さん(韓国国籍の在日朝鮮人三世。岩波書店社員。元「世界」編集部員)という「在日」の問題をおのれと自らの「民族」のアイデンティティの問題として真摯に考え抜いている若い思想家の意見(アット・ランダムな一部の抜粋にすぎませんが)を参考にして改めて考えてみたいと思います。
韓国をターゲットにしたヘイトメディアと政府(安倍内閣)のバッシングを指弾する2本の記事をご紹介したいと思います。
 
本日、京都地裁は、在特会に対して、朝鮮学校の周辺で街宣活動しヘイトスピーチと呼ばれる差別的な発言を繰り返して授業を妨害したとして、学校の半径二百メートルでの街宣禁止と約千二百万円の賠償を命じる画期的な判決を下しましたが(注)、そうしたヘイトスピーチが横行する背景にはわが国のメディア(ヘイトメディア)と政府のあからさまな韓国に対する差別感情が底流として伏在しているように見えます。その芥(あくた)も含めて大掃除しなければ日韓現政権(朴槿恵政権と安倍政権)が企んでいる「日韓未来志向」なる偽りの「日韓和解」政治ではない真の「日韓和解」など望むべくもないように思えます。

注:「判決要旨」とある人のコメント

判決要旨
被告らの示威行為が、器物損壊のみならず、名誉毀損にあたり不法行為であること、及び人種差別撤廃条約第一条の「人種差別」に該当し、違法性を阻却される余地はなく、被告らは連帯して損害賠償責任を負うものであり、損害は経済的損害のみならず、業務妨害及び名誉毀損による無形損害全般に及ぶ。人種差別による無形損害の額は、人種差別撤廃条約に基づいて判断すべきであり、人種差別行為に対する効果的な保護及び救済措置となるよう、金銭評価は高額なものとなる。
*さらに詳しい判決要旨はこちら(京都新聞)をご参照ください。

【コメント】
予防効果まで考慮した、一罰百戒の判決です。仮執行宣言付だから、直ちに在特会の口座や西村斉の商売用個人資産を差し押さえて取立が出来ます。しかも判決文にある金額に、6年間年利5%の利息を付けることができます。在特会にはムチャクチャ打撃でしょう。
*さらに詳しいコメントはこちら澤藤統一郎弁護士)をご参照ください。


日本食品輸入規制 
ソウルの市場で放射能を測定する現地の海産物業者。
ネットで広がる「放射能怪談」が韓国経済を直撃している(AP)
 
1本目。
 
これだけの国や地域が日本食品輸入規制を敷いているのに
どうして韓国だけターゲットにするのか

(Peace Philosophy Centre 2013年10月7日)
 
福一の汚染水問題への懸念から、福島県を含む8件からの水産物輸入を9日から全面禁止することにした韓国に対して、漁業団体が韓国大使館に撤回を求めに行ったり、日本政府も16日、WTOで「化学的な根拠に乏しい」と訴える予定であるという。

以下、外務省のサイトにある、主要国や地域における日本からの輸入禁止・制限の一覧である。主要国・地域」とあるので実際の国の数はもっと多いはずだ。これは7月1日時点のものなので最新の韓国の決定は含まれていない。また、米国は9月9日に輸入規制の対象件を8県から14県に増やしている(岩手 、宮城 、福島 、茨城 、栃木 、群馬 、千葉 、 神奈川 だったのが、神奈川を外し、青森、山形、埼玉、新潟、山梨、長野、静岡の7県を追加)。
http://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/pdf/usa_seigo_130927.pdf
この事実を誰が報道しただろうか。日本政府は米国に対して、韓国に対するのと同様に「非科学的」と非難したか。
 
以下外務省の表を見ると、福島、栃木、群馬、茨城からの食品は中国、香港、台湾も全面輸入禁止である。中国については千葉、宮城、新潟、長野、埼玉、東京も。これだけの国が日本からの食品を輸入禁止・制限しているのにどうして日本は韓国だけをターゲットにして苦情を言うのだろうか。米国や中国の大使館にどうして撤回の要請をしないのか。他の国にはどうして「非科学的」と言わないのか。それともそのような行動は行われているが報道されないということか。

引用者注:わが国メディアと政府の韓国をターゲットにしたゆえのないバッシングのさまをNHKの報道を例にして見ておきます。
「輸入禁止根拠乏しい」WTOで説明へ(NHK 2013年10月5日)

東京電力福島第一原発の汚染水問題で、韓国は福島県などの水産物をすべて輸入禁止にしていますが、日本政府は輸入禁止は科学的な根拠に乏しく撤廃すべきだという主張に国際社会の理解を得るため、WTO=世界貿易機関で初めてこの問題について正式に説明を行う方針を固めました。

福島第一原発の汚染水問題を受けて、韓国政府は先月から福島県など8つの県の水産物をすべて輸入禁止とする措置を取っており、これに対し日本政府は早期の撤廃を求めていますが、解決のめどは立っていません。

こうした状況を打開するため、政府はこの問題を国際的な通商問題などを話し合うWTO=世界貿易機関の場で取り上げる方針を固め、今月16日から2日間、スイス・ジュネーブにあるWTO本部で開かれる次の委員会で正式に説明を行う方針です。

この中で、政府は日本の水産物は国際的に見ても放射性物質の厳しい基準を満たしたうえで出荷されており、韓国の輸入禁止の措置は科学的な根拠に乏しく、日本の輸出を阻害するものだと訴えることにしています。

政府としては、日本の主張に対する国際社会の理解を広げることで、韓国の姿勢を軟化させ、禁止措置の撤廃に向けた糸口をつかみたい考えです。
この9月25日、東京都内で、「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」(辛淑玉呼びかけ責任者ら21人の共同代表。略称「のりこえねっと」)という団体の設立記者会見が開かれ、同団体の正式な発足の表明がありました。

のりこえねっと 
反ヘイトスピーチ団体が発足 デモなどの差別運動へ警告
 
私は同「のりこえねっと」の立ち上げには基本的には同意します。
 
が、にもかからず、実のところ、同団体の立ち上げに少なくない違和感のようなものも持っています。その私の違和感をひとことで言表するとすれば以下のようになるでしょうか。
 
「のりこえねっと」は、その設立宣言で、「日本におけるヘイトスピーチは、戦後体制が政策的に作り出してきた差別そのもの」と認定します。それゆえに、同「ねっと」のその宣言に則して見れば、同「ねっと」のいう「乗り越えなければならない(We shall overcome!)」(同左)課題とは、在特会などを中心に「いま、在日韓国・朝鮮人を標的とするヘイトスピーチが、各地で凄まじい勢いで拡大している」(同左)その「ヘイトスピーチ」現象に対抗していくことはもちろん、さらにその「ヘイトスピーチ」現象の背景に蔓延の風景をなしている日本の「戦後体制」そのものへの対抗へと向かわなければならない論理的課題を負っているということにもなるはずですが、同「ねっと」にはその日本の「戦後体制」そのものに対抗していこうとする覚悟はともなっているのか。そのことへの危惧ということになります。
一昨日の6月24日、「人間として『アンチ朝鮮人デモ』(外国人排撃デモ)をもはや等閑視することは許されない」とする全国の弁護士152名が代理人となり、6月16日に東京都新宿区新大久保周辺で行われた「行動する保守運動」が主催した外国人排外デモ「桜田祭」の参加者による暴行、傷害の被害を受けた被害者2名(Kさん、Nさん)による告訴状を新宿警察署に提出し、受理されました。
 
同弁護団の有志は先に「外国人排撃デモに関する弁護士有志の声明」を出して、外国人排撃デモにおける「集団行進や周辺への宣伝活動において一般刑罰法規に明白に違反する犯罪行為を現認確認したときは、当該実行行為者を特定したうえ、当該行為者と背後にある者に対して、その責任追及のためのあらゆる法的手段に及ぶことを言明する」と宣言していましたが、今回の新宿警察署へのKさんとNさんの刑事告訴状提出はその宣言の実行の第一弾ということができるでしょう。
 
「警視総監、よく聞いて下さい。甘い捜査をやるようであれば、検察審査会に申立てをし、国民の名において捜査を断罪します」と、同日開かれた記者会見に参加した弁護士の一人、梓澤和幸弁護士は冒頭、警察行政責任者に向けて強い口調で「怒り」の啖呵を切りました。啖呵は時と場合によっては必要です。この場足は特に必要な啖呵だったと言えるでしょう。

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左から宇都宮健児弁護士、梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士
 
いま「革新メディア」ラベル(たとえば雑誌「世界」)で売出し中の高千穂大学准教授の五野井郁夫氏については私はこちらこちらの記事で同氏批判記事をすでに紹介ずみですが、その五野井氏が彼の論を読む者にとって一見耳触りのよい「やわらかな共同体」論を説きながら(西谷修・五野井郁夫「デモは政治を開けるか」『世界』臨時増刊、2013年2月号)、その実、ファシズムや社会排外主義を容認する脆弱で無知な論の主唱者でしかないことに気がついている人はそう多くないようです。
 
あるメーリングリストにそのことを例証する以下のような投稿がありました。投稿者はヘイトクライム(憎悪犯罪)など国際刑事人権論、戦争犯罪論を主要な研究テーマとしている東京造形大学教授の前田朗氏です。
 
「5月31日、NHKの朝の番組『おはよう日本』で、7時ころにヘイト・スピーチ問題が放映されました。新大久保のヘイト・デモの様子を紹介し、五野井郁夫さん(高千穂大学)の、こういう発言を許しておく社会ではいけないという趣旨の発言。ヘイト・ デモに反対する署名運動の金展克さんの紹介。『ウオールストリート・ジャーナル』など国際社会からの批判。最後に、『人種差別禁止法の制定を』、『「民主主義と人格権が重要ならば、ヘイト・スピーチを許さないのが表現の自由の本来の意味』という私の発言を紹介。(しかし)私の発言は唐突で意味不明です(略)。ともあれ、NHKがはじめて、『人種差別禁止法の制定を』、『規制することこそ表現の自由」という主張を流してくれたのは良かったです(CML 24623)。
 
上記で前田氏が指摘しているように「NHKがはじめて、『人種差別禁止法の制定を』、『規制することこそ表現の自由』という主張を流し」たのはたしかにヘイトクライム問題に対するメディア総体の報道の流れとして一歩前進だと私も思います。しかし、前田氏は、上記の同じ文で高千穂大学准教授の五野井郁夫氏のNHKでのインタビュー発言をニュートラル、もしくは好意的に紹介して、その文に同氏への批判の眼差しはありません。前田氏もまた、五野井氏の論は、「ファシズムや社会排外主義を容認する脆弱で無知な論」でしかないことに気がついていない少なくない人たちの中のひとりだといってよいでしょう。

五野井氏の思想がいかに脆弱な思想に基づくものであるか。戦後の日本の思想の歩みをいかに無視した無知の論であるか。再度、しかし、今度は主題的にその五野井郁夫氏批判の論をご紹介しておきたいと思います。
先日私は「人間として『アンチ朝鮮人デモ』をもはや等閑視することは許されない!! 今度は大阪最大のコリアタウン鶴橋で女子中学生が『南京大虐殺ではなく‘鶴橋大虐殺’を起こしますよ!』と大量殺人予告」という記事を発信しましたが、以下は同記事に関する追記3題です。

第1の追記は「民族憎悪 叫ぶデモ」と題された3月31日に大阪・鶴橋のコリアンタウンであったアンチ朝鮮人デモを取材した4月6日付けの朝日新聞記事の紹介。

第2の追記は「『殺せ』の嫌韓デモに批判高まる」と題された3月17日に東京・新大久保のコリアンタウンであったやはりアンチ朝鮮人デモを取材した3月29日付けの東京新聞「こちら特報部」記事の紹介。

