阿久根市の祭り

この16日、鹿児島県・阿久根市で竹原信一前市長(51)が解職請求(リコール)住民投票で失職したことに伴う出直し市長選挙がありましたが、即日開票の結果、リコール運動を進めた市民団体「阿久根の将来を考える会」発起人で新人の西平良将氏(37)が3選を目指した竹原氏を864票差で破り、初当選を果たしました。

この結果について私は次のような寸評を書いていくつかのメーリングリストに発信しました。

阿久根市長にリコール運動を進めた市民団体の発起人で新人の西平氏良将氏(37)が竹原信一前市長(51)を破って初当選しました。864票差でした。

日本列島本土の最南端の地の鹿児島でポピュリズム市政の一角がとにもかくにも崩れ去ったわけでほんとうによかったです。

竹原阿久根市政のこれまでの数々の悪政、問題点については下記をご参照ください。

■阿久根市長問題(弊ブログ 2010/3/29?2010/9/16)
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/folder/268124.html?m=l

次は河村名古屋ポピュリズム市政、石原東京ポピュリズム都政に決定的な終止符を打つ必要があるのですが・・・・ 名古屋市議会解散の賛否を問う住民投票は明日告示されます。また、名古屋市長選挙も23日告示されます。そして、東京都知事選挙も・・・・

【報道記事】
■阿久根市長に西平氏初当選 竹原氏に864票差(南日本新聞 2011年1月16日)
http://373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=29532
■阿久根市長に西平氏が初当選 出直し選、竹原氏及ばず(共同通信 2011年1月16日)
http://www.47news.jp/CN/201101/CN2011011601000117.html

この私の記事についてCML(市民のML)というメーリングリスト上で下記のような反論がありました。

Re: 阿久根市長に西平氏初当選 南のポピュリズム市長竹原氏を破る 864票差(CML 2010年1月17日)
河村名古屋ポピュリズム市政、石原東京ポピュリズム都政の問題について異論はありませんが、それと竹原信一氏を同列に論じていいか疑問があります。竹原氏の落選はポピュリズム政治の弱める方向ではなく、強める方向に働くのではないかと思います。
日本の問題は官僚とマスメディアが結びついていることで、竹原氏はマスメディアによって悪人とされました。この点が河村氏や石原氏とは決定的に相違します。竹原氏の落選を喜ぶことはポピュリズム政治の打倒に逆行するのではないかと思っています。

以下は、同反論に対する私の再反論です。弊ブログにも再録しておきたいと思います。

      *

林田さん、ご意見拝読させていただきました。

林田さんのご意見の論旨は「日本の(政治の)問題は官僚とマスメディアが結びついていることにある。しかし、竹原阿久根前市長はそのマスメディアと結びつくどころか逆に同メディアを敵に回して戦ってきた。ゆえに竹原氏の落選はポピュリズム政治の弱める方向ではなく、強める方向に働くだろう。竹原氏を河村名古屋市長や石原東京都知事と同列に論じることはポピュリズム政治の打倒に逆行することになる」というもののようです。

しかし、「竹原氏はマスメディアを敵に回して戦ってきた」という林田さんのご判断は前提となる事実認識に誤りがあるように私は思います。

竹原氏が議会から2度の不信任決議を受け失職し、出直し市長選で市長に再選されたのは2009年5月31日のことです。下記の弊ブログ記事に引用しているマスメディア記事はこの時点では必ずしも批判的ではなく、どちらかといえば竹原市政に好意的なスタンスをとっています。

■阿久根市長問題(1)「ヤッホー! 市民派市長再選される」という呆れた投稿について―阿久根ブログ市長の「革命」と橋下大阪府知事の「革命」の危険な類似性(弊ブログ2010年3月29日付。ただし、実際の執筆は出直し阿久根市長選のあった翌日の2009年6月1日付。同弊ブログ記事は左記の2009年6月1日付記事を再録したもの)
■上記ブログ記事において引用している西日本新聞記事(2009年6月1日付。ただし転載されたもの)
■上記ブログ記事において引用している南日本新聞記事(2009年6月1日付)
■上記ブログ記事において引用している朝日新聞記事(2009年6月1日付。ただし転載されたもの)

鹿児島の地元紙の南日本新聞は同年同月4日付記事でも2期目に入ろうとする竹原市政を次のように評価しています。

2期目に入った「竹原流」改革の行方は、いまだ“視界不良”のまま。竹原市長に将来を託した市民の期待にこたえ、議会での理解を得るためにも、改革の具体的な手順や道筋をできるだけ早く示すことが、いま求められている。」(「阿久根 竹原市長再選 改革の行方」(下))

上記の南日本新聞の竹原市政評価は「「竹原流」改革の行方は、いまだ“視界不良”」というもので、ここにはいまだ明確な竹原市政批判は見られません。他のマスメディアの論調も同様です。

マスメディアがいっせいに竹原市政批判を強めていくのは、竹原市長が「裁判所の決定を無視して市職員の職務への復帰、給与の支払いを拒否したままであったり、自身の個人ブログに障害者を差別する記述をしたことをメディアや市民に批判されると逆に居直って、「日本の裏社会を構成している主な要素はヤクザと同和そして在日」などと一段とエスカレートさせた差別的な記述を自身のブログにさらに書き連ねたり、 メディアの市庁舎内での撮影を原則禁止にして国民の知る権利、報道の自由に挑戦する姿勢を見せたり」(弊ブログ、2010年3月29日付)と、自治体の首長としてというよりも一個の人間としてもとてもまっとうとはいえない破廉恥蒙昧ぶりを繰り返しだした頃からのことです。

こうした政治家、自治体首長の破廉恥蒙昧ぶりをメディアが批判的にとりあげ、報道することは、「官僚とマスメディアは結びついている」とか「(竹原前市長は)マスメディアを敵に回して戦ってきた」とかいうこととはまったく別次元のことというべきであり、むしろ「権力の監視者(ウォッチドッグ)」としてのメディアの決定的に重要な役割のひとつというべきものでしょう。メディアは権力の虚と濫用を世に暴きだす役割を負って現代社会に登場しているのです。これはジャーナリズムの常識というべきものです。

にもかかわらず、メディアの竹原前阿久根市長批判は弊ブログ記事にも書いていることですが、メディアのそれとしてはむしろ中途半端なものでした。左記の弊ブログ記事に引用している朝日新聞記事は官と民間の格差問題の本質を誤って適示し、結果として当時の竹原市政のむしろ応援歌になりおおせている、というのが私の見るところです。

また、これも弊ブログ記事で指摘していることですが、マスメディアの朝日新聞系列の「AERA(アエラ)」2010年8月9日号では竹原阿久根市政を進んで評価しようとさえしています。私の見るところ同紙以外の新聞、週刊誌を含む多くのメディアも同様の傾向を示していました。

以上見てきたところが林田さんが「竹原氏はマスメディアを敵に回して戦ってきた」と判断されるマスメディアと竹原氏の関係の実態です。林田さんとは逆にマスメディアはこれまで竹原ポピュリズム政治に消極的、積極的に手を貸してきた、というのが私の判断なのです。竹原氏の落選は決して「ポピュリズム政治を強める方向に働く」ことはなく、(長い目で見て)ポピュリズム政治の終焉と凋落の第一合目、というのが私の判断でもあります。

竹原前阿久根市政のポピュリズム性、橋下大阪府知事や河村名古屋市長、石原東京都知事の唱える「革命」なるものの危険な類似性については何度も重複引用して恐縮ですが、こちらで指摘しています。再度、お目通し願えれば幸いです。

もともと同記事は、竹原前阿久根市長が再選された翌日の2009年6月1日に「ヤッホー! 市民派市長再選される」、「すごいね。真実を知った市民のパワーを思い知ったかい?」などと空騒ぎする何人かの「平和」市民のなんともアホらしい投稿を見て、その認識のあやまちに気づいていただくために認めたものでした。


 AERA 2010年8月9日号

AERA(アエラ)という雑誌があります。ご存知のとおり朝日新聞が毎週発行している週刊誌です(正確には朝日新聞の子会社である朝日新聞出版が毎週発行している週刊誌、というべきですが、一般には朝日新聞が発行している週刊誌とみなされています)。そのアエラの2010年8月9日号に竹原阿久根市政の「異常事態」を取材した同誌編集部の田村栄治記者の「不満の『風船』火がついた」というルポが掲載されています。

注:雑誌掲載原文は当初Yahoo! みんなの政治の「政治記事読みくらべ」に転載されていましたが、同転載記事はすでにリンクが切れているため「SMCN open 乾門」ブログから引用させていただいています。

私が、朝日新聞のこのところの記事が竹原市政に好意的(あるいは批判的ではない)、とみなすのは、たとえばこのアエラの記事に次のような頑是ない(平語でいえばアホらしい)一節を見出すからです(厳密にはアエラ記事を朝日新聞記事ということはできませんが、アエラ記者≒朝日新聞記者と言ってもいいでしょうし、その記事の同質性についてもすぐ後で述べます)。

くだんのアエラ記事は次のような書き出しではじまります。

異常事態にあることは、間違いない。市長の振る舞いが批判をあびる鹿児島県阿久根市のことだ。でも、熱く支持する市民多数。理由を探しに、街を訪ねた。

2年前の初当選以来、鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)は、強烈な言動や強引な政治手法で全国的な注目を集めてきた。/鹿児島県の伊藤祐一郎知事は、地方自治法にのっとり2度にわたって、議会が開かれない状態の是正を勧告したが、竹原氏はこれを無視。原口一博総務相も今年7月、「違法な状況が続くことは看過できない」と述べている。/しかし、いまも彼を支持する市民は少なくない。その理由が知りたくて、阿久根市を訪ねた。

しかし、この「(竹原市長を)熱く支持する市民多数」という記者の断定はどこから導き出されたものでしょう。記者がその根拠としてあげているのは「(市中心部の商店街の)商店で店主らに話を聞くと、多くは竹原氏に好意的だ」という自分が取材した限りでの市中心部の商店街の、それも記者がたまたま会うことができて話を聞くことができた商店街の一部の人の「世論」でしかありません。その商店街の一部の人の「世論」をもって「熱く支持する市民多数」と断定するのは無謀というものでしょう。

昨年5月にあった阿久根市の出直し市長選の投票結果は当選した竹原氏の得票数は8,449票、落選した対立候補の得票数は7,887票。その差562票の接戦でした。この事実ひとつとっても「(竹原市長を)熱く支持する市民多数」ということはできないはずです。さらにこのアエラの記事が書かれた8月時点(取材は7月時点だと思われます)ではすでに竹原市長リコールのための市民準備委員会が設立されており、「議会と議論もせず、専決処分で政策を押し通そうとするなど独裁政治を続けている」「以前の阿久根を取り戻したい。どのような抵抗があっても、市長を解職に追い込む」と阿久根市民の怒りが沸点に達していた時期です。また、同市職員の9割も竹原市長に対してついに“反乱”を起こし」ていました。そういう時期に阿久根市に取材して、どうしてこの記者は「熱く支持する市民多数」という感触を掴むに到ったのでしょう?

私は記者は現場で感触を掴んだのではなく、記者またはアエラ編集部にははじめから竹原市政はポピュリズムの政治だとみなした上で、そのポピュリズムの政治は大衆に支持されているはずだ、という政治学を生半可にかじった弊の一知半解な根拠のない思い込みがあったのだと思います。その根拠のない先入見がまず先にあって取材を敢行したところから、事実を事実として見ることのできない上記のアエラ記事が生まれたのだろう、というのが私の見るところです。そこには客観的事実を取材し、その結果を広く公表、伝達するという本来のジャーナリズムのあり方とは真逆の反ジャーナリスティックな取材姿勢しか読み取れません。その反ジャーナリスティックな取材姿勢は、能天気なポピュリズム政治への楽観視となって、「熱く支持する市民多数」という事実に基づかない竹原市政を結果的に擁護しかねない安易な評価へと結びついていくことは見やすい道理というべきです。

その竹原市政への安易な評価は次のような事実誤認の論をも容易に導き出します。アエラ記事から該当部分を引用します。

(市中心部の商店街の)商店で店主らに話を聞くと、多くは竹原氏に好意的だ。(略)彼らがそろって口にしたのが、市職員の給与(09年度)やボーナスを減額したことに対する称賛だ。『官民格差を縮めてくれた。ブルジョアは『反竹原』だが、我々底辺の人間は、市長は自分たちのためによくやってくれていると思っている』(84歳男性)『市の職員はもらい過ぎ。それを減らすだけでなく、市長は自分の給料も減らした。そこがえらい』(81歳男性)(略)市民の年収は、『200万円前後の人が大半。社長の自分も300万円台』(水産関連会社経営)という状況だ。街全体が疲弊する中、市職員の平均年収は600万円と飛びぬけている。

しかし、アエラ編集部の田村記者が阿久根市職員と同市民の天と地ともいうべき官民の賃金格差の大きさを言うために持ち出している「市民の年収は200万円前後、市職員の平均年収は600万円」という数字のはじき方は誤っています(このアエラ記事が持ち出している数字はおそらく朝日新聞2010年2月6日付の「阿久根市長 支持集めるわけ」という記事からの援用と思われます。私が上記でアエラ記事と朝日新聞記事の同質性を指摘している理由のひとつでもあります)。

このアエラ記事の数字のはじき方の誤りについては、すでに上記の朝日新聞記事を批判した際に述べていることですが、その部分をもう一度再説しておきます。

しかし、上記記事の所得の数字のはじき方は誤っています。下記の阿久根市統計によれば、同市の人口は26,689人(H10)、世帯数は10,285世帯(1世帯当たり人員 2.55人。H12)。であるならば、上記の阿久根市職員の平均年収約600万円は単純計算(共働きなどの要件を除外)で1世帯当たりの年収とみなすべきものですから、市民所得の平均も1人当たりではなく、1世帯当たり(1世帯当たり人員2.55人)の所得に換算し直して市職員年収と比較する必要があります。そうすると市民の平均年収(これも複雑な要因は除外した単純計算)は約490万円ということになり、市職員の平均年収約600万円との年収差は110万。むろん依然として公務員の方が民間より年収が多いという事実には変わりはありませんが、賃金格差は全国の「公民」の格差の平均とそう違わないものになります。すなわち、この「公民」の賃金格差は阿久根市特有のものではない、ということにもなります。

くだんのアエラ記事はこのようにしてジャーナリズムの使命を忘れて、竹原市政をいたずらに擁護するだけの論説に堕しているといわなければならないのです。上記の朝日新聞批判記事で述べた結論部分をこれも再説しておきます。

朝日新聞は『阿久根市長に支持が集まる』みせかけの理由の本質にもっと迫るべきでした。(略)今度の記事は誤った認識をさらに増幅させる結果しかもたらさないだろうという意味で「犯罪」的であるといわなければならないように思います。

竹原市長が今回「よりによって『著しい歪曲報道をしている』はずのメディアのひとつである朝日新聞のインタビューに応じた」のは、このような朝日新聞の軟弱な報道姿勢を竹原市長が敏感に嗅ぎ取った結果ではないか、と私は邪推しています。

なお、竹原市長は、同インタビューにおいて「私と考えが一緒」などとして河村名古屋市長に一方的にエールを送っていますが、エールを送られた側の当の河村市長は竹原市政について「一緒にされるとつらい」、「(竹原市長は)議会に反対されて専決処分をした。だが私は合法的なところに向かっていった。そこに大きな違いがある」(毎日新聞 2010年8月30日)などと必ずしも竹原市政に好意的ではなく、距離を置いています。南のポピュリストの竹原市長は西のポピュリストの雄のひとり、河村市長にもソッポを向かれてしまうお粗末さです。竹原市長はエールを送った相手の河村市長にさえソッポを向かれていることをおそらく知らないのでしょう。お粗末さも極まれり、といわなければなりません。

1万364人分の署名を市選管に提出する阿久根市長リコール委員会の川原委員長(右)=読売新聞 2010年9月15日付より

前回のエントリでは、阿久根市で現在進められている同市の竹原市長リコール署名について同署名数は昨年の5月にあった前回市長選投票者16,415人の過半数を優に超える9000人超の署名が集まった旨の報道を紹介したのですが、同市の有志で結成されている「リコール委員会」(川原慎一委員長)が本日15日に市選管に正式に提出した最終的なリコール署名数は1万人の大台を超える1万364人になった、ということです。すでに前回のエントリがあるわけですからそのエントリの追記にとどめてあらたにエントリを立てるべきかどうか少し迷いましたが、この1万364人という署名数は、同市の今月2日現在の有権者数は1万9936人ということですから、その過半数をも超えたということになります。諸手続きを経た上でおよそ3か月後にあると思われる再出直し市長選では竹原現市長は確実に落選し、現市長の座を否が応でも去らなければならなくなる。そういう大変な署名数です。選挙は無署名ですが、今回のリコール署名はいうまでもなく署名のあるより責任感をともなう市民の明確な竹原市政NOの意思表示というべきだからです。そういうしだいで、今回の件は、同市有権者の過半数を超える1万人超の署名が集まったという大事態というべきですから、単に追記にとどめるべきではなく、あらたにエントリを起こすべきだと考えました。

阿久根市長リコール運動、1万人超の署名提出(読売新聞 2010年9月15日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)に対する解職請求(リコール)運動を進めてきた市民団体「阿久根市長リコール委員会」=川原慎一委員長(42)=は15日午前、1万364人分の署名を市選挙管理委員会に提出した。

 署名数は有権者(2日現在、1万9936人)の過半数に達し、住民投票に必要な有権者の3分の1にあたる6646人を大きく上回った。12月にも解職の賛否を問う住民投票が実施される見込み。

 市選管は20日以内に署名簿に重複などがないかを審査。7日間の縦覧を経て有効署名数を確定する。縦覧中に異議申し出がなければ、10月中旬にも本請求を行い、60日以内に住民投票が実施される。解職に賛成する人が過半数に達すれば市長は失職し、50日以内に出直し市長選が行われる。

阿久根市長リコール 署名10364人分を提出(南日本新聞  2010年9月15日)
 阿久根市の竹原信一市長の解職請求を目指す住民団体「リコール委員会」(川原慎一委員長)は15日、賛同する有権者10364人分の署名簿を市選挙管理委員会に提出した。有効署名は請求に必要な有権者の3分の1(約6700人)を上回る公算が大きく、手続きが順調に進めば、年内に解職の賛否を問う住民投票が行われる。
 市選管は16日から署名簿の審査(20日間以内)を始める。有権者に公開する7日間の縦覧を経て、必要な署名数が確定すれば、リコール委が本請求する。本請求から60日以内に住民投票があり、過半数が賛成すれば竹原市長は失職し、出直し市長選は50日以内に行われる。
 市選管によると、審査などの手続きが順調に進めば、住民投票は遅くとも12月には実施される見込み。
 リコール委は、市議会を招集せず専決処分を乱発する竹原市政の刷新を訴え、8月16日、市選管に署名活動を申請。受任者506人が署名を集めていた。

ところで、竹原阿久根市長は、このように竹原市政NOの市民の明確な意思が示されている状況にもかかわらず、リコールのための住民投票後にある再出直し市長選に性懲りもなく再出馬する腹づもりのようです。

阿久根市長、出直し選出馬を明言 河村市長にエールも(朝日新聞 2010年9月14日)
 解職請求(リコール)の署名運動が進む鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は13日、朝日新聞のインタビューに応じ、「(市政が)後戻りしてしまう。出なければならない」と述べ、仮に解職された場合に行われる出直し市長選に立候補する考えを示した。
 リコール運動は先月16日に始まった。運動団体側は市議会を招集しないまま、市職員のボーナス減額や議員報酬の日当制化などを相次いで専決処分で決めた市政運営を批判している。竹原市長は「(団体は)前回の市長選の反対派がつくっている。公務員や議員など今までの権力者側」「目的は過去の形に戻ること」などと反論した。

 一方、名古屋市の河村たかし市長が呼びかけて同時期に行われている市議会のリコール運動については「当然のこと」と支持を表明。市議報酬の半額化や市民税減税などを掲げる河村市長の姿勢を「私と考えが一緒」「議会はどうしようもないとよく分かっている」などと評した。(西本秀)

あまり穏当な言葉とはいえないことは承知していますが、俚諺にいう「馬鹿につける薬はない」、とほんとうに思います。これも所詮言っても詮ないこととは思ってはいますが「馬鹿も休み休み言え」、と改めて怒りが沸騰してもきます。

上記に関して指摘しておきたいことがあります。竹原市長はこれまで「著しい歪曲報道をしている」として朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、南日本新聞、南日本放送の特定5社に対して議会傍聴席での撮影と録音を禁じるとともにその他の県内の報道機関に対しても今年の1月から市庁舎内での撮影を原則禁止もして、報道各社に対して対決姿勢をみせていたはずですが、なぜかしら今回は「著しい歪曲報道をしている」メディアのひとつである朝日新聞のインタビューに応じて「仮に解職された場合に行われる出直し市長選に立候補する考え」を吐露しています。