第3の追記は上記弊記事に対する読者の反応に応えたもの。なぜいま日本で「ヘイトクライム法」の制定が喫緊の課題となっているのかということと上記の記事に見るようにいま「現実に行われている言動は、これに拱手傍観を許さない段階に達している」(弁護士有志12人の「声明」。上記の弊ブログ記事参照)こと、「このまま事態を放置すれば、現実に外国人の生命身体への攻撃に至るであろうことは、1980年代以降のヨーロッパの歴史に照らして明らかなところである」(同左)ことについて書きました。

追記1:「民族憎悪 叫ぶデモ」(朝日新聞 2013年4月6日)

嫌韓デモ1 
「日韓断交」などを訴えるデモ隊(上)。道路一本はさんで
抗議デモも(下)。双方を大阪府警が取り囲む騒然とした
          状態が2時間近く続いた=大阪市のJR鶴橋駅近く

 排外主義的な主張を掲げる団体が「韓国人をたたき出せ」などと連呼するデモが各地で繰り返されている。差別的な表現の規制をめぐる議論も起きている。

頻発 規制めぐり論争

 在日コリアンの多い大阪・鶴橋。3月31日の日曜、旭日旗などを掲げた約50人がJR駅前で「朝鮮人を追放しろ」と声を張り上げた。その後、100人超に膨れ、目抜き通りの御堂筋などをデモ行進。「ゴキブリ」「殺せ」「差別しろ」などの言葉も飛び交った。

 主催したのは「神鷲皇國會(しんしゅうみくにかい)」という市民団体。デモの動画を、ネットで流し、過激な言葉で支持を広げてきた、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)とは「同志」といい、そのメンバーらも参加した。

 こうしたデモは最近、韓流の街、東京・新大久保も続く。3月には民主党の有田芳生氏ら有志国会議員が国会で抗議集会を開き、「日本でもヘイトスピーチ規制を議論すべきでは」との意見も相次いだ。有志の弁護士12人も東京弁護士会に人権救済を求めた。

 人種や宗教など、ある属性を有する集団に対し、おとしめたり暴力や差別をあおったりする侮辱的表現を行うことを、ヘイトスピーチ(憎悪表現)と呼ぶ。

 定(引用者注:ママ)の個人や団体への攻撃ならば、名誉毀損罪や侮辱罪になる。だが、相手が「朝鮮人」「韓国人」と言うだけでは抽象的すぎて、刑法の適用は難しい。

 日本も加盟する人種差別撤廃条約は、その4条で、人種差別の扇動を法律で禁じるよう求めている。だが日本政府はこの条文には、留保を付けてきた。

 「正当な言論を萎縮させる危険を冒してまで、処罰立法を検討しなければならないほど、現在の日本で人種差別の扇動が行われているとはいえない」。 これが政府の考え方だ。

法で禁ずる国も

 ドイツは刑法で「民衆扇動罪」を設け、ナチス下のホロコーストの事実を否定するような言動も禁じた。

 英国やカナダにもヘイトスピーチ規制法がある。一方、米国は日本と同じ条文を留保。規制の市条例を連邦最高裁が違憲とした例もあり、議論は揺れている。

 在特会側は「中国や韓国の反日デモでは、もっとひどいことを日本人に投げつけている」と反論。規制論についても、「何をヘイトとするか、基準が確立していない」としている。

「差別アカン」抗議も広がる

 抗議の意志を示す市民の動きも広がっている。

 3月31日の鶴橋駅前では、「仲良くしようぜ」「恥を知れ」「差別はアカン」などのプラカードを掲げた約200人が、反朝鮮デモ側を包囲するように、道路をはさんで前と隣に並んだ。

 カウンターと呼ばれるこうした抗議行動は、新大久保でツイッターを機に広がった。それを見た大阪市在住のクリエーター凛七星(りんしちせい)さん(51)らが「友だち守る団』を立ち上げ、ツイッターで参加を呼びかけた。「まともに相手にすることないと思ってきたが、見過ごせるレベルでなくなった」

 地域の住民も動いた。反朝鮮デモのネット告知を見てすぐ対抗デモを申請したのだ。参加した在日3世の男性(47)「あんな発言を子どもたちに聞かせたくないし、共生を培ってきた地域の人間に対し、差別を先導する人の居場所をなくしたい」と話す。(石橋英昭、多知川節子)

追記2:「『殺せ』の嫌韓デモに批判高まる
     (東京新聞「こちら特報部」 2013年3月29日)

 「在日韓国・朝鮮人を殺せ」といった過激なスローガンが白昼の街に躍る。「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などが主催するデモだ。見かねた人たちが沿道で「(在日コリアンと)仲良くしよう」と書かれたプラカードで対抗し、国会議員からも問題視する声が出始めた。特定の人種や民族を侮辱、攻撃する表現は「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」と呼ばれる。海外では法的な規制もあるが、日本にはない。 (佐藤圭)

 十七日午後、東京・新大久保のコリアンタウン。日章旗などを手にした数百人のデモ隊が大通りを練り歩いた。「春のザイトク祭り 不逞(ふてい)鮮人追放キャンペーン デモ行進in新大久保」。主催は在特会だ。

参加者らのプラカードには「朝鮮人ハ 皆殺シ」「韓流追放」といった文言が並び、「殺せ」「たたき出せ」「ゴキブリ」といったシュプレヒコールが繰り返される。

歩道では、デモ隊に匹敵する数の人たちが抗議の意思を示した。

会社員の木野寿紀さん(30)が二月からツイッターで参加を呼び掛けてきた「プラカ隊」のメンバーは、「仲良くしようぜ」「日本の恥」と書かれたプラカードを無言でデモ隊につきだした。

「ひどいヘイトスピーチに大変な怒りを感じている。地域の人たちに迷惑がかからないように黙って差別反対の意思表示をした」(木野さん)

デモ隊の前後左右を取り囲む警察官たちは、デモ隊とそれに抗議する人たちを引き離そうとするものの、両者はたびたび角を突き合わせてののしり合った。別の抗議集団は「レイシスト(差別主義者)は帰れ」などと糾弾の声を上げた。

騒然とした雰囲気の傍ら、韓国化粧品を並べた店を営む在日韓国人の女性(56)は「どうしてこんなデモがあるのか分からない。お客さんが怖がって寄りつかなくなっている」と顔をしかめた。

在特会は二〇〇七年一月に発足した。日本に居住する在日コリアンたちが「特権を不当に得ている」と主張し、特に在日コリアンに付与された特別永住資格の剥奪と制度の廃止を訴えている。脱原発デモに対抗した「原発の火を消させないデモ行進」も主催した。

ホームページによると、会員数は一万二千人以上。「嫌韓」デモは数年前から各地で実施され、最近では「殺せ」「毒飲め」といった言葉が飛び出すほどエスカレートしている。それに伴い、抗議の声も強まっている。

同会の米田隆司広報局長はこう語った。

「『良い朝鮮人も悪い朝鮮人も殺せ』といった言葉を推奨しているわけではないが、ショッキングなメッセージは印象に残る。朝鮮人に心理的にダメージを与えようということではなく、会の活動を伝わりやすくするためだ。ヘイトスピーチと言われているが、何をもってヘイトとするのか分からない」

一連の抗議に対しては「(抗議する集団は)反原発運動で世間の関心を集められなくなったので、在特会にかみついて存在感を示そうということではないか」と話した。

民主党の有田芳生参院議員らは十四日、在特会などの「嫌韓」デモに抗議する集会を参院議員会館で開いた。約二百五十人が集まった。

決議文では「在特会などの主張は殺人教唆ともいうべき内容で、表現の自由の一線を越えた悪質な扇動にほかならない」と非難した。有田氏は「在特会のような勢力はほっておけば、消えてなくなるという意見もある。だが、言動は過激化するばかりだ。どこかで歯止めをかけなければ」と危機感を募らせる。

特定の個人や団体に対する侮辱行為であれば、名誉毀損(きそん)罪や侮辱罪などに抵触する。在特会などのメンバーが〇九年、京都朝鮮第一初級学校(京都市)の授業を街宣活動で妨害した事件では、メンバーらに侮辱罪、威力業務妨害罪などによる有罪判決が確定した。

しかし、「韓国人を殺せ」といった言葉は、刑法に抵触しない。日本には、欧州諸国などにある人種差別禁止法やヘイトクライム(憎悪犯罪)法がないからだ。

日本も加盟する人権差別撤廃条約は、こうしたヘイトクライムについての法整備を求めているが、政府は動こうとしていない。「処罰立法を検討しなければならないほどの人種差別の扇動は日本には存在しない」という認識からだ。

東京造形大学の前田朗教授(刑事人権論)は「政府は早急に『人種差別禁止法』を制定し、差別は絶対に許さないという姿勢を打ち出すべきだ。その上で、ヘイトスピーチを含むヘイトクライムの法規制を検討してほしい」と強調する。

とはいえ、いま現在は有田氏ら一部の議員らが動き始めたにすぎず、法整備は将来的な課題。表現の自由との「もろ刃の剣」の側面もあるだけに慎重な議論が必要だ。当面は現行法の枠組みの中で対処するしかない。

有田氏らは二十六日、デモの届け出受理をする東京都公安委員会に対して「ヘイトスピーチを伴うデモを過去に実施した団体からデモ・街宣活動の届け出があった場合、新大久保周辺では許可しないこと」などを要請。地元商店街やネット上で集めた署名も提出した。

風当たりの強さに、在特会の一部には微妙な空気も漂っている。

メンバーの男性会社員は「『殺せ』という部分だけを切り取ってレイシストのレッテルを貼るのは納得できないが、私自身は『殺せ』は使わない」と話した。元メンバーの男性会社員は「『殺せ』という言い方には疑問を感じる。会の活動とは距離を置いている」と複雑な心境を明かした。

前出の米田氏は、在特会の現状について「設立当初から退会する人はいる。出たり入ったりだ。それぞれの考えで動けばいい。デモは今後も継続する」と説明する。

著書「ネットと愛国」で在特会の実態に迫ったジャーナリスト安田浩一氏は「在特会はレイシスト、排外主義者だ。容認することはできない」と断じた上で、「市民の力でデモを止めなければならない」と訴える。

「一連の抗議活動によって、動揺しているメンバーは少なくない。ヘイトスピーチに関する法的規制には慎重にならざるを得ないが、そういう議論が始まってもおかしくないほどデモは醜悪だ。法的規制に走らないためにも、一人でも多くの人が反対の意思表示をしてほしい」

<デスクメモ> 在特会と特報部の接点は、四年前のフィリピン人一家強制退去事件からだ。記事内容をめぐり、抗議を受けたこともあった。取り上げること自体が「励まし」に転じかねないというジレンマは常にある。だが、社会には彼らへの沈黙の共感が垣間見える。その危険は無視できない。注目し続ける理由だ。 (牧)

追記3:弊記事の読者の反応に応える。
     「このまま事態を放置すれば、現実に外国人の生命身体への
     攻撃に至るであろうこと」について

●「どんなデモでもヘイトクライム法と言うものができて、ヘイト
 クライムとみなされて規制されたらどうなるんでしょう」という
応への応答。

ヘイトクライム(憎悪犯罪)の「ヘイト」(憎悪)という概念は多種多様で、その意味でたしかになにをもって「憎悪犯罪」というのか。定義が難しい側面はあるのですが、国際的には一般的に「ヘイトクライム」は「人種、民族、宗教、性的指向などに係る特定の属性を有する集団に対しての偏見が元で引き起こされる口頭あるいは肉体的な暴力行為」と定義されているようです(ウィキペディア『ヘイトクライム』の注2『ブリタニカ百科事典』「ヘイトクライム」(英語)参照)。