この竹原市長の心境の変化は、一面では同市長の追いつめられた現在の状況を示しているものと思われますが、なぜよりによって「著しい歪曲報道をしている」はずのメディアのひとつである朝日新聞のインタビューに応じたのかについては、同紙のこのところの竹原市政に好意的な(批判的ではない、と言い換えてもいいのですが)報道姿勢に関係している、というのが私の見るところです。(明日に続く)
阿久根市では独善と法律無視の市政を続けている同市竹原市長の解職請求運動が進められていましたが、同署名者数はリコール請求に必要な有権者の3分の1(約6700人)以上の署名を優に超え、9000人を超す署名が集まったそうです。同市の有志で結成されている「リコール委員会」(川原慎一委員長)はこの15日にも市選管に同署名簿を提出するということです。

阿久根市長リコール署名9000人超 15日提出(南日本新聞 2010年9月11日)
 阿久根市の竹原信一市長の解職請求運動を進める市民団体「リコール委員会」は10日、解職の賛否を問う住民投票に向けた署名集めを終えた。署名者数は9000人を超すとみられる。同委員会は署名簿の誤字や重複を確認し、15日に市選挙管理委員会へ提出する予定。
 署名活動は8月17日始まり、受任者約520人が署名を集めて回った。リコール請求には有権者の3分の1(約6700人)以上の署名が必要で、8000人が目標だった。
 川原慎一委員長(42)は「目標を超す署名が集まったのは、受任者の努力のおかげ。竹原市長不信任という市民の声を背景に、次の段階へ進みたい」と話した。

9000人超の署名といえば、昨年の5月にあった阿久根市長選挙の当日有権者数は19,876人でしたから、その同市有権者数の45パーセント以上に該当します。さらに昨年の同市長選挙の実際の投票者数は16,415人でしたから、同投票者数に換算すれば半数以上の阿久根市民(有権者)が竹原市政NOという明確な態度表明をしたことになります。

リコール署名の有効が確認されれば、その請求の日から60日以内に住民投票が行われ、かつその住民投票によって現市長の失職が確定すれば時日をおかず再選挙が実施されることになりますので竹原阿久根市長の政治的命脈はあと3か月足らずということになるでしょうか。これでやっと阿久根異変が片づくことになりそうです。


就任式で職員を前にあいさつする仙波敏郎阿久根市副市長(南日本新聞より)

それにしても竹原市長の違法な専決処分(注1)で副市長に就任した元愛媛県警巡査部長の仙波敏郎氏ははじめこそ「わたしは議会を開くべきだと考えている」(東京新聞 2010年7月25日)などとしていましたが、阿久根市長が民間保育園の移転新築に伴う補助金申請書類の決裁の拒否問題で同問題を審議する市議会委員会への出席を再び拒否した問題について「補助金の使い道が不透明として私が決裁を拒否しており、委員会が私を呼ばないのはおかしい。職員は出席させない方がいいと市長に進言した」(西日本新聞 2010年9月7日)などと議会への市長、職員の出席拒否を法律を無視し(注2)、正当化する竹原市長張りの発言をしています。結局、竹原市長と仙波氏はその反民主主義的な思想やポピュリズム的政治手法において同じ穴の狢だった、ということが日を追うごとに明らかになっているのです。

仙波氏の「私が決裁を拒否して」いる、「委員会が私を呼ばないのはおかしい」という発言ももちろん誤っています。そもそも市長であろうと副市長であろうと執行部自らが予算案に計上した支出項目について「決裁を拒否」するという姿勢そのものが誤っているのです。また、最終的な予算の執行権は市長にあります。その最終執行権者である市長の議会出席を求めて副市長に出席を求めないというのは議会の考え方の問題であって不当なことでも副市長への権利侵害でもなんでもありません。なおかつ仙波氏は議会が認めていない市長の違法な専決処分によって副市長に就任しているのです。議会が仙波氏を副市長として認めず、議会への出席を求めないのは当然なことといわなければなりません。

以前にも言ったことがありますが、仙波氏の「正義」は博徒の「正義」に近く、自分本位のもので(自分の正しいと思うものがすなわち「正義」というたぐい)、著しく公共性と民主主義の認識に欠けるところがあります。ポピュリズム思想に共通する危険きわまりない認識といわなければならないでしょう。その仙波氏の副市長の命脈も竹原市長と同じくあと3か月足らずで終わりがくるはずです。

阿久根市長 再び出席拒否 補助金問題市議会委審議 百条委求める声も(西日本新聞 2010年9月7日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が民間保育園の移転新築に伴う補助金申請書類の決裁を拒否している問題で、市議会産業厚生委員会は6日、市長と担当課職員に説明を求めるため出席を要請したが、市長は前回の8月19日の委員会に続いて出席を拒否し、職員も市長の命令で欠席した。

 専決処分で副市長に選任された仙波敏郎氏は8月下旬の臨時議会後、市長に委員会への出席を促すとしていたが、仙波氏は「補助金の使い道が不透明として私が決裁を拒否しており、委員会が私を呼ばないのはおかしい。職員は出席させない方がいいと市長に進言した」と話している。

 この日の産業厚生委は保育園を視察し、園側から施設が築40年以上で老朽化していることなどの説明を受けた後、賛成多数で継続審査を決めた。反市長派議員からは「決裁拒否はおかしく、この委員会での審査は限界がある」として、地方自治法百条に基づき、自治体の事務に関する調査権を罰則付きで定めた「百条委員会」の設置を求める声が上がった。(以下略)

注1:仙波氏は同市長の専決処分を違法とは認めていないようなので議会が不承認を決めた専決処分と言い直してもいいのですが、同専決処分が違法であることは仙波氏がいくら否定しても下記の点からも明らかです。

(1)「議会を招集する時間的余裕がない」(自治法第179条)ためにやむなく行われたものではなく、市議会の議決を免れることを意図して為された専決処分は効力を有しないという判例が確立していること(銚子市職員調整手当請求事件 平成19年3月9日 千葉地裁 民事3部

(2)総務省行政課も「今回の一連の専決処分は、緊急を要する際など法が定める要件に沿って適法に行われたかどうかが問われている。もともと違法な処分なら、不承認の議決以前に無効だ」としていること(「阿久根副市長選任を不承認/市長専決で激しいやりとり」四国新聞 2010年8月25日)

注2:地方自治法の第121条は「議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、(市長や職員は)議場に出席しなければならない」と明確に義務づけています。

追記

14日付の朝日新聞に「阿久根市長、出直し選出馬を明言 河村市長にエールも」という同紙の竹原阿久根市長へのインタビュー記事が掲載されています。

あまり穏当な言葉とはいえないことは承知していますが、俚諺にいう「馬鹿につける薬はない」、とほんとうに思います。これも言ってもせんないことですが「馬鹿も休み休み言え」、と改めて怒りが沸騰してもきます。
鹿児島の堀田哲一郎さんから仙波敏郎氏の阿久根市副市長着任について下記のような感想が寄せられました。以下、その便りの転載です。堀田さんの仙波敏郎氏の阿久根市副市長着任問題は「せっかく高まりかけたリコールの機運を分断する恐れがあります」というご指摘は重要だと思います。ポピュリズム政治を終焉させるのはポピュリズムの力ではありません。市民の良識ある判断こそがポピュリズム政治を終焉させる力であることを堀田さんの便りは教えてくださっているように思います。

東本様
 ブログに投稿しようとしたのですが、うまくいかないので、今回はEメールにしました。
 先の投稿で「期待してみたい」という言い方をしたのは語弊があったかもしれません。あくまでも、仙波氏がその言葉通りに実行するかどうかを注視したいというくらいのつもりでした。本日の地元紙web版は、処分されていた職員が復帰した経過を早くも報道しています。

免職の阿久根市職員、1年ぶり復職 行革係長に着任(2010-08-03)
男性職員の復職について説明する仙波敏郎氏(中央)=3日午前10時すぎ、阿久根市役所 阿久根市の竹原信一市長が懲戒免職処分の効力停止を決定した裁判所判断に従わず、復職させることを拒んでいた男性職員(46)が3日、約1年ぶりに職場復帰した。
 仙波敏郎副市長によると、職員は出勤した際、「復職はありがとうございます。一生懸命がんばります」とあいさつした。辞令交付式に臨み、竹原市長が「自分のためでなく公益のための仕事をお願いします」と訓示。職員は「分かりました」と答えた。
 職員の役職は「副市長付主幹兼行政改革推進担当係長」。職員定員や業務内容を見直し、機構改革の原案を立案する。執務室は副市長室とは別に設けられた。同役職は職員の復職にあたり設けた新しいポスト。2日就任した仙波副市長が、竹原市長の決定として復職を明らかにしていた。
 職員は2009年4月、竹原市長が庁舎内に掲示した職員人件費の張り紙をはがし、同7月31日に懲戒免職処分とされた。処分の効力停止を認めた鹿児島地裁決定は確定したが、処分取り消し訴訟は控訴審で争われている。今年9月17日に判決が言い渡される予定。

 web版にも出ていますが、リコール準備委員会会長の川原氏談話として「当たり前のことが行われたにすぎない。市民は市長を批判しており、副市長就任の影響はない」と述べたということですが、印刷版では、かつて竹原を支持していた「阿想会」会長の松岡氏談話として「懲戒免職にした職員の復職は一つの懸案だった。仙波氏の意向に従う形で、振り上げた拳をうまく下ろした」「市長に苦言が言える副市長の登場は、リコール運動に影響するだろう」という言葉を紹介しています。この指摘が正しければ、このことの方が怖いことではないかという気がします。せっかく高まりかけたリコールの機運を分断する恐れがあります。市議会議長も、議会に諮られていないので、副市長として認めないとし、個人として面会して、議会を開くべきだという点で一致し、免職された職員の復帰について「感謝とまでは言わないが、男性にとって良かった」と評価したそうです。仙波氏は、会見で「市長が悪いという報道が多いが、議会は市長の重要案件をことごとく否定している。議会は不信任を出すべきだ」と述べています。仙波氏が、マスコミの報道姿勢に批判的な点で竹原に一致し、議会に不信任決議をさせ、議会の竹原派増強に加担する恐れがある点で、確かに危険な姿勢であることは指摘できるでしょう。

 復帰した職員の役職が「副市長付主幹兼行政改革推進担当係長」というのは、ひっかかります。web版では本人は「復職はありがとうございます。一生懸命がんばります」とあいさつしたということですが、そう簡単に喜べることなのか疑問です。印刷版では、ある自治労幹部の「副市長付ということで、どのような環境で仕事をするのか見えてこない。パワハラなどがないよう見守る」と述べており、私もこの懸念をもちました。大分の日本文理大学や鹿児島国際大学で解雇された教員が「学長付」や「学長気付」という所属で復職し、実態は授業を担当させられず、パワハラによる不利益を受けています。自治労の方でも、そうした処分を連想されたのではないでしょうか。あるいは「行政改革推進担当」ということで、これまでとは逆に竹原市政推進の尖兵となることを余儀なくされるか、あるいは市職労自体を取り込む役回りをさせられるかといった懸念は穿ちすぎでしょうか。この職員復職問題の軟着陸を含めて、議会の懐柔にもつながるとしたら、竹原・仙波体制は、やっぱり怖い体制であると言えるでしょう。一方で、復職できた職員及び市職労にしても、市議会にしても、実を取れるところは取り、不利益を衡量しながら駆け引きをしていくことが求められるのではないかという思いもあります。

 また、昨日の地元紙では、鹿大の平井教授と並んでたびたび竹原問題でコメントを出している、鹿児島県立短大講師の山本敬生(やまもと・たかお)氏の寄稿が掲載され、そこでは、市長に独善的手法を許す要因は、地方自治法の不備にあるとして、議会の自律性の観点から、本来的に議長が招集権をもつこと、通年議会制を導入すること、自治事務に代執行制度を設けること、地方自治の理念に反しない形での厳格な要件の下で内閣総理大臣や知事に首長の罷免権を付与することを挙げています。他の自治体でのポピュリズム首長の独裁に備えるための方策として参考になるのではないかと思います。

鹿児島の堀田哲一郎

 E.フロム『自由からの逃走』

「薔薇、または陽だまりの猫」ブログ(2010年7月26日付)で私のCML 005082の記事(2010年7月26日付エントリ)を紹介してくださっています。


その私の記事に「電灯」さんという人が下記のようなコメントを寄せていました。

「東本高志さんという人の、『民主主義』というものの理解の程度が端的にあらわれた一文だとおもう。/阿久根市長のやっていることは地方自治法違反の可能性がかなり高いと私もおもう。/しかし、東本高志さんのいうように、それは「明らかに民主主義に反する決断」なのか?/市長は、地域住民の強い支持を得ているらしいではないか?/つまり、市長は住民の支持のもとに、違法なことをやっているのである。」(全文は最下段に転記しておきます)

しかし、この「電灯」さんという人の認識の方こそ「民主主義」というものをよく知らない人の一知半解の「論」というべきものでしょう。以下、同コメントに対する私の反論的応答です。

反論の前に次のことを指摘しておきます。「電灯」氏は「明らかに民主主義に反する決断」という先の記事における私の言葉を引用し、それが「阿久根市長の決断」に対する私の批判であるかのように「論」を進めていますが誤りです。私は先の記事で次のように書いています。「今回の仙波氏の決断は明らかに民主主義に反する決断といわなければなりません」。「明らかに民主主義に反する決断」とは阿久根市長ではなく、仙波氏の決断のことを指していることは明らかです。

さて、反論です。

まず第1に「電灯」氏の「論」の前提としての「(阿久根)市長は、地域住民の強い支持を得ているらしい」という事実認識が誤っています。阿久根市のホームページの「選挙の結果」の頁によれば、昨年5月の同市出直し市長選の投票結果は現市長の竹原信一氏は8,449票の得票、反市長派の対立候補の田中勇一氏の得票は7,887票。その差562票。この選挙結果を見ても「(阿久根)市長は、地域住民の強い支持を得ている」ということはいえません。反市長派は阿久根市長に562票差まで迫る健闘を見せている、というのが常識的な選挙結果の見方のはずです。

さらに同出直し市長選以後の竹原阿久根市長の法を無視した独断専行の市政運営について市民の多くはリコールの準備を進めていますし、阿久根市職員の9割も「違法状態が長く続くことは許されない」として“反乱”(上申書提出)を起こしています。どこから見ても「(阿久根)市長は、地域住民の強い支持を得ている」とはいえないでしょう。

阿久根市長リコールへ 市民団体が準備委発足(南日本新聞 2010年5月30日)


第2。「市長は住民の支持のもとに、違法なことをやっているのである」「民衆に支持されているからこそ阿久根市長は独走できる」という認識も誤っています。というよりも、「住民の支持のもとに、違法なことをやっている」という「電灯」氏の認識は、「民主主義」というもの、また住民の「信託行為」の結果としてある「議会制民主主義」というものの本質をまったくわきまえない驚くべき痴呆的認識といわなければなりません。

民主主義は法治主義の謂いでもありますが、その法治主義のもとでは法に反する一切の違法行為は例外なく司直によって罰せられます。それが仮に「住民の支持のもとに」行う違法行為であってもその行為が「違法」であれば当然罰せられます。「電灯」氏はまずそのことがおわかりでないようです。

また住民は、ある代表者(ここでは市長)を「信託」する投票行動=選挙において、ある代表者の当選以後の政策決定権について全面委任して投票しているわけではありません。投票行動とはある代表者に対する有権者の期待値の表明でしかありません。ある代表者がその有権者の期待値に背くとき有権者はリコールなどの直接請求権を用いてある代表者を解職することができるのです。そのことがなりよりも投票行動は有権者の期待値の表明でしかないことの証明になりえています。そのほかにも三権分立制度、その機能のひとつである行政権に対する議会制度などのしくみも有権者の投票行動=代表者への全面委任ではないことを証明する政治システム上の保証制度ということができます。

第3。「電灯」氏のいう「民衆の圧倒的支持が、違法な結果を招くことがあるのは、ヒットラーを典型例として、政治学・憲法学の常識だ」というのはそのとおりです。が、「だから、民主主義的要素をいかに制御するかは、政治学・憲法学のテーマになっている」という認識は誤りです。

上記で「電灯」氏のいっているのは大衆社会論の問題なのですが、その大衆社会論において政治学・社会学の「テーマになっている」のは、「民主主義的要素をいかに制御するか」という問題ではなく、逆に「議会制民主主義基盤の脆弱性がファシズム台頭の要因であった」ことに対する深い反省的省察です。E.フロムの『自由からの逃走』をはじめとする現代の大衆社会論はすべてその反省が考察の出発点になっています。また、メディア、ジャーナリズムの現代の「ウォッチ・ドッグ(権力に対する監視者)」論もファシズムの時代にナチス・ヒトラーなどファシストの扇動の道具としてメディアが利用されたことの反省がその論の出発点になっています。

「電灯」氏の「論」に一片の道理もありません。


参考:「電灯」氏のコメント Unknown (電灯) 2010年7月26日:
東本高志さんという人の、「民主主義」というものの理解の程度が端的にあらわれた一文だとおもう。

阿久根市長のやっていることは地方自治法違反の可能性がかなり高いと私もおもう。

しかし、東本高志さんのいうように、それは「明らかに民主主義に反する決断」なのか? 市長は、地域住民の強い支持を得ているらしいではないか? つまり、市長は住民の支持のもとに、違法なことをやっているのである。

民衆の圧倒的支持が、違法な結果を招くことがあるのは、ヒットラーを典型例として、政治学・憲法学の常識だ。だから、民主主義的要素をいかに制御するかは、政治学・憲法学のテーマになっている。

ところが、地方自治の場合、首長は住民の直接選挙で選ばれる。つまり、内閣総理大臣の場合より、民主主義的基盤が強いようにわざわざ制度設計されているのだ。そして民衆に支持されているからこそ阿久根市長は独走できるのであり、端的に言えば、住民の民主主義と地方自治法が矛盾対立しているのがコトの本質である。だからこそ、問題は根深く、かつ部外者にとっては成り行きが面白い。

東本高志さんという人は、「民主主義」ということばの前で、思考停止してしまう人だったのだな。



「仙波敏郎氏を副市長に阿久根市長が専決処分」という東京新聞(共同発)の記事を以下のコメントをつけていくつかのメーリングリストに「拡散」する人がいました。

内部告発の仙波氏を副市長に 阿久根市長が専決処分(東京新聞 2010年7月25日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が25日付で、愛媛県警の裏金づくりを内部告発した元巡査部長の仙波敏郎氏(61)を、専決処分で副市長に選任した。

 仙波氏によると、市長から電話を受けて会うようになり、11日に副市長就任の要請が正式にあったという。地方自治法では、副市長は議会の同意を得て選任するとしている。

 竹原市長は議会を開かないまま専決処分を乱発するなどして問題となっているが、仙波氏は共同通信の取材に対し「わたしは議会を開くべきだと考えているし、司法判断も順守すると市長には伝えてあるので、最初から衝突すると思う。批判も出るだろうが、働きぶりで評価してほしい」と話した。

 仙波氏は愛媛県警地域課鉄道警察隊の巡査部長だった2005年、県警の裏金づくりを内部告発。その報復で不当な人事異動をされたとして提訴し、県に100万円を支払うよう命じた判決が確定した。

 同市では08年、竹原市長が初当選した直後に提案した副市長人事が議会に不同意とされてから、副市長が欠員となっていた。

(共同)

コメント:
阿久根市長が、まさに驚く判断を下しました。/もうご存じの方もあるかもしれませんが、、、/「仙波敏郎氏を副市長に選任」/お二人共、意思貫徹が、すごい人物です。さらにこれから議会と火花が散る。/全国から、どうなるのかと、さらに熱い注目となります。/本当にもし、仙波敏郎氏が副市長に任用されたら、もし実現したら? 愛媛県警は? 阿久根市議会は? どんな展開に?/激動の日本そのものを、よくもわるくも、ここでも体現しているという感じを私は受けます。

以下は上記のメールに対する私の反論的応答です。

上記の認識はきわめて底の浅いかつ危険な認識といわなければなりません。

仙波敏郎氏はともかくとして、竹原阿久根市長はもっとも典型的なポピュリストというべき人であり、もっと端的に言えば「狂恣」の人です。このような「狂恣」の人をどのような意味でも評価することはできません。というよりも危険です。その危険度も度を外れています。下記のエントリ群にそのことは明らかです。


仙波敏郎氏は「正義」の人とはいえますが(彼と彼の刎頚の友であったジャーナリストの故・東玲治さんとはオンブズマンの会席で一献傾けたことがありますが)、その「正義」は任侠道のそれと大差なく、著しく民主主義の認識に欠けるところがあります。

仙波氏は副市長受諾の前提として専決処分での選任について「違法とは断定できない」との認識を述べていますが(読売新聞 2010年7月26日付)、この認識は誤りです。

専決処分は、「議会を招集する時間的余裕がない」(自治法第179条)ときなどに認められている特例的な措置ですが、竹原阿久根市長の一連の専決処分は「議会を招集する時間的余裕がない」わけではなく、「仕事は迅速にやるべきで、議会にかけたら時間がかかる」(毎日新聞 2010年5月7日付)という理由であえて議会を召集せずに行う専決処分ですから明らかに地方自治法の趣旨に違反しています。すでにご紹介していることですが、こうした事態における専決処分は無効である旨、裁判においても判決が出ています。