したがって、「ヘイトクライム法」(日本でも成立したとして)の規制対象となる暴力は「人種、民族、宗教、性的指向などに係る・・・・口頭あるいは肉体的な暴力行為」に限られるので、「どんなデモ」の発言にも規制が及ぶということではありません。規制対象となる暴力は「人種、民族、宗教、性的指向など」にかかわる暴力とはっきりしています。それが「ヘイトクライム」(憎悪犯罪)たるゆえんです。

ただ、この問題にかかわって私たちがいま考えておかなければならないだろうと思われる点は、この「ヘイトクライム法」に定義される概念を含む包括的な人種差別禁止条約としての「人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)」は1965年の第20回国連総会において採択され、日本も1995年に批准していますが、わが国は同条約第四条(a)(b)の適用だけはいまだに留保したままだということについてです。

人種差別禁止条約第4条

締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。

(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。

(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。
   
前田朗氏(東京造形大学教授・刑事人権論)はこのことについて次のように批判しています。

「日本政府は一九九五年に条約を批准したが、条約第四条(a)(b)の適用を留保した。理由はなんと、人種差別表現は憲法上の表現の自由の保護の範囲内にあるというものである。日本政府は「人種差別表現の自由」という驚くべき思想を語る。

二〇〇一年三月、人種差別撤廃委員会は、日本政府報告書の審査結果として、日本政府に条約第四条(a)(b)の留保を撤回し、包括的な人種差別禁止法を制定するように勧告した。 九年後の二〇一〇年三月、人種差別撤廃委員会は、第二回目の日本政府報告書の審査結果として、再び日本政府に対して留保撤回と人種差別禁止法の制定を勧告した。朝鮮人に対する暴力や、インターネットにおける部落差別の実態を見据えた勧告である。

なお、ここで言う人種差別禁止法とは、ヘイト・クライム規制だけではなく、民事・行政・教育・雇用など諸分野におけるさまざまな差別を規制するための総合的立法である。ヘイト・クライム法は人種差別禁止法の一部に相当するが、刑法分野に属する。

人種差別撤廃委員会だけではない。二〇〇五年以来数回にわたって日本の差別状況を調査した国連人権委員会のドゥドゥ・ディエン「人種差別問題特別報告者」も、留保撤回と禁止法の制定を勧告している。

ところが、日本政府はこれらの勧告を拒否している。理由は、第一に表現の自由である。人種差別表現も憲法上の表現の自由に含まれるという。第二に罪刑法定原則である。ヘイト・クライム法は概念が不明確であって、処罰範囲を明確に規定できないという。

日本政府の弁解には説得力がない。人種差別撤廃委員たちは、日本政府に対して「人種差別表現の自由というものを認めるべきではない」「表現の自由を守るためにこそヘイト・クライムを規制するべきだ」と指摘した。現行刑法にも名誉毀損罪がある。人種等に対する名誉毀損罪を認めることは決して難しいことではない。日本政府の主張が正しいとすれば、世界の大半の諸国には表現の自由がなく、日本だけが表現の自由を守っているという珍妙な話になってしまう。戦争反対のビラ配りさえ許さない日本に表現の自由があるというのは、ブラックジョークにすぎないのではないだろうか。

また、条約第四条(a)を受けて、世界の多くの諸国にヘイト・クライム処罰規定が整備されている。日本政府の主張が正しいとすれば、世界の大半の諸国には罪刑法定原則がなく、日本だけが罪刑法定原則を守っているという奇怪な話になってしまう。」(「差別犯罪と闘うために――ヘイト・クライム法はなぜ必要か(1)」(「解放新聞東京版」766号(2011年6月15日号)前田朗Blog

以上、いまや「ヘイトクライム法」の制定を望む声は国際的な人道上の流れとなっているということについて、その一端をご説明させていただきました。

●「ドイツではナチズムは法律で禁止されていますがそれでも出て
 きます。こういう現象をどう捉えるか、またどう対処するかの動き
のほうが本質だと思うのですが」という反応への応答。

この点については既述のこちらの記事でも紹介していますが、外国人排撃デモに関する弁護士有志12人の「声明」の2に次のような説明があります。

「現実に行われている言動は、これに拱手傍観を許さない段階に達していると判断せざるを得ない。このまま事態を放置すれば、現実に外国人の生命身体への攻撃に至るであろうことは、1980年代以降のヨーロッパの歴史に照らして明らかなところである。」

上記にいう「1980年代以降のヨーロッパの歴史に照らして明らか」というのは同じく弁護士有志の東京都公安委員会及び警視庁警視総監に対する申入書の「申入れの理由」の5にいう

「ヨーロッパのドイツ、フランスなどにおいては外国人排撃運動に対し、社会のしかるべき対応が行われなかったことから外国人の生命が奪われ、また放火等重大な犯罪に発展した」

ことなどを指しているでしょう。

また、1980年代は欧州において極右政党が台頭してきた時期でもあります。上記の外国人排撃運動が「重大な犯罪に発展」したことと極右政党が台頭してきたこととには密接な関連があるでしょう。こちらの論攷などもご参照ください。

上記の弁護士有志12人の声明はいま東京・新大久保のコリアンタウンや大阪・鶴橋のコリアンタウンで「現実に行われている言動」について「拱手傍観を許さない」ことこそが1980年代以降のヨーロッパの歴史の過ちを繰り返さないこと、さらにはナチズム的な思想の復活を許さないことにつながっていくのだということ、すなわち「どう対処するかの本質」につながっていくのだということを言っているのだと思います。私もそう思います。

●「『殺すぞ』くらい日常語である中学生の罵詈雑言を『大量殺人予告』
 とは大袈裟だと思いますが、誰かが注意してやらなければならんでし
ょうねえ。ここは熱くならないで、冷静な大人の対応が必要でしょう。
『すぐにヘイトクライム法を!』なんてやったら、相手の思うつぼかもね」
という反応への応答。

たしかにいまの中学生は小さい頃からのテレビや漫画などの影響もあって「殺すぞ」という罵詈雑言を日常的に遣っているという側面はありますが、その中学生のじゃれあいのような会話の中での「殺すぞ」という言葉と上記のヘイトスピーチとしての「殺すぞ」という言葉はたとえその言葉の発信者が女子中学生だとしても本質的に違うと思います。女子中学生の「殺すぞ」発言は上記の「アンチ朝鮮人デモ」の流れの中で遣われています(あるいは遣わされています)。そして、こうしたヘイトクライム、ヘイトスピーチはもはや「拱手傍観を許さない段階に達していると判断せざるを得ない」(弁護士有志の「声明」)状況にあるといわなければならないのです。「このまま事態を放置すれば、現実に外国人の生命身体への攻撃に至るであろうことは、1980年代以降のヨーロッパの歴史に照らして明らかなところである」(同左)ともいわなければならないでしょう。下記の弁護士有志たちの警告と懸念を再度読み直していただければ、と思います。

■新宿区新大久保地域で行われる外国人排撃デモについて
声明申入書人権救済申立書 弁護士有志 2013/3/29


私は先に(2013年2月10日付)「『東京のアンチ朝鮮人デモで『朝鮮人を殺せ』と書かれたプラカードが出現した』ということへの驚愕と戦慄」という記事を書いて、人を人とも思わないそのあまりの傍若無人さに仰け反りそうにもなる私の「驚愕と戦慄」をお伝えしたことがあります。そのときに添付した2枚の証拠写真が以下でした。

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しかし、そのときの私の「驚愕と戦慄」はまだまだ甘っちょろいものでした。事態はさらにエスカレートしています。今度は大阪最大のコリアタウン鶴橋で女子中学生が「鶴橋に住んでいる在日クソチョンコのみなさんがいつまでも調子に乗っとったら‘南京大虐殺’ではなくて‘鶴橋大虐殺’を実行しますよ!日本人の怒りが爆発したらそれぐらいしますよ!」と大量殺人予告をしている動画がYou Tube で流されています。



鶴橋に住んでいる在日クソチョンコのみなさん
ほんま、みなさんが憎くて、憎くてたまらないです!
もう、殺してあげたい!
いつまでも調子に乗っとったら‘南京大虐殺’ではなくて
‘鶴橋大虐殺’を実行しますよ!
日本人の怒りが爆発したらそれぐらいしますよ!
大虐殺を実行しますよ!
実行する前に自国に戻ってください!
ここは日本です。朝鮮半島ではありません!いいかげん帰れ!

上記はもはや「表現の自由」などというレベルのものではありえません。完全な脅迫、殺人予告です。わが国にはいまだ「憎悪犯罪」を取り締まる「ヘイトクライム法」は存在しませんが、現行法の刑法にも違反することは明白です。すなわち、上記の行為は、白昼堂々と不特定多数の公衆の面前(街頭)で大量殺人の予告をしているのですから刑法の騒乱罪(刑法106条)に該当します。また、在日朝鮮人の人々や在日韓国人の人々に向けられた発言は刑法の脅迫罪(刑法222条)、侮辱罪(231条)を構成します(下記の弁護士有志による「人権救済申立書」の赤字ボーダー及び直下の注参照)。

注:その際、被害者を具体的に特定するなどの公訴要件を満たすための作業が必要になってくることは言うまでもありません。

騒乱
第百六条 多衆で集合して暴行又は脅迫をした者は、騒乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
一 首謀者は、一年以上十年以下の懲役又は禁錮に処する。
二 他人を指揮し、又は他人に率先して勢いを助けた者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
三 付和随行した者は、十万円以下の罰金に処する。

脅迫
第二百二十二条  生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2  親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

侮辱
第二百三十一条  事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

また、何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができます。またさらに「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と法律で義務づけられているわけですから、彼ら(警察職員)を職務義務違反として刑事告発することもできます(刑事訴訟法)。

告発
第二百三十九条 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
2 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

上記のような行為を行う者はただちに刑事告発しましょう。下記の弁護士たちも支援してくれるものと思います。


外国人排撃デモに関する弁護士有志の声明

1 本日私たちは、本年2月9日以来4回にわたって東京都新宿区新大久保地域で行われてきた外国人排撃デモの実態に鑑みて、今後周辺地域に居住、勤務、営業する外国人の生命身体、財産、営業等の重大な法益侵害に発展する現実的危険性を憂慮し、警察当局に適切な行政警察活動を行うよう申し入れた。

2 外国人排撃のための「ヘイトスピーチ」といえども、公権力がこれに介入することに道を開いてはならないとの表現の自由擁護の立場からする立論があることは私たちも承知している。しかしながら、現実に行われている言動は、これに拱手傍観を許さない段階に達していると判断せざるを得ない。
このまま事態を放置すれば、現実に外国人の生命身体への攻撃に至るであろうことは、1980年代以降のヨーロッパの歴史に照らして明らかなところである。

3 また、ユダヤ人への憎悪と攻撃によって過剰なナショナリズムを扇動し、そのことにより民主主義の壊滅を招いたヒトラーとナチズムの経験からの重要な教訓を、この日本の現在の全体状況の中でも改めて想起すべきと考える。

4 以上のことから、私たちは当面の危害の防止のため緊急に行動に立ち上がるとともに、マスメディアや、人権や自由と民主主義の行く末を憂慮する全ての人々に関心を寄せていただくよう呼びかける。

5 また、上記の集団行進や周辺への宣伝活動において一般刑罰法規に明白に違反する犯罪行為を現認確認したときは、当該実行行為者を特定したうえ、当該行為者と背後にある者に対して、その責任追及のためのあらゆる法的手段に及ぶことを言明する

2013年3月29日

弁護士 宇都宮 健 児
弁護士 澤 藤 統一郎
弁護士 梓 澤  和 幸
弁護士 中 山  武 敏
弁護士 海 渡  雄 一
弁護士 中 川  重 德
弁護士 渡 邉  彰 悟
弁護士 杉 浦  ひとみ
弁護士 殷    勇 基
弁護士 神 原    元
弁護士 田 場  暁 生
弁護士 中 川    亮