「本件専決処分は時間的余裕がないためにやむなく行われたものではなく、市議会の議決を免れることを意図してされたものと評価されても致し方ないというべきである。したがって、本件専決処分については、『普通地方公共団体の長において議会を招集する暇がないと認めるとき』という要件を充足しないから、これによって制定された本件改正条例は,効力を有しないというべきである」(銚子市職員調整手当
請求事件 平成19年3月9日 千葉地裁 民事3部)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070704095740.pdf

今回の仙波氏の決断は明らかに民主主義に反する決断といわなければなりません。

なお、地方自治法は、副市長の選任には議会の同意が必要と定めており、同専決処分を議会が同意する可能性はゼロといってよいでしょう。仙波氏は自らの決断の誤りを「正義」の人らしく潔く認めて、副市長受諾を撤回するべきでしょう。

阿久根市庁舎

阿久根市長の竹原信一なる人物は単なる俗物、狂信者にすぎず、「いちいち取り上げて批判しても仕方のない人物」ではないか、というコメントがありました。そのとおりだと思います。

しかし、この竹原・阿久根市長的な単なる狂信者、ポピュリストがいつ他の自治体の首長にならないとも限らない、というのが悲しいかなこの国の「世論」なるものを構成する私を含む「大衆」というものの思想の現状です。少なくとも私にはそのように見えます。

私が阿久根市政の問題を本ブログなどで継続的にとりあげている理由のひとつは、ポピュリズム思想に侵されやすいこの「大衆」なるものの一側面としての思想の貧困、その思想的現状への憂いと不遜ながらの警鐘の表明としてです。そして、この竹原・阿久根市政問題は単に阿久根市だけの問題にとどまらないまさにいまの地方自治のありようをめぐる重大争点のひとつであるという問題意識をこれも不遜ながら喚起したい、という目的をもってのことです。

もうひとつの理由は、「ウケ狙いの政治の果て」(辛淑玉さん)としての竹原ポピュリズム政治を終焉させるために奮闘されておられる阿久根市民への直接的なエールとしてです。

私の阿久根市政問題に関する拙文は鹿児島の友人を通じて竹原・阿久根市政を終わらせようとしている人たち(ごく一部の方々)にもこれまでも何度か配信されている模様です。私の拙文が直接に役立つ、というようなことはもちろんありませんが、左記の方々への少しでもの勇気づけになりえれば、という私の思いもあります。

上記が私が阿久根市政問題を継続的にとりあげている理由です。

ちなみに上記にいう「ウケ狙いの政治の果て」とはどういうことか? 辛淑玉さんの文章(「週刊金曜日」 2009年4月24日)から少しばかり引用しておきます。なぜあのような人物が市長になってしまったのか、という多くの人が抱く疑問の答にもなっている論攷でもあるように思います。

下記の論攷で辛淑玉さんは、東国原知事や橋下知事などタレント政治家、ポピュリズムの政治家に共通する特徴は「ウケ狙いの政治」にあるとして、その「ウケ狙いの政治」が大衆にウケる理由を以下のように分析しています。

「たとえば、彼らの常套手段は『公務員攻撃』だ。カメラの前ではこれがウケる。公務員はその仕事の割に高給を取っているというのがその理由だが、バブルの頃は優秀なやつは公務員になどならなかった。今は、民間の給与水準が低下したために、相対的に地方公務員が給与が高くなっているだけだ。/労働者の組織率が低く、組合運動が弱い地方の民間企業の労働者が資本の攻撃に負けた結果として賃金の崩壊が進んだにもかかわらず、その大衆のうっぷんを地方公務員に対する怨嗟と八つ当たり攻撃にすり替えた。まさにウケ狙いの政治だ」

「さらに、社会の変化についていけず、被害者感情を募らせている一般大衆の持つねたみやそねみを、八十年代以降のリベラルな社会運動がもたらした制度改革によって社会上昇を果たしたマイノリティに対する攻撃に誘導しようとしている/大衆の中にある差別感情を扇動することによって当選を果たしたタレント知事が言う『地方から日本を変える』とは、資本の手先となって『大衆の敵』を作り出し、本当の敵から目をそらさせ、日本を政治のガラパゴス化させることなのだ」

適切な市政運営を求め上申書を提出する阿久根市の職員たち(25日午後5時20分)=読売新聞

阿久根市政について重要な展開がみられます。

誰が見ても非常識な竹原・阿久根市長の行動に同市職員の9割がついに“反乱”を起こしたということです。

鹿児島県知事、総務相からも「違法状態があれば、長く続くことは許されない」(総務相)、「法の土俵の上で相撲を取るべきだ」(鹿児島県知事)などの遺憾の表明がされています。

こうした状況の中でも市長の座に居直リ続ける竹原・阿久根市長とはいったいいかなる人格の持ち主なのでしょう? 想像しがたいほどの(おそらく妄想狂の)人物です。

以下、関連記事を貼りつけておきます。

阿久根市長に職員9割“反乱”…法令守れと上申書(読売新聞 2010年6月26日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長に対し、同市職員180人が25日、連名で法令を守るように求める上申書を提出した。

 幹部職員約20人も近く、同様の上申書を提出する構え。215人いる市職員の9割強が賛同することになり、関係者は「市長の違法な行動は看過できない。団結して異を唱えることにした」と話している。

 職員によると、同県の伊藤祐一郎知事が22日、竹原市長に対し事務処理の適切な運営を求める助言をしたことを受けて提出に踏み切った。上申書では〈1〉臨時議会の早急な招集〈2〉専決処分した固定資産税率の引き下げの撤回〈3〉法令を順守した市政運営――などを求めている。

 署名したのは、一般職員190人のうち、休職や出向している10人を除いた180人と、課長級の二十数名のうち、竹原市長が民間から登用した数人を除いた20人。一般職員の上申書は25日、総務課長が受け取った。幹部職員の上申書は28日に直接竹原市長に手渡すという。

 市長は昨年7月、人件費の張り紙をはがした元係長の男性(46)を懲戒免職にし、今年1月の仕事始め式では「命令に従わない職員には辞めてもらう」と公言。3月議会への出席を拒否する一方、課長らにも答弁しないよう命じるなど職員への締め付けを強めている。

 ある職員は「このままでは阿久根の恥になると思っていたが、処分が怖くて市長に意見を言うことができなかった。今回、知事が改善に乗り出してくれたので署名した」と話した。

阿久根市長と会談の知事「法の土俵で相撲を」(読売新聞 2010年6月25日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が市議会を開かずに専決処分を繰り返している問題で、伊藤祐一郎知事と市長は25日、県庁で会談した。

 非公開で約1時間10分行われ、知事が臨時議会の招集などを強く求めたのに対し、市長は持論を展開して物別れに終わった。 知事は22日、市長に適切な事務処理を求める助言を行った。知事によると、会談ではこれを踏まえ、〈1〉臨時議会または定例会の招集〈2〉専決処分した固定資産税率引き下げの廃止〈3〉議員報酬、職員給与改正の撤回――を再度求めた。

 臨時議会は反市長派の市議が地方自治法に基づいて請求しており、知事は「法の土俵の上で相撲を取るべきだ」などと強く求めた。また28日までに招集しない場合は「法に抵触する。しかるべき対応をとる」として是正勧告を含めた強い措置に出ることを示唆した。

 これに対し、市長は「反市長派市議から不信任を受ける異例な状況にあるため議会の意向を諮ることなく私なりの判断をしている」などと主張したという。市長は取材に応じなかった。

阿久根市の調査を指示=ボーナス減額専決処分などで?総務相(読売新聞 2010年6月18日)
 原口一博総務相は18日の閣議後記者会見で、鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が市職員ボーナスの大幅減額を、市議会に諮らずに専決処分したことなどについて「関心を持たざるを得ない状況にある」と述べ、事実関係を調査するよう指示したことを明らかにした。

 同市をめぐっては、懲戒免職となった男性職員の処分の効力を停止する鹿児島地裁の決定に、市長が従っていないなどの問題も起きている。同相は「違法状態があれば、長く続くことは許されない。事実関係を把握した上で、鹿児島県とも相談しながら対応を検討する」と語った。

参考記事:
平日に温泉出入り?…阿久根市長の予定公開請求(読売新聞 2010年6月17日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長に対するリコール(解職請求)運動の準備をしている市民団体「阿久根の将来を考える会」(川原慎一会長)は17日、市に対し、市長のスケジュールなどについて情報公開請求を行った。

 市は条例に基づき、7月2日までに公開の可否を判断する。

 請求したのは、市長が市議会への出席を拒否した3月以降のスケジュールや出張先を示す資料のほか、旅費の領収書など。

 同会によると、市長は平日の日中に市内の温泉や喫茶店に出入りする姿が市民から目撃されている。また、5月に佐賀県で開かれた九州市長会総会を欠席。宮崎県の口蹄疫問題などが話し合われており、市民から「なぜ欠席したのか」と批判が出ているという。

 市総務課は、市長が九州市長会総会を欠席したことについて「別の公務で出張中だった」と話している。

竹原・阿久根市政の最近の動き(報道)をまとめておきます。竹原・阿久根市政はまさに末期症状きわまれリの状況です。市民による竹原市長リコール運動も本格的に稼動し始めたようです。

さて、私はここ何回か小紙ブログで政治とジェンダーとの関わりについて述べてきましたので、竹原・阿久根市政とジェンダーの関係について少し私見を述べてみます。

阿久根市長問題は石原東京都知事問題、橋下大阪府知事問題とも密接に関わるポピュリズム政治の問題です。そして、ポピュリズム政治とは、ジェンダーとの関わりでいうならばジェンダー(活動)を危険視する思想を持つ政治及び政治家の謂といってよいと思います。

たとえば次のような具合です。

2002年 石原都知事の「ババア発言」を女性131人が提訴(日経ウーマンオンライン 2010年1月5日)
石原都知事がまた女性蔑視発言(アジア女性資料センター 2009年6月29日)
「橋下改革」に異議あり!──ドーンセンターの存続を求めて──(大阪府本部/自治労大阪府職員関係労働組合・総務支部)

そしてさらに竹原市長の阿久根市政はそのポピュリズム政治の悪しき系譜を受け継ぐ最悪の政治です。

阿久根ブログ市長の「革命」と橋下大阪府知事の「革命」の危険な類似性(CML 000196 2009年6月1日)
「ウケ狙いの政治の果て」(辛淑玉 週刊金曜日748号 2009年4月24日)

すなわち竹原・阿久根市政はジェンダー平等の課題にとっても最悪の政治形態というべきだろうと思います。

以下、竹原・阿久根市政の最近の動き(報道)です。

「法治国家揺らぐ」阿久根市長告発の弁護団(読売新聞 2010年6月10日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長がまた告発された。