東京都公安委員会及び警視庁警視総監に対する弁護士有志の申入書

2013年3月29日

東京都公安委員会 御中
警視庁警視総監 殿

弁護士 宇都宮 健 児
弁護士 澤 藤 統一郎
弁護士 梓 澤  和 幸
弁護士 中 山  武 敏
弁護士 海 渡  雄 一
弁護士 中 川  重 德
弁護士 渡 邉  彰 悟
弁護士 杉 浦  ひとみ
弁護士 殷    勇 基
弁護士 神 原    元
弁護士 田 場  暁 生
弁護士 中 川    亮
                                        連絡先
東京都千代田区神田須田町1-3 NAビル4階
東京千代田法律事務所
弁護士 梓 澤 和 幸 
電 話03-3255-8877
FAX03―3255-8877

申入れの趣旨

東京都新宿区新大久保地域で行われる外国人排撃デモにおいて新大久保地域に居住営業する韓国人、朝鮮人、中国人ほか在日外国人への生命身体への害悪の告知、住居侵入、威力業務妨害等関係者の生命身体、財産、営業に対する著しく重大な法益侵害につき、明白にして現在の著しい危険がある行為についてはこれが関係者の重大法益を侵害しないよう関係法規に基づき、適切な行政警察活動を行われたい。

申入れの理由

1 2013年2月9日、10日、17日、3月17日に行われた在日特権を許さない市民の会(以下「在特会」という。)による集団行進においては、「殺せ殺せ朝鮮人」、「韓国=敵、よって殺せ」、「朝鮮燃やせ、我々はソウルの街を火の海にするぞ」等の参加者のシュプレヒコールが発出され、プラカードが携行・掲出された。また、参加者の中には沿道の在日外国人経営の飲食店に入り、「韓国人は出て行け」などの行為をするものもあった。

2 これらの行為により、付近の在日外国人は生命身体の危険を感じ、恐怖感を抱いた人たちも少なくない。

3 さらには異常な外国人排撃の表現や脅迫文言ととられる言動があったため、付近の在日外国人経営の飲食店、土産物店などの売上は著しく減少している。

4 従前のデモについては一部に脅迫、威力業務妨害などの行為やその実行行為直前の行為が見られたにもかかわらず、現場に臨場していた警察官たちにおいて適切な警告、制止が行われたとは言いがたい。

5 ヨーロッパのドイツ、フランスなどにおいては外国人排撃運動に対し、社会のしかるべき対応が行われなかったことから外国人の生命が奪われ、また放火等重大な犯罪に発展したことも銘記されるべきである。事態が深刻な発展を遂げているのに警察の対応も充分とは言えず、また社会の批判的言論の発展も充分とはいえない。
以上の事態を憂慮し、私たちは法律家としてここに前記の趣旨の申し入れを行い、また本日これを発表して大方の関心を呼びかける次第である。
以上

東京弁護士会に対する弁護士有志の人権救済申立書

2013年3月29日

東京弁護士会 会長 殿

申立人 弁護士 宇都宮 健児
申立人 弁護士 澤藤 統一郎
申立人 弁護士 梓澤  和幸
他9名

申立人らの表示 別紙申立人目録記載のとおり

〒100-8929
東京都千代田区霞が関2丁目1-1
相手方  警視庁 警視総監             

申立の趣旨
      

  相手方は、東京都新宿区新大久保地域で行われる外国人排撃デモにおいて新大久保地域に居住営業する韓国人、朝鮮人、中国人ほか在日外国人への生命身体への害悪の告知、住居侵入、威力業務妨害等関係者の生命身体、財産、営業に対する著しく重大な法益侵害につき、明白にして現在の著しい危険がある行為についてはこれが関係者の重大法益を侵害しないよう関係法規に基づき、適切な行政警察活動を行われたい。


申立の理由
       

第1 申立の概要

   本申立は、2013年2月9日、10日、17日、3月17日に行われた在日特権を許さない市民の会(以下「在特会」という。)による集団行進において、「殺せ殺せ朝鮮人」、「韓国=敵、よって殺せ」、「朝鮮燃やせ、我々はソウルの街を火の海にするぞ」等の参加者のシュプレヒコールが発出され、同趣旨のプラカードが携行・掲出されたこと、また、沿道の歩行者や店舗の店員に罵声が浴びせられ、危険な状態が生じたことについて憂慮し、適切な行政警察活動を求めるものである。

第2 申立に至る経緯

1 「在日特権を許さない市民の会」及び「行動する保守運動」の性格

(1) 在特会とは、“在日特権”を許さないことを目的とする等と称して、2007年1月20日頃、桜井誠(本名:高田誠)を会長として設立された。

(2) 同会のホームページ(甲1)によれば、“在日特権”とは、「何より特別永住資格」であり、「1991年に施行された入管特例法を根拠に、旧日本国民であった韓国人や朝鮮人などを対象に与えられた特権」だとのことであるから、要するに、同会は、本邦に居住する韓国籍や朝鮮籍の人々や、朝鮮半島にルーツのある日本人(以下、「在日コリアン」という。)を非難攻撃することを主たる目的とした団体だということになる。
  同団体は、上記目的のために各地で街頭宣伝活動やデモを行ってきたが、その際、「朝鮮人を殺せ」「ゴキブリ」「叩き出せ」「朝鮮人はウンコ食っとけ」などの汚いヘイトスピーチ(暴力と差別を煽る表現を伴う言論)を使用し続けている。

(3) 同会は、2009年12月4日には、京都府南区にある京都朝鮮第一初等学校校門前において、拡声器によって「朝鮮学校、こんなものは学校でない」等の罵声を約1時間に渡って同校に向かって浴びせるという事件を起こした。
  また、同会は、2010年4月14日には、徳島県教組事務所に乱入し、「朝鮮人の犬」「こら非国民」等とトラメガを使って叫ぶ事件(徳島事件)を引き起こしている。
  京都事件については、10年8月10日、同会より4人の逮捕者を出した。また、その一ヶ月後、徳島事件で同会より7人の逮捕者を出している(以上、「安田浩一「ネットと愛国」93頁以下参照 甲2)。

(4) 「行動する保守運動」とは、在特会とデモ日程などを共有し、ともに行動している一群の政治団体と考えられる。
  「行動する保守運動」との表題があるホームページの「行動する保守運動のカレンダー全国版」には、後述の「新社会運動」「日本侵略を許さない国民の会」「湘南純愛組・優さん」等のグループが名前を連ねる(甲3)。
  「行動する保守運動のカレンダー全国版」の説明書きには、「このカレンダーは在日特権を許さない市民の会が管理する 『行動する保守運動』 の活動予定表です。行動する保守運動に賛同する団体なら誰でも参加出来ます。参加をご希望の方は以下のカレンダー管理担当宛てに参加申請をお送りください。」とある。
  この記載から、「行動する保守運動」は、在特会が中心になって運営し、これに賛同する有象無象の団体が、一緒になって行動しているものと考えられる。
  以下、「行動する保守運動」に所属する「在特会」、「日本侵略を許さない国民の会」、「新社会運動」等の団体を総称して、「本件団体」と称する。

2 新大久保駅周辺の状況(甲4)

(1) 新大久保駅周辺には、東西に二本、「職安通り」と呼ばれる通りと、「大久保通り」と呼ばれる通りが存在している。
  両方の通りの間には、南北に細い通りが複数通じており、そのもっとも賑やかな通りが「イケメン通り」と称される。

(2) 職安通りの北側、とりわけ北新宿百人町乃至東新宿までの区間には、韓国料理店、食材店などが密集している。
  また、大久保通りの北新宿1丁目乃至大久保2丁目までの区間にも韓国料理店、食材店などが密集している。
  これに加えて、新大久保駅周辺及びイケメン通りには、韓流スターのグッズの店や、韓国風化粧品などを売る店が並んでおり、多くの韓流ファンが集まる空間になっている。

(3) また、大久保通りには、中央教会キリスト教(神父が在日コリアン)、日本キリストルーテル教会の2つの教会のほか、区立大久保小学校、区立柏木小学校、区立柏木こども園があり、閑静な住宅街が広がっている。


3 本件団体による新大久保駅周辺のデモ実施状況(甲3)

(1) 2月9日、在特会東京支部その他の協賛、「新社会運動」なる団体の主催で、新大久保駅周辺において、「不逞鮮人追放!韓流撲滅 デモ in 新大久保」と称するデモ行進が行われた。
  2月10日、「日本侵略を許さない国民の会」なる団体の主催で、新大久保駅周辺において、「北朝鮮は拉致被害者を即刻返せ! in 新宿」なるデモ行進が行われた。
  2月17日、「湘南純愛組・優さん」なる団体の主催で、新大久保駅周辺において、「韓国を竹島から叩き出せ!in新大久保」なるデモ行進が行われた。
  さらに、3月17日、在特会東京支部の主催で、新大久保駅周辺において、「春のザイトク祭り 不逞鮮人追放キャンペーン デモ行進 in 新大久保」なるデモ行進が行われた。
  なお、上記「行動する保守運動」のカレンダーによれば、本年1月12日にも、在特会東京支部主催で、新大久保駅周辺において、「韓流にトドメを! 反日無罪の韓国を叩きつぶせ 国民大行進 in 新大久保」と称するデモ行進が行われている。

(2) これらからすれば、在特会及びその周辺の「行動する保守」のグループは、新大久保駅周辺においては、今年に入って実に5回、類似のコースでデモ行進をしていることになる。
  前述のとおり、新大久保駅周辺には、韓国人料理店や「韓流」の店、韓国食材の店など、韓国にまつわる商店が多く、在特会及びその周辺の「行動する保守」は、これらの店及びその客をターゲットとして、いわば、「韓流」ブームに対する攻撃として、新大久保駅周辺でデモを行っていることが明らかである。
  この点だけとらえても、新大久保駅周辺の店舗が、いかに本件団体の被害に遭っているかが明瞭である。

(3) 本年3月31日、新大久保駅周辺において、新日友会、神鷲皇國會の主催、在特会、新社会運動等の共催で、「特定アジア粉砕新大久保排害カーニバル!!」と称するデモが予定されている。

4 本件団体によるデモの問題点

(1) 本件団体によるデモは極めて粗暴かつ暴力的であり、暴力や差別を煽り、とりわけ新大久保駅周辺の環境に絶大な悪影響を与えている。具体的には以下のとおりである。

(2) 粗暴な言動、ヘイトスピーチ
  在特会をはじめとして、本件団体はいずれも在日コリアンに対する攻撃を目的としている。そのため、本件団体のデモ参加者は、在日コリアンを攻撃するため、いずれも、以下のような言動を大声でしながらデモを行っている(3月16日付朝日新聞 甲5)。
  「朝鮮人を殺せ!」
  「朝鮮人を叩き出せ!」
  「朝鮮人を射殺せよ!」
  「朝鮮人はゴキブリだ!」
  「朝鮮人は犯罪者だ!」
  同時に、本件団体のデモ参加者は、次のようなプラカードを掲げてデモ行進に参加している。
  「よい朝鮮人も悪い朝鮮人も、みんな殺せ」(甲6)
  「韓国≠悪、韓国=敵 よって殺せ」(甲7)
  「朝鮮人、頸つれ、毒飲め、飛び降りろ」(甲8)
  以上のような発言及びプラカードは、明らかに常軌を逸しており、とりわけ、大量殺人の煽動は刑法の騒乱罪(刑法106条)、営業妨害は威力業務妨害罪(234条)、歩行者や店員に対して向けられた発言は、脅迫罪(刑法222条)、侮辱罪(231条)を構成する。また、刑法の問題を離れても、周囲の環境に与える影響は計り知れない。

(3) 通行上の危険を誘発し、暴力的事態を生じさせていること
  同団体のデモ行進参加者は、しばしば道路からはみ出して歩道に入り、商店や歩行者と衝突している。このため、機動隊員が周囲を取り囲むために歩道上の通行が不能になり、通行人の通行に重大な支障を生じさせている。
  また、同団体の過激なヘイトスピーチは、当然、周囲の怒りを買い、抗議する者が殺到している。一度は、同団体のデモに抗議する女性が道に飛び出して警官隊に取り押さえられたり(甲9)、主催者の桜井誠(高田誠)自身が沿道の罵声に激高して暴れ出し、警官隊に取り押さえられるという事態もあった(甲10)。
  さらに、同団体は、しばしば、沿道を歩く市民に対し、「こら、そこの朝鮮人」等と罵声を浴びせたり、脅迫的言質を行っている。このため、沿道では、若い女性が泣き出したり、逆に沿道の市民とデモ参加者との間で罵声の応酬が始まることもあり、本件現場周辺は一触即発の事態になっている。
  このように、同団体の激しいヘイトスピーチの結果として、新大久保駅周辺は毎週週末になると騒然とした状態になり、一部には暴力的事態まで発生しているのである。

第3 本件申立に至る理由

1 以上のとおり、在特会による集団行進においては、暴力や差別を煽る言動が行われ、沿道に大混乱を引き起こしている。これらの行為により、付近の在日外国人は生命身体の危険を感じ、恐怖感を抱いた人たちも少なくない。

2 さらには異常な外国人排撃の表現や脅迫文言ととられる言動があったため、付近の在日外国人経営の飲食店、土産物店などの売上は著しく減少している。
  従前のデモについては一部に脅迫、威力業務妨害などの行為やその実行行為直前の行為が見られたにもかかわらず、現場に臨場していた警察官たちにおいて適切な警告、制止が行われたとは言いがたい。

3 ヨーロッパのドイツ、フランスなどにおいては外国人排撃運動に対し、社会のしかるべき対応が行われなかったことから外国人の生命が奪われ、また放火等重大な犯罪に発展したことも銘記されるべきである。事態が深刻な発展を遂げているのに警察の対応も充分とは言えず、また社会の批判的言論の発展も充分とはいえない。

4 以上の事態を放置すれば、デモの実施場所の沿道に位置する飲食店や土産物店、その従業員、沿道の住民、買物客や観光客、そして一般の外国人などの基本的人権を侵害する恐れが極めて強い。
  これを適正に排除するためには、現場に臨場する警察官らが適切に警告を発し、また、場合によっては犯罪的行為に対する制止を行うべきである。

第4 結論

  よって、デモが通過する沿道の店舗、住民、買物客、一般外国人(とりわけ在日コリアンに属する人々)の基本的人権を擁護するため、本申立に及んだ次第である。

以上

証拠方法

甲1 在特会ホームページ
甲2 「ネットと愛国」(追完予定)
甲3 「行動する保守」ホームページ
甲4 新大久保駅マップ
甲5 新聞記事
甲6 写真
甲7 写真
甲8 写真
甲9 写真
甲10 写真

申立人目録

〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目12−15 COI銀座612
東京市民法律事務所 電話:03-3571-6051
申立人 弁護士 宇都宮 健児

〒113-0033 東京都文京区本郷5-22-12
澤藤統一郎法律事務所 電話:03-5802-0881
申立人 弁護士 澤藤 統一郎

〒101-0041 東京都千代田区神田須田町1-3 NAビル4階 
東京千代田法律事務所(連絡先) 電話03-3255-8877
申立人 弁護士 梓澤 和幸
申立人 弁護士 殷 勇基

〒104 -0042 東京都中央区入船1-7-1 松本記念会館4階
中山法律事務所 電話03-6280-3225
申立人 弁護士 中山 武敏

〒100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目1−1 国際ビルヂング9F
東京共同法律事務所 電話03-5219-8777
申立人 弁護士 海渡 雄 一
申立人 弁護士 中川 亮

〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1-16-8アライヒルズ2A
諏訪の森法律事務所 電話03-5287-3750
申立人 弁護士 中川 重德

〒160-004 東京都新宿区四谷1-18-6 四谷プラザビル4階
いずみ橋法律事務所 電話03-5312-4815
申立人 弁護士 渡邉 彰悟

〒113-0033 東京都文京区本郷3丁目18番11号TYビル302
 東京アドヴォカシー法律事務所 電話03-3816-2061
申立人 弁護士 杉浦 ひとみ

〒211-0004 川崎市中原区新丸子東2-895 武蔵小杉ATビル505号室
武蔵小杉合同法律事務所 電話044-431-3541
申立人 弁護士 神原 元

〒171-0021 東京都豊島区1丁目17−10 エキニア池袋6階
城北法律事務所 電話:03-3988-4866
申立人 弁護士 田 場 暁 生

以上

低気温のエクスタシーbyはなゆーの主宰者のはなゆー氏が2月9日付けで「東京のアンチ朝鮮人デモで『朝鮮人を殺せ』と書かれたプラカードが出現」という記事を発信していました。以下は、そのはなゆー氏の記事を見て、読んで考えたことです。

はなゆー氏の情報から:

Ikuo Gonoï‏@gonoi「新大久保にて、在特会のデモ、200人ほど。参加者のなかには『善い朝鮮人も 悪い朝鮮人も どちらも殺せ(強調は引用者。以下同じ)というプラカードを掲げる者も。」
*引用者注:実際のプラカードには「良い韓国人も 悪い韓国人も どちらも殺せ」と書かれています。投稿者の単純な記載ミスのようです。

アンチ朝鮮人デモ1 
https://twitter.com/gonoi/status/300116613594763264/photo/1

Ikuo Gonoï‏@gonoi「新大久保の在特会デモにて『朝鮮人 首吊レ 毒飲メ 飛ビ降リロ』のプラカードを掲げる男。マスクで顔を隠しているのは、面割れしてもできるような主張ではないことに、気付いているが故だろうか。」
*引用者注:こちらのプラカードには「韓国人」ではなく「朝鮮人」とあります。

アンチ朝鮮人デモ2 

上記のはなゆー氏の情報にあるツイットへの下記の返信コメントの指摘も重要です。

堀 茂樹‏@hori_shigeki:「これはデモではなく、テロですね(デモとテロを同質と見なす相対主義のトンデモ学者がいた事を思い出す)。」

堀 茂樹‏@hori_shigeki:「もはや『無視』などという言葉で、見て見ぬふりはできませんね。」

Thoton Akimoto‏@thoton_a:「政治的なスローガンを掲げてるわけでない。これはデモとは呼べないね。」

Thoton Akimoto‏@thoton_a:「怖いですね。人間性が喪失してしまった人達。」

私は3年ほど前に上記の情報に見る「在特会」の行動を含む「行動する保守」「草の根保守」の動きについて下記のような記事を書いたことがあります。

「在特会」「行動する保守」「草の根保守」について分析したいくつかの記事(弊ブログ 2010.03.17)

その中で私は朝日新聞の藤生京子記者が2002年に書いた「『アンチ左翼』意識で結ばれる“草の根保守”」という記事(上記ブログ記事参照)を好意的に紹介していました。

「朝日新聞の藤生記者は上記『〈癒し〉のナショナリズム』の著者の上野さんの眼に託して草の根保守の思想の源泉を次のように見ています。/『持ち前の人なつっこさですぐに溶け込んだ上野さんが見たのは、どこにでもいるホワイトカラーの人々、堅苦しい政治運動とはほど遠い「サークル的」雰囲気だった/彼らを共同体としてつないでいたものが『アンチ左翼』意識だ。左翼、市民運動家、人権主義、マスコミ、官僚、中国といった攻撃対象に挑みかかる。といってナショナリスティックにすぎる言動はノー。天皇万歳を叫ぶ古典的な右翼を苦手とする意見もあった。/運動より仕事や家事という本業を大切にする個人主義、過激さを敬遠すること、皇太子の子どもの誕生を祝う程度の戦後世代の平均的な天皇観しか持ち得ないこと」/私として上記の分析につけ加える用意はいまありません」、と。

しかしいまは、「草の根保守の思想の源泉」を探ることだけでは弱いだろう。「運動より仕事や家事という本業を大切にする個人主義、過激さを敬遠すること、皇太子の子どもの誕生を祝う程度の戦後世代の平均的な天皇観しか持ち得ない」ふつうの市民が持つその草の根の保守思想が結果としてどこに帰着しようとしているのか。あるいはどこに着地させられようとしているのか。そのことについてももっと真剣な議論を喚起する、喚起しておく必要があるのではないか、と反省的に思っています。

はなゆー氏の上記の情報を見るにつけ、私たちの国のポイント・オブ・ノーリターン(帰還不能点)の日の到来することの決して遠くないことが実感として私の身内、心理に迫って来るのです。それは懼れ慄きの思い、戦慄の思いといってもよいでしょう。

再び堀茂樹氏の指摘をリフレーンしておきます。「もはや『無視』などという言葉で、見て見ぬふりはできませんね。

追記:なお、はなゆー氏は追加情報として饗場和彦氏(徳島大学総合科学部)の「ルワンダにおける1994年のジェノサイド―― その経緯,構造,国内的・国際的要因 ――」という論攷も紹介、添付していました。
信州の山村、南相木村診療所で12年間地域医療に携わり、現在も長野県佐久総合病院で内科医師をされている色平哲郎さんのTPP問題や東日本大震災、福島第1原発問題に関する最近の精力的なご発言、そのご活動は目を瞠るものがあります。私は「狂狷(きょうけん)の人」である色平さんの最近のその精力的な言論活動に強い敬意を表するものです。

その色平さんからあるメーリングリストにごく最近下記のような投稿がありました。

私はバーキアン、つまり保守主義者なので、“フランス革命”のような科学至上、理性至上の主張や感覚に違和感を持っています/中島岳志氏も保守主義者のようですね

「保守派の私が原発に反対してきた理由」
http://www.magazine9.jp/hacham/110330/

彼の「世界は普遍的に「想定外」なもの」また「理性万能主義に対する懐疑」という感覚、欧米の伝統に由来する保守主義の立場からすると”正統”となりましょう

日本人の使う”保守”ということばは、このような外部世界での通常の語法とはずれまくってしまっていますので、ちょっとご説明に窮するところではありますが、、、

そして続けて追伸(自己レス)として下記のような投稿もありました。

自己レスです、友人ふたりからコメントが寄せられました/FYI(東本注:参考)として差し上げます、そのままが私の意見ではございません(念のため)

「友人ふたりから」のコメントの全文の引用は省略しますが、その友人のおひとりのコメントとは池田香代子さんからのもので次のようなものでした。

「日本人の使う”保守”ということばは、このような外部世界での通常の語法とはずれまくってしまっています」(色平さん)

じつはわたしも保守主義親和的です。/「ふるさと」を国家の上に置くのが保守主義者だと思います。/保守主義は地域主義的です。/ですから、辺野古高江、そして原発に反対ないしきびしく対峙する地域の人びとこそが真正保守主義者だと思います。/去年書いたブログ記事(一部)です。
色平さんのおっしゃる「ずれまくり」についても書いています。

そして、日本人の使う”保守”ということばの「ずれまくり」について書いたという池田さんのブログ記事は次のようなものでした。

■保守主義の島 沖縄(池田香代子ブログ 2010年5月7日)
http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/51403917.html

私は上記の色平さんへの返信として下記のような私の「保守主義」についての感想を認めました。以下、色平さんへの私の返信です。


色平さん

TPP問題や東日本大震災、福島第1原発問題など今年になってからの突出したご情報の提供、またご活躍に心から敬意を表します。むろんのこと、色平さんから提供される情報の数々は私にとっても大いに役立っています。感謝申し上げます。