 降格処分を受けた職員3人を支援する弁護団が、処分取り消しを命じた市公平委員会の判定に従わない市長を地方公務員法違反容疑で鹿児島地検に告発する事態に発展した9日、弁護団は「首長が法律に従わない風潮が全国に広がれば、法治国家の原則が根本から揺らぐ」と語った。

 告発状では、竹原市長は故意に法律を無視していると指摘。県庁で記者会見した弁護団の増田秀雄弁護士は、竹原市長は確信犯であり、任意の取り調べにも応じない可能性があるとした上で、「強制捜査によってでも法治主義を保つべき」と述べた。

 また、竹原市長が職員や市議のボーナスを半分にする条例改正を専決処分した問題については、差額分を請求する訴訟の提起を検討していることも明かし、「違法な行政行為に対して、可能な法的手段を行っていく」と語った。

阿久根市 ボーナス半減 とばっちり 派遣の県教委職員も適用(西日本新聞 2010年6月10日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が専決処分(5月28日付)した「職員のボーナス半減」が波紋を広げている。市教委に派遣されている県教委の男性職員3人(課長職1人、係長職2人)も、このままでは市条例に基づき、今月30日支給のボーナスから減額されるためだ。県教委は市教委に善処を求めているが、最悪の場合は派遣職員の引き揚げも検討するという。

 県教委によると、県内の全43市町村教委の要請を受け、幹部要員などに職員を派遣している。給与やボーナスは、派遣先の職員と同じ給料表で支給され、県教委在職時を下回っても補てんする制度はない。ただ派遣は「県教委と同等の給与(現給保障)」が条件で、給与が下がるケースはほとんどないという。

 今回の阿久根市の専決処分を受け、県教委は5月31日、県庁で同市教委の長深田(ながふかた)悟教育長代行に「(派遣した3人の)給与やボーナスは保障してほしい」と要請。長深田氏は「市長に伝える」と持ち帰ったが、9日までに返事はないという。

 3人のうちの1人は西日本新聞の取材に「取材には応じられない。市長に禁じられている」と心境は明かさなかった。

 ある市職員は「県との信頼関係を損ねる事態。これでは誰も阿久根に来なくなる」と心配する。県教委以外の県職員からも「身分保障は派遣の大前提。給与が不安定なところに行きたくない」「給与カットはどの自治体でもあるが、ボーナス半減はめちゃくちゃ」といった声が出ている。

阿久根市長を地方公務員法違反で告発(読売新聞 2010年6月9日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が昨年4月の人事異動で降格させた職員3人について、職員を支援する弁護団は9日、降格を取り消した市公平委員会の判定に従っていないとして、市長を地方公務員法違反の疑いで鹿児島地検に告発した。

 昨年の人事異動では、課長級の50歳代男性が補佐級になるなど10人が降格し、うち3人が公平委員会に撤回を申し立てた。同委員会は今年2月、「不利益な処分を行う際は説明書を交付しなければならないとする地方公務員法に違反している」として、異動を取り消す判定をした。

 しかし、竹原市長は異動を取り消さず、弁護団は5月25日に市側に降格撤回を求める通知書を送付したが改善されないため、告発に踏み切った。

阿久根市 反市長派、臨時議会を請求 市長の専決処分多用 対抗(西日本新聞 2010年6月9日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が「今の市議会は妨害勢力で無駄」と公言し、議会側の要請を無視して6月議会を招集する構えを見せない中、市議16人のうち議長を除く反市長派の11人が8日、市長に臨時議会の招集を連名で請求した。いつでも議長が議会を開会できる「通年議会」の条例制定案などを提出するとしている。

 地方自治法は、請求を受けた首長は20日以内に議会を招集しなければならないと定めているが、罰則はなく、竹原市長は周囲に応じないと話している。

 反市長派は臨時議会で、国・県に口蹄疫(こうていえき)対策を求める意見書案と、市長が専決処分で職員などのボーナスを半減した条例の再改正案も審議したいとしている。

 竹原市長は、議会に諮らずに専決処分で市政を運営する方針を宣言しているが、通年議会が実現すると、議会側はいつでも議員提案で、専決処分前の状態に戻すことが可能になる。

 請求者の一人の古賀操市議は「臨時議会も招集しなかった場合、総務省や県に是正勧告を直訴したい」と話している。

「阿久根市長の独裁やめさせよう」解職めざし事務所開き(朝日新聞 2010年6月9日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長の解職を目指すリコール準備委員会(川原慎一委員長)が8日、同市内で事務所開きをした。参院選後に署名活動を始め、解職請求に必要な有権者の3分の1(約6700人)を上回る8千人の署名集めを目指す。

 「市長の独裁をやめさせよう」を合言葉に、20?40代の市民でつくる「阿久根の将来を考える会」(約50人)が母体となって発足した。

 名乗りを上げた賛同者を中心に、約50カ所の地区公民館で順次説明会を開き、参院選後に署名集めを始める。400人のメンバーが20人ずつ集める計画だ。

 事務所開きには約10人が参加し、壁に市内の地図を張るなどした。記者会見した自営業の川原委員長(42)は「リコール運動表明後、予想を超える反響があり、手応えを感じている」と語った。

(写真:阿久根の将来を考える会 市長リコールを決める)
阿久根市でついに竹原・阿久根市長リコールのための市民準備委員会が設立される運びとなりました。


昨日の29日、阿久根市では同市の市民団体「阿久根の将来を考える会」(川原慎一会長)が主催する竹原市政について意見交換する第7回目(最終回)の連続懇談会が開かれましたが、同懇談会の席上、これまで市内6カ所であった懇談会で回収した約190人分のアンケート結果を公表。市長の議会出席拒否や、職員の懲戒免職処分取り消しを命じた地裁判決を無視していることを「支持しない」とする人が97%を占めたことが紹介され、会場の市民会館に集まった約300人の阿久根市民によって竹原信一・阿久根市長をリコールするための準備委員会を設立することを決定した、ということです。

阿久根市長 リコールの署名へ[動画が見られます](NHK 2010年5月30日)
阿久根市長リコールへ 市民団体が準備委発足(南日本新聞 2010年5月30日)
阿久根市長リコール準備委、参院選後署名集め(読売新聞 2010年5月29日)
阿久根市長:市民団体がリコール運動へ(毎日新聞 2010年5月29日)
阿久根市長のリコール運動、市民団体が開始へ 参院選後(朝日新聞 2010年5月29日)

折から同懇談会が開かれる2日前の28日には竹原・阿久根市長は、市職員や議員らの今年のボーナスを半額カットするというあまりにも非常識な条例改正を市議会に諮らずに専決処分(注)し、公布するという暴挙を強行したばかりです。同市長をリコールするための準備委員会を設立するという阿久根市民の今回の判断はけだし当然の判断であった、というべきでしょう。


注:阿久根市長の専決処分の問題性については下記をご参照ください。
鹿児島・阿久根市長の新たな暴挙と竹原・阿久根市長リコールの提案

さて、阿久根市の現有権者は2万66人(2010年3月2日現在)。リコールには約6700人分(有権者の3分の1以上)の署名が必要になりますが、上記懇談会で川原会長が「以前の阿久根を取り戻したい。どのような抵抗があっても、市長を解職に追い込む」と訴え、8000人以上の署名獲得目標を打ち出すと市民は拍手で応えた、ということです。また、リコールの署名活動は今夏の選挙を控える参院議員の任期満了(7月25日)の60日前からできないことになっているため、準備委は6月からは当面街宣活動や集落説明会を開き、7月11日投開票とみられる参院選後の署名集めに備える、という計画のようです。

阿久根市民の竹原・阿久根市長リコール市民準備委員会の今後の動きをさらにさらに注視したいと思います。

以下、報道各社の記事を2本ほど転載しておきます。

阿久根市長リコール準備委、参院選後署名集め(読売新聞 2010年5月29日)

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)に対するリコール(解職請求)運動を行うことを決めた市民団体「阿久根の将来を考える会」は29日、市内で会合を開き、リコール準備委員会を設立するとともに、8000人以上の署名獲得目標を打ち出した。

 会場の市民会館には市民や市職員ら約300人が集まった。考える会の川原慎一会長(42)も「もう阿久根の政治を任せておけない」と呼びかけ、参院選後に署名集めを始めることを宣言し、市民に協力を求めた。リコールには約6700人分(有権者の3分の1以上)の署名が必要になる。

 これまで反市長派市議は、市議会への不信任案提出について、2009年2月と同様、市長が議会を解散すれば再び出直し市議選になるとして、消極的だった。そこで、考える会が4月以降、会合や市民との懇談会を開き、リコール運動の実施を決めた。

 同市では、出直し市長選を見据え、竹原市長の対立候補を擁立する動きも出始めているが、考える会はリコール運動に集中し、候補擁立については静観する方針だ。

阿久根市長リコールへ 市民団体が準備委発足(南日本新聞 2010年5月30日)

 阿久根市の竹原信一市長の市政運営を検証する市民有志の団体「阿久根の将来を考える会」は29日、竹原市長に対するリコール(解職請求)運動を夏の参院選後に始めることを決め、準備委員会を発足させた。準備委は「市長選への候補者は正式に決まっていないが、数人が意欲を示しており、今後協議する」としている。

 リコールの署名活動は今夏の選挙を控える参院議員の任期満了(7月25日)の60日前からできないことになっている。準備委は6月から街宣活動や集落説明会を開き、7月11日投開票とみられる参院選後に署名集めを始める。

 同会の川原慎一会長(42)が準備委代表に就いた。川原会長は「議会と議論もせず、専決処分で政策を押し通そうとするなど独裁政治を続けている」と批判。「多くの市民から解職を求める声があり、リコール運動を決めた」と話した。

 同会は29日夜、阿久根市民会館で住民懇談会を主催、約300人が出席した。川原会長が「以前の阿久根を取り戻したい。どのような抵抗があっても、市長を解職に追い込む」と訴えると、市民らは拍手で応えた。

 これまで市内6カ所であった懇談会で回収した約190人分のアンケート結果を公表。市長の議会出席拒否や、職員の懲戒免職処分取り消しを命じた地裁判決を無視していることを「支持しない」とする人が97%を占めたことが紹介された。

(写真:阿久根市長リコールを決めた29日の阿久根市民懇談会の様子。南日本新聞より)
鹿児島県・阿久根市民による「市長リコール」運動の動きが芽生えはじめているようです。