さて、少し遅いレスになりますが、色平さんのおっしゃる「保守主義」についてひとこと。

色平さんご自身が中島岳志氏の保守主義の論を紹介しながら「日本人の使う”保守”ということばは、このような外部世界での通常の語法とはずれまくってしまっていますので、ちょっとご説明に窮するところではありますが」と自覚されたうえで「私はバーキアン、つまり保守主義者なので」とおっしゃっておられるので釈迦に説法的なことを言うほどのこともないと私も「自覚」しているのですが、日本の保守主義に関する次の丸山眞男のことばはご紹介しておきたいと思いました(おそらく色平さんもご存知のことだろうとは思っていますが)。

「日本の保守主義とはその時々の現実に順応する保守主義で、フランスの王党派のような保守的原理を頑強に固守しない」(「日本人の政治意識」『丸山眞男集第3巻』所収 1948年)

加藤周一は丸山と同様のことを「大勢順応主義」ということばで表現していました(『日本文学史序説』上下 筑摩書房、1975・1980年。『日本文化のかくれた形(かた)』加藤周一、丸山真男、木下順二、武田清子共著、岩波現代文庫、2004年)。

また、保守主義者の中島岳志氏については中島と同世代の批評家の金光翔さんの次のような批判もあります。

中島が「保守」しようとしているのは、「伝統」でも「国のかたち」でもない。「論壇」や「マスコミ利権」や「アカデミズムとマスコミとの馴れ合い」である。この馴れ合いたがる人々においては、表向きの看板と違って左右対立などもともとなく、巨人対阪神、という程度の意識しかない。そのような「保守」であるからこそ、大して本も売れていないのに、中島は「保守」思想家としてマスコミで活躍できるわけである。

ところで「じつはわたしも保守主義親和的です」とのコメントがあった「友人ふたり」のうちのおひとりは池田香代子さんのことですね(「保守主義の島 沖縄」 池田香代子ブログ 2010年5月7日)。

私もこの池田さんの記事を当時読み応えのある記事として読みました。池田さんはそういう人だろうと私は思っていましたが、池田さんのよって立つ思想の基盤のひとつがよく理解できました。とても池田さんらしさが伝わる記事だと思ったものです(私は昨年だけでも池田さんを批判する記事を3本ほど書いているのですが)。

その池田さんと私は変な縁があります。私と池田さんはともに北九州の若松の出身で、私が小さかった頃の家の大家は「池田」という姓の人だったのですが、この池田さんはその近隣の大地主であると同時に酒やしょうゆの醸造や風呂屋や米屋も営む手広い商いで財を成したその土地では有名な大金持ちでした。池田さんの屋敷の前には私たちが「大池」と呼んでいた池がありましたが、その池で私たち子どもは魚釣りをしたり、泳いだりして遊んでいました。私は高校生の頃までは池田さんの営む銭湯に毎日のように通いました。幼い頃、米穀通帳を持って池田さんの米屋に1升、2升の米を買いに行かされもしていました。その池田さんの屋敷の長男坊の娘さんが池田香代子さんなのですね(ただし、池田さんは東京生まれ、東京育ちですが)。一度、池田さんが講演で大分に来られたときその話を少しばかりしました。池田さんとはまだまだケンカは続けなければいけないと私は思っていますが、しかし同時に池田さんは私にとって懐かしい人です。

とりとめもなく・・・
 
追記:
 
上記の返信を書いた直後に色平さんから私宛に下記のような追伸(抜粋)が届きました。
 
> さて、少し遅いレスになりますが、色平さんのおっしゃる「保守主義」

ここなのですが、日本の医師むけに書いたものなので、何卒、ご勘弁を/医師はたいへん自信過剰なのですが、バークの名前さえ知らず、この程度にするしかないのです

> 加藤周一は丸山と同様のことを「大勢順応主義」ということばで表現していました。
 
生前、加藤さんとは、夏はご近所でもあり、親しくしていました/雑誌「世界」の05年のどこかの号に掲載された「戦後50年企画」編集長インタビューで加藤さんと「大勢順応主義」について語り合ったことを述べてあります

色平さんのおっしゃる雑誌『世界』の編集長インタビューとは下記の記事のことのようです。この記事のURLも添付させていただこうと思います。加藤周一の「日本的コンフォーミズム(大勢順応主義)」の考え方がよく理解できますし、色平さんはまさに「狂狷の人」だなあ、ということもよくわかります。
 
“野生の老人たち”の戦後史 ~地域医療の現場から~
(色平哲郎(佐久総合病院内科医) 聞き手=編集部 『世界』2005年10月号)
http://irohira.web.fc2.com/b26AgedPersons.htm


日本文化のかくれた形(かた)


以下は、3・28京都円山集会とデモに参加された方のご報告の転載と報道記事です。

(1)参加記
………………………………………………………………………………
集会は、14時に始まり最初はまばらだった会場も徐々に参加者が増えていった。

主催者挨拶や在日朝鮮人のからの訴えなどのあと、東京造形大教授で、在日朝鮮人人権セミナーの前田朗さんが、スイス・ジュネーブで2月に開催された、国連人種差別撤廃委員会における在特会をめぐる議論などが紹介された。

在特会が、日本では合法的に活動している状況にほんとうなのかと問いただす委員が多く、さらには、中井大臣が、高校無償化から朝鮮学校を除外するよう口火を切る発言をしたことに、これから起こる差別として、在特会と共に、日本の人権状況が問題にされた。

そして3/16に日本への勧告として、『人種差別禁止法をつくれ』『人権委員会を作れ』『教育の現場に明らかな差別がある』として朝鮮学校に対する問題に対する対応が求められた。これに対して政府側は、「(差別禁止法について)差別があるとしても、それは表現の自由だ」などと居直っていることが明らかにされた。

日本政府は、勧告に従わない。国際的に、国際的な基準から、差別が認定されているのに。この国際的な勧告を広げていくことこそが、私たちのやるべきことだ。在特会などを一部の輩がやっているものとはせずに、私たちの社会の問題として、「勧告」を手がかりとして、運動していこう、と訴えられた。

そのあと、弁護士が、在特会を上回る法的措置を取っていくと力強くアピールされた。

連帯するさまざまな団体からのアピール後、観光客などで満杯の円山公園から、京都市外にデモで出て行った。

今回は、400にも上るヘルメットと盾で完全武装した警察機動隊がデモに張り付いた。 通常の市民デモなのに、 この物々しさは、 デモにたいして市民の恐怖感を煽り 市民とデモを分断する意図がみえみえだった。(私は用事で、デモに参加できなかった。400は、機動隊員の漏らした動員数)

さらに、デモ参加者からの報告では、「デモは17時前に終わりました。先頭はサムルノリ団。四条河原町辺りでやはり在特会が「朝鮮へかえれ。」とわめきたてていました。私たちの方へむかってこようとした彼らを機動隊の車や楯が防ぎ、ものものしい雰囲気でした。市役所前の解散場所では乱暴しようとした数名の彼らと機動隊、怒るこちらの人たちとのこぜりあいもありました。わめき攻撃的な彼らをまのあたりにし、どこからそんな憎しみが生まれるのかと思いました。(朝鮮学校教員の)○○○さんは『情けない日本の姿です。』と言われていました」

機動隊が多かったのは、彼らが在特会の動きをつかんでいて、混乱を起こさないよう、つまり、彼らの秩序維持という目的のために対応したようです。決して、わが方の防衛のためではないことは、警察機動隊の本来目的から、明らかです。

それにしても、参加された皆様、ほんとにご苦労様でした。

多くの市民・観光客などにアピールできたと思います。
………………………………………………………………………………

(2)京都新聞記事

3・28京都円山集会とデモについて京都新聞と朝鮮新報が記事にしています。

………………………………………………………………………………
■抗議集会に900人 円山からデモ行進 京都朝鮮初級学校に差別発言(京都新聞 2010年3月28日)

【写真】朝鮮学校への攻撃を許さないとアピールしたデモ(京都市東山区・円山公園)

 昨年12月、京都市南区の京都朝鮮第一初級学校に、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」を名乗る団体が押しかけ在日朝鮮人を差別する発言や脅迫を繰り返したとされる問題で28日、差別的攻撃に抗議する集会が東山区の円山公園であった。

 集会は、大学教授や弁護士らが呼びかけ人となり、実行委が開催し、900人(主催者発表)が参加した。

 集会では、攻撃を受けた初級学校生徒の保護者らが登壇し「子どもたちは心に大きな傷を負った」などと話した。高校授業料無償化から朝鮮学校を排除する動きについてもアピールがあり「すべての在日・滞日外国人が民族性や文化を尊重され、共に生きていくことができる多民族共生社会の実現に力を合わせよう」とする宣言が、拍手で採択された。

 集会後には、参加者らが円山公園から市役所前までデモ行進した。四条河原町交差点や市役所前で、在特会のメンバーらが「日本から出て行け」などと叫び、デモ隊ともみ合い府警の機動隊員が割って入るトラブルもあった。
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 朝鮮学校を支える会・京滋など日朝友好親善に尽力する日本市民らによる「民族差別・外国人排斥に反対し、多民族共生社会をつくりだそう!朝鮮学校への攻撃をゆるさない!3.28集会」(主催=3.28集会実行委員会)が3月28日、京都市円山野外音楽堂で行われ、900余人(うち同胞150余人)が参加した。集会後に参加者らは市内をデモ行進し、「民族差別をなくそう!」などと強く訴えた。

 集会ではまず、共同アピールの呼びかけ人として、「朝鮮学校を支える会・京滋」の仲尾宏さん、フェイスプロジェクトの山根実紀さんがあいさつと報告を行った。

 仲尾さんは、「日本を作ってきたのは純粋な日本人だけではないのに、外国人を排除するというのはありえないこと。(今回の集会が)日本社会のあり方を見直し、いろんな文化、人がともに生きる社会を作る契機になってくれたら」と語った。

 山根さんは、すべての在日・滞日外国人が民族性や文化を尊重しともに生きていく、真の多民族共生社会をつくろうと呼びかけた。

 京都民族教育対策委員会の柴松枝さんは、「在特会」らによる京都朝鮮第1初級学校への襲撃(昨年12月4日)、高校無償化制度からの朝鮮学校の排除を許さないと訴え、「1世の同胞たちが命をかけて守ってきた民族教育を私たちも命がけで守っていく」と強調した。

 在日外国人への差別を許さない北九州市民会議の内岡貞雄さんも応援に駆けつけ、3月26日に北九州市長に「高校無償化」の朝鮮学校除外に反対する要請書を手渡したと報告し、ともに連帯し暴挙を跳ね返していこうと発言した。

 集会に参加していた国会議員の服部良一議員が紹介され、参加者から拍手喝采を受けた。

 つづいて東京造形大学教授の前田朗さん(朝鮮大学校非常勤講師)がで国連人種差別撤廃委員会(スイス・ジュネーブ)への訴えに関する講演を行った。前田さんは18人中12人が参加した国連委員とのやりとりを紹介。「在特会」の蛮行と高校無償化問題の実態をビデオで見て説明を聞いた国連委員らが、人種差別禁止法や人権委員会の制定などを求める勧告を含む対日審査最終所見を3月15日付で提出した経過について話した。

 一方、前田さんは日本政府がこうした勧告を受け入れるよう日本国内での活動、アピールを通じ、政府を変えていく活動が必要で、「在特会」問題のあった京都での今回の集会に大きな意義を感じていると述べ、「これは私たちが住む社会の問題。この社会の歪みを正し、差別をなくしていこう」と呼びかけた。