阿久根市では17日から市民団体主催による竹原市政について意見交換する連続懇談会(7地区で開催)が始まり、第1回目の同懇談会には約50人の市民が集まったようです。


下記の南日本新聞記事(2010年5月18日)によれば、同懇談会で「市民からの要望で、議会での市長不信任案提出と、市民による市長リコールのどちらを選ぶか」を聞いたところ「不信任案派が数人で、リコール派が4割ほど」占めたということです。左記の報道では残りの約半数の住民の意思は不明確ですが、第1回目の同懇談会で約40%の住民が挙手で「市長リコール」の意志を示したことはきわめて重要だと思います。報道によれば今後さらに6回にわたって同懇談会は開催される模様ですが、「市長リコール」の住民の意志表示はさらに大きくなっていくことが予想されます。

同懇談会を主催した「阿久根の将来を考える会」の川原慎一会長(42)は「市長のリコールを求める意見が多ければそうなる」(西日本新聞 2010年5月12日付)と語っていることから、同懇談会の参加者と「阿久根の将来を考える会」が火つけ役となって「竹原市長リコール」の火はさらにさらに大きくなっていきそうです。

阿久根市では先の3月28日に県と市の身体障害者福祉協会、県社会福祉協議会、連合鹿児島など約20団体と一般市民あわせて600人が参加して「竹原市長の差別発言の撤回と謝罪を求める県民集会」が開かれていますが、こうした団体との共同、共闘の実現によって「竹原市長リコール」の市民の声はさらに燎原の火のような勢いを持つことになるでしょう。そうなることを私は期待します。

以下、この件についての方同記事をいくつかご紹介します。

■阿久根市民が意見交換会、「市長をリコールすべき」大半(朝日新聞 2010年5月18日)
 竹原信一市長の議会ボイコットや市職労との対立などで混乱が続く鹿児島県阿久根市で17日、市民団体が竹原市政について意見交換する連続懇談会を始めた。約50人の出席者の多くは「市民が市長をリコールすべきだ」という考えを挙手で示した。懇談会は29日まで7地区で開く。

 主催したのは商店主や農業者など20?40代の市民でつくる「阿久根の将来を考える会」。初日は大川地区であり、呉服店を営む川原慎一会長が「市長に賛成、反対は関係なく、これからどうしたらいいのか一緒に考えたい」とあいさつした。

 ある男性は「市民は一致団結して市長を降ろすべきだ」と発言した。一方、別の女性は「出直し市長選で竹原市長がまた再選したら同じ」と不安を口にした。

 これらを受けて参加者に挙手を求めて意見を聞いたところ、「市民がリコールを出す方がいい」が圧倒的だった。竹原市長は31日でリコールが可能になる任期1年を迎えるが、7月に参院選が予定されるため、リコールの署名集めなどができるのは参院選以降になる。

■「阿久根を変えよう」 考える会の住民懇談会始まる(南日本新聞 2010年5月18日)
 阿久根市の竹原信一市長の市政運営を検証する現地の市民団体「阿久根の将来を考える会」は17日夜、同市大川の大川中学校体育館で住民との懇談会を開いた。50人の市民が集まり、「阿久根を変えよう」との声が上がった。懇談会は29日まで計7カ所である。

 川原慎一会長(42)が「私たちは阿久根市に何を望むのか。市長の賛成派、反対派ということではなく、市民の声を聞きたい」とあいさつ。数人の市議が参加したが、議員発言は原則遠慮してもらうこととした。

 市民からは「阿久根を混乱させたのはわれわれ市民。自分らが竹原市長を選んだ」「市長のおかげで、市役所のサービス向上が実現した」との意見が続いた。「恥ずかしくて阿久根出身と言えない」と叫ぶ女性もいた。

 市民からの要望で、議会での市長不信任案提出と、市民による市長リコールのどちらを選ぶか会場で挙手する場面も。不信任案派が数人で、リコール派が4割ほどとなった。

 「この機会に阿久根のイメージアップを図りたい」との意見が出ると、会場から拍手がわいた。

参考記事:
■竹原市政 市民が検証 阿久根市で懇談会開催へ(西日本新聞 2010年5月12日)
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長の市政運営を検証する住民団体「阿久根の将来を考える会」(川原慎一会長)は17日から、市内7カ所で市民懇談会を開く。議会への出席拒否や司法判断を無視し続けている竹原市政の問題点を住民が議論する。混迷する市政の正常化に向けて住民が動きだした。

 懇談会は、3月議会の出席拒否や議会に諮らない条例の専決処分など、議会の存在を否定するような竹原市政を住民の目線で検証するのが目的。「このままの市政でいいのか」を論点に意見交換する。意見は29日に市民会館で開く最後の懇談会で集約する。竹原市長や市議が希望すれば懇談会への出席を認めるが、発言は許可しない方針。

 川原会長は「今の市政は市を混乱させただけで発展につながる政策がない。住民が求める改革を実行してくれるのであれば竹原市長でなくてもいいはずだ。市長のリコール(解職請求)を求める意見が多ければそうなる」と話す。

 懇談会はいずれも午後7時から。場所と日程は次の通り。

 17日=大川中体育館▽18日=鶴川内地区集会施設▽21日=折多小体育館▽24日=西目地区構造改善センター▽25日=遠矢公民館▽26日=脇本地区公民館▽29日=市民会館。

(写真:阿久根ハンヤ節のリズムに合わせて)
鹿児島の友人から「しばらく阿久根市長問題も鳴りを潜めるかと思っていましたが、またやりたい放題のことを始めました」というメールがありました。この新たな「やりたい放題のこと」については多くのマスメディアが記事にしています。その中から毎日新聞と南日本新聞の記事を下記に掲げます。

■鹿児島・阿久根市長:「専決」で条例制定 「独裁宣言と同じ」市議批判(毎日新聞 2010年5月7日 西部夕刊)

 市議会出席を拒否している鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、4月27日に「花火規制条例」を専決処分し告示したことが7日分かった。地方自治法によると、緊急を要する場合に、専決処分が可能。議会側は「議会無視で独裁につながる」と反発している。

 議会関係者らによると、市長は4月末の市区長会総会で、花火使用を制限する条例を専決処分で決め27日付で告示した、と述べた。区長の1人が「議会に諮らないでいいのか」と質問すると「あとで承認をもらえばいい」と話し、毎年夏前に市内の海岸で花火による騒音苦情が出るため、条例を定めたと説明。今月6日の課長会でも「仕事は迅速にやるべきで、議会にかけたら時間がかかる」と発言したという。

 地方自治法179条は、議会を招集する時間的余裕がなく緊急の場合に首長は専決処分ができると定めている。次の議会での報告・承認が必要。市議らは「議会のチェック機能を無視し、独裁を行うと宣言したようなもの」と批判している。【馬場茂】


■阿久根市長「必要施策は専決」 議会無視と批判の声(南日本新聞 2010年5月7日)

 阿久根市の竹原信一市長は6日の課長会で、必要とする政策について専決処分で進めると明言した。既に3月定例会直後に条例を専決処分としており、一部市議は「議会無視で首長の暴走につながる」と批判している。

 地方自治法は、専決処分は首長が議会招集する時間的余裕がないときなどに採用できると規定。ある市議は「市長は議会欠席を公言しており、専決処分の要件である緊急性を満たすとは思えない。予算根拠も不透明となる恐れがある」と話している。

 複数の関係者によると、竹原市長は課長会の訓示で、「仕事は急いでやるもの。議会にかけるとどうなるか分からず、予算を使えなくなる」と述べ、必要な政策は前倒しで専決処分とするとした。

 3月定例会は4月19日閉会し、市長は同27日付で「花火規制条例」を公布した。

 同条例は公共の場での花火を規制。爆発音がなかったり、市長が認めた場合などは除外される。同条例の専決処分について、竹原市長は取材に「ゴールデンウイーク前で緊急性があった」としている。

下記は鹿児島の友人宛ての私のメールです。

○○さん

今回の阿久根市長・竹原(もう呼び捨てにしますが)の専決処分は、「議会を招集する時間的余裕がない」(自治法第179条)わけではなく、「仕事は迅速にやるべきで、議会にかけたら時間がかかる」(毎日新聞 2010年5月7日付)という理由であえて議会を召集しないわけですから、明らかに地方自治法に違反する事態だと思います。こういう事態における専決処分は無効である旨、裁判においても判決が出ています。

「本件専決処分は時間的余裕がないためにやむなく行われたものではなく、市議会の議決を免れることを意図してされたものと評価されても致し方ないというべきである。したがって、本件専決処分については、『普通地方公共団体の長において議会を招集する暇がないと認めるとき』という要件を充足しないから、これによって制定された本件改正条例は,効力を有しないというべきである」(銚子市職員調整手当請求事件 平成19年3月9日 千葉地裁 民事3部)

したがって裁判という手段に訴えれば勝訴は確実だと思われますが、裁判は上告まで視野に入れれば長期にわたることが予想されますし、またこの問題は直接市長の失職につながるような案件でもありません。阿久根市長の常軌を逸した行動を一日も早く終焉させるためにはやはりリコールが近道だと思います。

同市長が再選されたのは昨年の5月31日。したがって、来月1日になれば1年間のリコール禁止期間はクリアされます(追記参照)。いまがリコールに打って出るチャンスだと私は思います。


以前のメールでご紹介した「阿久根市長 支持集めるわけ」という朝日新聞記事(愚生ブログ記事参照)によれば、議会では多数派(16分の12)を占めている反市長派の議員は「これまで2回の不信任決議の結末がトラウマ」になっていて、不信任決議案の提出、リコール運動の提起などの市長解職のための「動きは鈍い」ということです。しかし、いまのいまという段階でそういう及び腰であってはならないと思います。昨年5月の出直し市長選では反市長派は阿久根市長に562票差まで迫る健闘を見せたのです。さらに昨年5月の段階といまとでは格段に状況も違うはずです。阿久根市長の常軌を逸した行動を連日のように批判的に報道してきた(それは同市長が連日のように常軌を逸した行動をするからにほかならないのですが)マスメディアの影響ということも当然あるでしょう。昨年の5月段階とは比較にならないほど竹原市長に対する市民の視線は厳しくなっているはずです。

私はいまがチャンスだと思います。阿久根市の市民と議員はこれまでのトラウマを克服して、いまリコールという手段に打って出るべきだと思います。

リコールということになれば有権者の3分の1以上の署名が必要ですし、署名集めが成功したとして、その請求の60日以内には住民投票も行わなければなりません。これはリコール運動側にとっては大変な作業といわなければなりませんが、逆にいえば竹原リコールの運動の意志(それは「民主主義」の意志が、ということでもあります)が市民の間に確実に拡まっていくまたとないチャンスともなりうるものでしょう。