 弁護士の豊福誠二さん、劇団水曜日の田中ひろみさん、全国同時証言集会京都実行委員会の浅井桐子さん、にっこりネットの瀧川順朗さん、排外主義とたたかうネットワーク・関西の内山悠さん、5.30関西集会実行委員会の南守さんが、日本社会の歪みに対する不当性とともに差別をなくすためともにたたかっていこうと連帯のアピールをした。

 集会で採択された集会宣言は、2月から行われてきた「民族差別・外国人排斥に反対し、多民族共生社会をつくりだそう 朝鮮学校への攻撃をゆるさない」という趣旨の共同アピール運動により、現在、賛同人・賛同団体が1312に達するなど、日本人と在日コリアンの連帯、共同のたたかいが大きくつくりだされており、このような動きを今後、すべての在日・滞日外国人との連帯へとおし広げていこうと訴えた。

 その後、集会参加者らは留学同京都のサムルノリ隊を先頭に、音楽堂から祇園、四条河原町、京都市役所前までの道のりを約1時間、「民族差別をなくそう!」「外国人排斥に反対しよう!」などとシュプレヒコールをあげながらデモ行進し、高校無償化除外の不当性などを市民らに訴えた。途中、日本国旗を手にブルーリボンをつけた日本人らによる罵声や嫌がらせがあったが、デモ行進は多数の市民らの拍手や声援、機動隊の警備のなか、安全に行われた。

 先日、留学同活動の一環で朝鮮学校「無償化」除外に反対するビラ配りを行ったという朝青京都・右京支部の金正弘さん(23、京都中高出身)もこの日の集会、デモ行進に参加した。「朝鮮人が自由に住めない現状を見ると、在日1世が作ってきたものを守らなあかんという気持ちが沸き起こってくる。後代がしっかりと生きていくために、先代がそうであったように、朝青世代としてがんばる出番がきた」と語った。

 また、日本に居住するようになって数ヶ月だという南朝鮮のある神父は、「(デモ中に在特会らの罵声や嫌がらせを通じ)民族差別の現場を見た。デモに参加した在日同胞や日本人の団結力、行動力が日本社会をよりよく変えていくのだと思った」と話していた。

 一方この日、「在特会」と見られる集団が京都朝鮮第1初級学校周辺までデモ行進を行おうとしたが、機動隊などが静止した。
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昨日、私のもとに未知の人から下記のような一通のメールが届きました。どうやら「外国人参政権」や「夫婦別姓」「人権擁護法案」などに反対するウヨクの人からのメールのようです。配信先には民主党の議員や社民党の議員のアドレスなどもあります。なぜこのようなメールが私のもとに届くのか、私には心当たりはないのですが、私は上記のテーマについていろいろな媒体に発信することがちょくちょくあるものですから、もしかしたらそういうものを見て私のもとにも配信してきた、ということなのかもしれません。

文面を見るとウヨクらしい人からの発信であることは確かです。しかし、文面は意外と礼儀正しく、人を口汚く罵るような言葉も見当たりません。論旨は予断に満ちた支離滅裂な主張の羅列にすぎませんが(当人はそう思っていないでしょうが)、おそらく「ある意味で戦後的価値観を身につけた」ふつうの市民からのメールのように思われます。

こうしたふつうの市民(と思える人)がなぜウヨク的言辞に走るのか? 走ろうとするのか? そうした現象が、いま、なぜ、特に生じているのか? 

「生きた人間(たち)の感じかたや考えかた」「近年の(保守)運動の性格の重要な側面」を熟考して見ることは、私たちにいま課せられているアクチュアルにして重要な課題というべきだろう、と私も思っています。

●未知の人からのメール:
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民主党の思想・政策を見直す機会にして頂けると幸いです。


日本の国会議員は、日本国民の利益の為に活動して下さい。
韓国民団の様な外国団体に、外国人参政権法案成立の選挙公約はしません。

日本の国会議員は、民主主義を害する行動は行いません。
共産主義に基づく「夫婦別姓」「戸籍制度廃止」「扶養控除廃止」「人権擁護法案」に反対します。
フェミニストも共産主義者です。千葉景子や福島瑞穂は上記法案に賛成しています。なぜでしょうか。
人権、共生などと聞こえのいい言葉は、すべて共産主義革命達成の為の偽善です。中国は共産党独裁国家です。

日本の国会議員は、日本の歴史を熟知しているはずです。
中華圏も朝鮮半島も日本は侵略は行っていません。強制的に慰安婦として利用されたと主張する朝鮮の女性は当時のプロの娼婦です。現在の価値で1億は稼いでいました。
南京は中華軍人ゲリラによる市民虐殺が行われていました。日本軍が虐殺をしていたという信用に足りる目撃情報は一切ありません。当事者の申告もいままでありません。在日朝鮮人は密入国の自由意志で日本に滞在しています。
朝鮮半島併合時に20兆円を半島につぎ込み、1000年遅れていると言われた土人・奴隷生活から日本は救ってあげました。彼らは捏造された歴史をおしえられ、そんなことは到底しりません。


日本列島は日本人のものです。日本は鎖国していません。日本はNPOと同格の政府は必要ありません。
まともな思考回路の政府が必要です。中国・韓国は共生など望んでいません。日本を精神的にも物理的にも侵略したいだけです。彼らは日本人ではありません。「お互い様」などという概念はありません。日本が事態沈静化の為に賠償金をはらっても、日韓基本条約で清算済みでも未だに謝罪や賠償をうたっています。
なぜでしょうか?

民主党執行部のやることをしっかり見ていて下さい。何かおかしいと思ったら勇気を持って反対して下さい。
そして、歴史と思想を勉強して下さい。今の日本の危機的状況がわかります。

いち日本国選挙民より
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私は、「この問題を『草の根保守』『市民運動の一つ』『アンチ左翼』と単純に受け取」めているわけではありません。

先の小文はただ「『在特会』『行動する保守』『草の根保守』 について分析した」3本の論攷・記事を紹介しているだけのもので、私の見解を述べているものではありません。また、「草の根保守」という言葉も、「アンチ左翼」という言葉も、私の紹介した朝日新聞の藤生京子記者の記事の中に出てくる言葉で、私が用いている言葉ではありません。また、「市民運動の一つ」という見方も私の見方ではありません。

とはいえ、上記記者が「草の根保守」という言葉を用いていることをもって「『草の根』『市民運動』の語を汚すといってさえよい」と見る見方は、いささか浅薄な見方であるように思います。「草の根保守」という言葉の用い方を批判することよりも(私は「草の根保守」という言い方は現象の本質を言い当てて妙だと思っていますが。もう少し詳しくは付記2参照)、記者はなぜ「草の根保守」という言葉を用いて同記事を書いたのか。あるいは書こうとしたのか。その記者のあるいは記事の意図するところを読みとることこそ大切なことというべきではないか、と私は思います。

たとえば「ルポ 新「保守」(上)」(朝日新聞、2010年3月15日付)には在特会のデモに参加したある市民の行動が記者によって次のように記述されています。「東京都港区のデモが終わった夕方、参加者は、日の丸や段ボール製の看板をカバンにしまい、地下鉄に乗って家路についた。前橋市の男性行政書士(54)は家族に活動を『差別的』と非難されているという。名刺をくれた後、『話を聞いてくれてありがとう』と頭を下げて、立ち去った」。

この市民はなぜ家族に「差別的」と非難されてまで在特会のデモに参加したのか。この市民はおそらく「『サイレント市民』と上野さんが名づけた、ある意味で戦後的価値観を身につけた」ふつうの市民です。そのふつうの市民を右翼的行動に駆り立てる衝動や心理に考えを及ぼしてみることは「在特会」という現象を治癒していくためにもとても大切なことだろう、と私は思います。そういう意味で私は上記の3本の論攷と記事を紹介しました。

付記1:私は在特会がアップしたyou tubeなどの動画は、先の朝鮮人学校襲撃の際の在特会の暴力行為を人々に知らしめるなどの特別な場合を除いて、できるだけ観ない方がよい、と思っています。動画の視聴者が増えることは在特会側を喜ばせ、つけあがらせるだけの効果しか持ちえないだろうと思いますし、在特会の資金源のひとつとして同会のホームページに誰かがアクセスするとスポンサーからお金が入る仕組みを作っている、という確かな人から発せられた未確認情報もあります。

付記2:「草の根の志士」、またよく似た言葉として「草莽の志士」という言い方は古くからありますし、「『草の根』を偽装する」などと「草の根」という言葉の専売特許争いをしても詮ないことのように思います。問題は「草の根」の内実というべきではないでしょうか。

「在特会」はどのようにして生まれたのか? 「在特会」の資金源はどこから?

私のまわりで最近よく耳にする疑問です。「在特会」の資金源の問題はともかくとして、「在特会」はどのようにして生まれたのか、という疑問に応える記事を3本ご紹介させていただこうと思います。

ひとつは朝日新聞マイタウン愛知記者の「新「保守」(上・中・下)というルポ記事。

■資料:ルポ 新「保守」(上) ●右翼超える「市民の会」(朝日新聞マイタウン愛知 2010年3月15日)
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001003150010
■資料:ルポ 新「保守」(中) ●ネット発 危うい動員(朝日新聞マイタウン愛知 2010年3月16日)
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001003160005
■資料:ルポ 新「保守」(下) ●不安の時代に根張る(朝日新聞マイタウン愛知 2010年3月17日)
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001003170004

もうひとつは、「新しい歴史教科書をつくる会」に集う人々の実体を明らかにした『〈癒し〉のナショナリズム』(小熊英二・上野陽子著、慶大出版会)の著者のひとりの上野陽子さんのフィルドワークを取材した朝日新聞「文化欄」(2002年6月19日付)に掲載された「『普通の市民』任じる静かな保守 ―話題の『〈癒し〉のナショナリズム』―」という藤生京子記者の記事。

■資料:「アンチ左翼」意識で結ばれる“草の根保守”(藤生京子記者 朝日新聞文化欄 2002年6月19日)
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/513055.html

3つ目は「改憲潮流と右翼イデオロギーの現在」と題された太田昌国さんの記事。

■改憲潮流と右翼イデオロギーの現在(太田昌国 現代企画室「状況20?21」 2009年9月15日)
http://www.jca.apc.org/gendai/20-21/2009/kaiken.html

太田さんは上記の論攷の「光景1」の末尾で「こうして、日本における『右翼イデオロギーの現在』を見るうえで、一九八八年の天皇『下血』騒動に始まり、東西冷戦構造の消滅・ソ連東欧社会主義圏の崩壊に象徴される一九九〇年代初頭までの内外状況を視野に入れておくこと――進歩派と左翼がなすすべもなく立ち竦んでいた時期に、右翼は、国内と世界における状況を見極め、実に巧みにこれを利用したことを見ておくことが必要だろう。/右翼の台頭が、進歩派や左翼の『立往生』や『沈黙』と背中合わせであることを自覚しておくことは、こうして、決定的に重要なことなのだ」と記されています。

朝日新聞の藤生記者は上記『〈癒し〉のナショナリズム』の著者の上野さんの眼に託して草の根保守の思想の源泉を次のように見ています。

「持ち前の人なつっこさですぐに溶け込んだ上野さんが見たのは、どこにでもいるホワイトカラーの人々、堅苦しい政治運動とはほど遠い「サークル的」雰囲気だった/彼らを共同体としてつないでいたものが『アンチ左翼』意識だ。左翼、市民運動家、人権主義、マスコミ、官僚、中国といった攻撃対象に挑みかかる。といってナショナリスティックにすぎる言動はノー。天皇万歳を叫ぶ古典的な右翼を苦手とする意見もあった。/運動より仕事や家事という本業を大切にする個人主義、過激さを敬遠すること、皇太子の子どもの誕生を祝う程度の戦後世代の平均的な天皇観しか持ち得ないこと」

私として上記の分析につけ加える用意はいまありません。ただ、上記の資料をご参考に供したいと思います。

■ルポ 新「保守」(下) ●不安の時代に根張る(朝日新聞マイタウン愛知 2010年3月17日)
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001003170004

●不安の時代に根張る

 「行動する保守」に集うのは、「ネット右翼」という言葉だけではくくれない人たちだ。

 「民主党を粉砕するぞ」

 名古屋で1月、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)が開いたデモでマイクを握った情報処理会社の男性社員(31)は「一二三(ひふみ)」という仮名で参加する。会社では、運動のことを話題にしない。

 政治には無関心だった。理系大学院を終えた後、就職してから「嫌韓流」の本に出会い、はまった。一人暮らしの一二三にとって、運動は、同僚には話せない歴史観や靖国問題などを話題にできる場だ。「国に貢献している」とも感じられる。

 彼らは、従来の「保守」とは趣が異なる。地縁や商売で結ばれた自民党後援会のような共同体組織ではない。都会的なバラバラの個人が集い、仲間を発見する。


 既成政党すべてに不満を抱く無党派も目立つ。「民主はサヨク、日本をダメにしたのは自民」。東京のデモに参加した化学会社の男性社員(36)はこう語る。小泉純一郎首相当時の自民は支持したが、2006年に安倍晋三首相(当時)に代わると、「タカ派と期待したのに、靖国参拝しなかった」と幻滅した。

 在特会が生まれたのは、この時期だ。小泉時代に目覚め、受け皿を失った保守無党派層の先端部分なのか。政権交代が、危機感に拍車をかける。

 政治不信は運動論にも表れる。彼らは日本会議など従来の保守団体を「会議で議論ばかり。我々は行動する」(桜井誠会長)と批判する。一方の日本会議は「私たちは時間をかけても、政治や行政に働きかけ、法や制度の変更を目指す」(江崎道朗専任研究員)という。


 時代の気分にも根を張る。「スパイの子供」。彼らは、朝鮮学校前でこう騒いだ。拉致問題を背景に、朝鮮学校を高校無償化の対象から外すことを検討する政府の発想と重なる。

 経済規模で日本と並んだ中国への警戒感も働く。「このままではのみ込まれ、日本はチベットのようになる」。外国人参政権反対デモに参加した2女の父親という国立大の男性職員(45)は語った。

 社会の流動化や閉塞(へいそく)感、国際環境の変化に対する危機感……。先の見えない日本への不安に、運動が油を注いで、極端な敵意を膨らます。

 東西統一直後のドイツで、若者に「外国人は出て行け」と突き飛ばされた経験のある大阪大大学院の木戸衛一准教授(ドイツ政治)は「在特会は、人種差別的なヘイトクライム(憎悪犯罪)をあおっている」と見る。「人種差別撤廃条約を批准しながら、日本は差別を禁じる国内法の整備を留保してきた。ドイツ刑法の『民衆扇動罪』のような歯止めが必要だ」と指摘する。(この連載は西本秀が担当しました)


 【関西学院大の鈴木謙介助教(社会学)の話】
 市民参加の保守運動が登場したのは90年代後半からだ。「新しい歴史教科書」の運動が先駆け、拉致問題で保守世論が盛り上がり、その延長に在特会が生まれた。世の中全体では少数派だが、ネットの発信力で潜在的な支持者を開拓し、街頭行動を呼びかけ存在感を増している。参加者は、行動は過激だが、社会的関心が高いという意味でマジメ。これまで市民運動と言えば「左」で、「右」の受け皿が育っていない。保守的なものを求めると、過激な団体に流れるほかない不幸がある。より極端に走る人々が現れると怖い。
■ルポ 新「保守」(中) ●ネット発 危うい動員(朝日新聞マイタウン愛知 2010年3月16日)
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001003160005

 ●ネット発 危うい動員

 2月下旬のデモの様子を、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)はインターネットの動画サイトで生中継した。全国から同時にアクセスした視聴者は1千人を超す。

 「マスメディアは無視する。我々の武器は動画だ」

 在特会の桜井誠会長(38)はマスコミが報じない自らの主張を広めるため、ネットを自前の「放送局」にした。

 街頭活動に撮影隊が同行して中継するほか、録画を「ニコニコ動画」「You Tube」など動画サイトに投稿し、常時閲覧可能にしている。抗議相手や警官とのもみあいなど偶発的な事件が話題を呼んでアクセスが増えると、次の動員につながる。


 昨年12月に京都の朝鮮学校前で騒いだ動画は、早回しの映像に軽快なBGMが付いた、音楽ビデオのような導入で始まる。この3カ月で計9万回以上閲覧された。
 「嫌韓流」をテーマにした本の執筆者でもある桜井会長は「私の演説は一種のエンターテインメント。テレビの演出と一緒」と語る。約10分の「You Tube」画像の中で、「寄生虫」など外国人をののしる表現を差し挟むのがコツという。

 相手が留守でも、画像を撮るために「抗議」を演じることもある。

 千葉県浦安市の社会保険労務士の男性(32)は「最初は強烈。でも、繰り返し見るとオレもあれくらい怒ってもいいと思った」。いま男性は街宣でマイクを握る。「国賊」「反日マスコミ」。1月に東京・有楽町で声を張り上げた。

 ネット発の危うさと軽さ。在特会は、街頭活動を「祭り」と呼ぶ。ある話題で一斉に盛り上がるネット用語と同じノリだ。名古屋のデモには、ネットで見た岐阜の中学生5人組が、「売国奴」と書いた手製の看板を手に加わった。

 不透明な点もある。

 桜井会長の名はペンネームで、本名や職業は取材に明かさない。事務所や活動費は寄付で賄っているという。

 会員には、参院選に候補を擁立する保守系政治団体など既存団体の関係者も交じる。街頭デモの際は、警察への届け出や街宣車の手配など、手慣れた彼らが指南する。

 警察も活動を注視する。警察内で購読されている雑誌「治安フォーラム」は2月号で、民族主義的主張を打ち出す新たな市民運動を「過激な傾向を示す」と指摘した。


 在特会の主張は、在日韓国・朝鮮人らが日本に滞在し、普通に暮らすこと自体を、ほかの外国人と比べて「特権」と批判するものだ。生活保護の受給や外国人犯罪と、在日との関係を強調し、社会に潜在的にある差別意識や、生活不安をくすぐる。現在、朝鮮学校への助成廃止などを求め、自治体や地方議会への働きかけを狙う。幹部は語る。「過激な映像や批判的報道で、名前が売れた。次は行政との交渉力をつける番だ」



【北海道大大学院の中島岳志准教授(政治思想史)の話】 


 政治はここ10年、既得権たたきに躍起だった。規制緩和や郵政民営化、公務員改革、事業仕分けなど、国民の「自分より得しているヤツがいる」というねたみをあおり、支持を得る。ワイドショーも対立構図に乗った。在特会の「特権」という発想や、ネット動画の中で運動を演じるのも、劇場型政治の戯画だ。経済政策の選択の幅が狭まり、政治の対立軸として、夫婦別姓や死刑、外国人参政権など「価値観」を問う問題が前面に出てきた。「左・右」ではなく、「好き・嫌い」で政治を判断する時代になっている。

■ルポ 新「保守」(上) ●右翼超える「市民の会」(朝日新聞マイタウン愛知 2010年3月15日)
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001003150010

 ●右翼超える「市民の会」

 警官隊に制止されながら、100人を超す男女が、日の丸を手に叫び声をあげる。

 「日本から出て行け」「ゴキブリ」「キムチ」

 各国の外交施設が集まる東京都港区。2月21日、韓国大使館領事部や在日本大韓民国民団の入るビルの前で、「行動する保守」を名乗る人々が、インターネットで呼びかけた街頭デモがあった。
 この翌日は、日本と韓国が領有権を争う竹島(韓国名・独島)について、世論を喚起しようと島根県が定めた記念日。「軍事力を含めた手段で竹島を奪還せよ」。横断幕に太文字の主張が躍る。
 「攘夷」。参加者が持参した旗や看板にも、いかつい言葉が並ぶ。新聞にそのまま書けない、在日韓国・朝鮮人を犯罪者扱いする表現もある。

 彼らが「反日」と見なすものすべてが非難の対象だ。看板には民主党や中国、北朝鮮を批判する文言も。取材する記者にもヤジが飛ぶ。デモの後、人々は近くのオーストラリア大使館に移動して拳を上げた。「(捕鯨問題で)日本を侮辱する白人と開戦するぞ」

 バス停に立ち、遠巻きにデモ隊を眺めていた一般の女性が記者に聞いてきた。「あの人たちって右翼なの?」


 彼らは「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などここ数年に結成された保守系市民団体の集合体だ。黒塗りの街宣車や特攻服に象徴される、従来の「右翼」と呼ばれる政治団体とは異なる。
 参加者に声をかけた。デモのために日の丸を買った中野区の女子大生(19)、「報道は偏っている」と話す横浜市青葉区の外食チェーンの男性管理職(49)、拉致問題の「救う会」に入っていたという茨城県つくば市の化学会社の男性社員(36)……。口々に「周辺国に、日本人はなめられている」などと答える。「これまでは『愛国運動』と言えば右翼。私たち普通の市民が参加できる運動がやっとできた」とも。

 参加団体の中で最大の在特会は2006年末に結成された。ネット上の登録会員はこの1年でほぼ倍増し8千人になり、3月から全国に23支部を置いた。この日、名古屋や福岡でも、外国人参政権反対などをテーマに街宣を行った。

 特に関西で活動が先鋭化する。「キムチ臭い」。昨年12月、日本の小学校にあたる京都の朝鮮初級学校前に集まり拡声機で騒いだ。学校が隣の公園を運動場代わりに使っていることに対し、朝礼台やスピーカーを公園から撤去する実力行使に出て、互いに刑事告発する事態になっている。

 京都弁護士会は、在特会側の行為を「公園使用の批判を超え、差別を助長する嫌がらせ」と非難する声明を発表。右翼団体「一水会」顧問の鈴木邦男さん(66)は2月発売の著書で、彼らの活動を「右翼以上に過激」「右翼は乗り越えられた」と評した。


 東京都港区のデモが終わった夕方、参加者は、日の丸や段ボール製の看板をカバンにしまい、地下鉄に乗って家路についた。前橋市の男性行政書士(54)は家族に活動を「差別的」と非難されているという。名刺をくれた後、「話を聞いてくれてありがとう」と頭を下げて、立ち去った。

 罵声を浴びた民団では、在日本大韓民国青年会の会合が開かれていた。在日3世の金宗沫前会長(33)は「こっそりとした差別はあっても、憎しみを直接ぶつける市民デモなんて以前はなかった」と戸惑う。「興奮したサッカーのサポーターが騒いでいる感じ。近所に暮らす、普通の人だと思うと怖い」
     ◇
 民族主義的な主張や外国人の排斥を、公然と唱える新たな保守団体が現れ、勢いを増す。どんな人々なのか。(西本秀)


【同志社大の板垣竜太准教授(朝鮮近現代史)の話】
 在特会の主張は『マンガ嫌韓流』や類書がベースだ。誇張や事実のつまみ食いで、朝鮮半島や在日の人々を批判し、植民地支配を正当化する主張は、今やネットに蔓延する。「韓国併合」から100年たっても、日本社会の下地で朝鮮人蔑視が続く。さらに拉致問題で北朝鮮批判があふれ、関係ない在日への攻撃を黙認する雰囲気が広がる。フランスでは移民排斥を唱える極右に、市民団体が「私の友人に手を出すな」と呼びかけて対抗した。在特会だけが問題ではない。日本が、多様性に開かれた社会になれるか問われている。