私は勝算はおおいにある、と思います。上記の機運が阿久根市で大きくなっていくことを私は期待します。

追記:リコール請求と国政選挙及び自治体選挙の期間が重なる場合、同期間(政令で定める期間)内はリコール請求のための署名活動は禁止されていることをこの記事を書いた後に知りました(自治法74条6項、同81条2項)。したがって阿久根市で実際にリコール請求ができるようになるのは2か月強先の今年7月25日の参院議員任期満了後以降のことということになります。が、私が阿久根市長リコールの必要性について述べた上記の趣旨は変わりません。この2か月強の期間は同市長リコールのための格好の準備期間として位置づけられるもの、と思います。


(写真1:竹原信一阿久根市長)
(写真2:阿久根市庁舎)
(写真3:阿久根市の祭り)
末期症状極まれリ。

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■阿久根市長が反対派市議集会に乱入、つかみ合い(読売新聞 2010年3月29日)

 マスコミが議場にいるとして市議会への出席を拒否している鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)は29日夜、反市長派市議が市内で開いた議会報告会に姿を見せ、「今後も議会には出席しない」と宣言。

 「反市長派には市政運営に参加させない」とも挑発し、辞職を迫った市議とつかみ合いの騒ぎとなった。

 報告会は、反市長派の12議員でつくる勉強会が主催し、市民約70人が参加した。市長も来場し、「(議員が)うそを言わないか監視しに来た」と答えると、報道陣を携帯電話のカメラで撮影するなどした。

 市議が市長の出席拒否で予算案審議が打ち切られたことなどを説明し、質問を募ると、市長が挙手して「市民には市政のことは何も知らされていない」と持論を展開。「不信任のままの議会には出席しない」などと言い放ったため、参加者の男性が「早よ辞め」と叫び、市議らがマイクを奪おうと詰め寄った。

 さらに終了後、市議の一人が「辞職すべきだ」と市長を諭すと、市長が市議の首に手を回してつかみ合いとなり、市民に制止される事態となった。
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阿久根市長のもはや狂気の沙汰と呼ぶしかない暴政がなぜ(一応の)法治国家であるこの国で許されるのか。私はいぶかしくもはがゆくも情けなくも思ってきました。同市長のこの暴政の限りについては多くのメディアがことにふれ、折にふれて、繰り返し報道していることでもあり、ここで改めて説明するまでもないだろうと思います。

その阿久根市長の暴政、というより世迷いごとががついに法によって裁かれることになりそうです。昨日3月27日付けの西日本新聞の報道によれば、自治労鹿児島県本部は、職員の人事異動について降格前の身分相応職に復帰させるよう指示した市公平委員会の裁決を無視し続ける阿久根市長の法令違反について、刑事告発に踏み切る決断をしたようです。

地方公務員法には故意に公平委の指示に従わない場合1年以下の懲役または3万円以下の罰金に処する旨の規定がありますが、竹原・阿久根市長の公平委の採決無視の行為はこの規定に当てはまります。

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地方公務員法(審査及び審査の結果執るべき措置):
第50条 第49条の2第1項に規定する不服申立てを受理したときは、人事委員会又は公平委員会は、直ちにその事実を審査しなければならない。この場合において、処分を受けた職員から請求があつたときは、口頭審理を行わなければならない。口頭審理は、その職員から請求があつたときは、公開して行わなければならない。
(略)
3 人事委員会又は公平委員会は、第1項に規定する審査の結果に基いて、その処分を承認し、修正し、又は取り消し、及び必要がある場合においては、任命権者にその職員の受けるべきであつた給与その他の給付を回復するため必要で且つ適切な措置をさせる等その職員がその処分によつて受けた不当な取扱を是正するための指示をしなければならない。

同法(罰則):
第60条 左の各号の一に該当する者は、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処する。
(略)
3.第50条第3項の規定による人事委員会又は公平委員会の指示に故意に従わなかつた者
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さらに刑事訴訟法には逮捕の要件が規定されており、軽微事件(2万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪)の場合は原則的に逮捕できないことになっていますが、地方公務員法第50条第3項の罪は「3万円以下の罰金」ですから同規定の適用外です。

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刑事訴訟法:
第199条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
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警察・検察権力の行使は極力慎重であるべきですが、阿久根市長の公平委指示違反は明らかなのですから、検察は刑事告発がありしだい、速やかに同市長を逮捕するべきです。そうでもしない限りこの狂恣の人である阿久根市長の暴政はやむことはないでしょう。この場合、警察・検察権力の行使もやむをえないことのように思います。
2010年3月4日
標題に関する鹿児島からの報告の転載です。

鹿児島県知事も阿久根市市長批判の仲間入りをしたこと。鹿児島地裁が処分の効力停止の裁判所の決定が出ているにもかかわらず不当に給与支払いを停止していた同市長の非を弾劾し、懲戒免職取り消しを求めた訴訟の判決確定まで給与・ボーナスを支給日に支払うよう命じた上、差し押さえができる仮執行も認めたこと。「2月28日の糾弾集会の打合会に東西の本願寺僧侶が列席されておられましたが、12日に宗教者九条の会かごしまでも、「竹原発言を問う?憲法を護り活かす視点から」と題した学習会が西本願寺派の寺で開催される」ことになったこと、などが新情報です。

阿久根市市長にはもう逃げ場はないと思われるのに、まだ市長を続ける気か!!

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■伊藤鹿児島県知事、阿久根市長ブログ批判 「表現不適正、真意説明を」(2010-03-03)

 阿久根市の竹原信一市長がブログ(日記風サイト)に障害者差別と取れる記述をした問題で、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は2日、県議会一般質問で「文言に不適正な表現があったと受け止めている」と述べ、公人として真意の説明が必要だと批判した。

 二牟礼正博議員(県民連合)への答弁。伊藤知事は「障害に向き合っている方々や家族が深く心を痛めたと思う」と指摘。「各方面からの声を真摯(しんし)に受け止め、公人として記述の真意を丁寧に説明することが求められている」と述べた。

 問題の記述は昨年11月8日付で、「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰(とうた)された機能障害を持ったのを生き残らせている」などと書かれた。竹原市長は福祉団体などの抗議を受けて問題部分を削除したが、謝罪は拒否している。県議会や同市議会は謝罪を求める決議をした。

[■http://373news.com/_kikaku/akune/index.php?storyid=22531#news 阿久根市に未払い給与219万円支払い命じる 鹿児島地裁判決(2010-03-03)]

 阿久根市の竹原信一市長が掲示した張り紙をはがし懲戒免職となった男性職員(45)が、処分の効力停止を認めた鹿児島地裁の決定後も給与が支給されていないとして、市側に未払い分の支払いを求めた訴訟の判決が3日、同地裁であった。牧賢二裁判官は男性の主張を全面的に認め、地裁決定が出た2009年10月下旬から10年2月までの給与・ボーナス計約219万円の支払いを命じた。

 さらに今後、この訴訟とは別の懲戒免職取り消しを求めた訴訟の判決確定まで、給与・ボーナスを支給日に支払うよう命じた。差し押さえができる仮執行も認めた。

 竹原市長は同日、出廷しなかった。判決後、総務課を通じて「取材には応じない」と答えた。


 阿久根市の竹原信一市長は4日、同市議会本会議を「議場にマスコミがいる」との理由で出席を拒み、議会審議が中断している。議会側は出席を求めているが正午現在、竹原市長は応じていない。

 同日の開会予定は午前10時。定刻を過ぎても、竹原市長をはじめ各課長ら執行部は議場に現れず、隣接する執行部控室に待機していた。浜之上大成議長が口頭で出席を要請したが、竹原市長は「議場からマスコミを出せ」などと答え、拒否したという。

 議会側は午前10時5分すぎに執行部不在のままいったん開会した。直後に休憩に入り、議会運営委員会などを開いて対応を協議。「議会軽視だ」など竹原市長への批判が飛び交った。浜之上議長は執行部控室から市長室に戻った竹原市長へ、出席要求書を手渡した。

 同日の本会議は、2010年度一般会計当初予算案の総括質疑などが予定されており、報道各社は開会予定時刻前から傍聴席に入っていた。

 竹原市長は懲戒免職職員の訴訟などで取材拒否の姿勢を強めており、1月には「取材における庁舎内での撮影を原則禁止する」との公文書を報道各社へ一方的に通知した。
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(2010年3月4日記)
私は今月8日に発信した記事で鹿児島県・阿久根市長について次のように書きました。「最近の鹿児島県・阿久根市長の妄虚、蒙昧ぶりは目に余るというレベルをとうに越えた愚かしさです。彼は政治家というにはあらず、 もはや狂恣の人と形容するほかないでしょう」。

その記事でも予告していました「竹原市長の差別発言の撤回と謝罪を求める県民集会」がこの28日、地元の阿久根市で開かれました。同集会には「県と市の身体障害者福祉協会、県社会福祉協議会、連合鹿児島など約20団体」(朝日新聞)と一般市民あわせて500人(同)から600人(南日本新聞)が参加した、ということです。同集会の標題が「差別発言の撤回と謝罪を求める県民集会」となっていたことから、同市長の裁判所の命令まで無視して市職員の職務への復帰、給与の支払いを拒否するなどの不当な市職員労働者や労働組合へのバッシング問題はどうなるのだろうか、と竹原市長包囲の連携に一抹の不安のようなものを感じていましたが、上記の報道によれば同集会には連合鹿児島も参加している模様です。東京の石原知事、大阪の橋下知事以上の荒唐無稽なポピュリストというべき鹿児島の竹原市長包囲網はじりじりと狭まり、逆にその連携は一段と大きく加速しているようです。少し展望が開けたように思います。

はじめに同集会に関する報道を紹介します。



以下は、同集会に参加された方からの集会参加記です。転載させていただきます。

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 昨日集会に参加してきました。私自身は、阿久根駅までJRと民営化された鉄道を利用し、2時間ほどかかって行きました。海がよくみえるきれいなホテルで、会場が参加者であふれていました。

 発言をした障害者団体は、冒頭で挨拶をした県身体障害者福祉協会の他、阿久根市身体障害者福祉協会、阿久根市手をつなぐ育成会代表(打合会で県理事長は、地元では慎重意見が強いということだったのに…)、姶良・伊佐地区手をつなぐ育成会理事から、それぞれ許し難いという怒りの声が聞かれました。さらに、県議会を代表して環境厚生委員長が、産婦人科医でもある立場から、生まれてくる子どもには、障害のないことを望むものであり、親の悲しみは無理からぬところでもあるが、どんな命でも生まれてきた命をしっかり支えていく努力をすることも大切なのに、阿久根市長にはその気配りがないことを嘆いていました。新聞にも掲載された阿久根市議会議長は、声を震わせながら、ただただ申し訳ありませんでした、と頭を下げられ、誠実な言葉が聞かれました。冒頭の挨拶では「謝罪をするまで引き下がらない」ということだったので、まだ続けられるのかな、と期待と心配をしているところです。

 当日は、いい天候に恵まれ、一方に阿久根市庁舎を見下ろし、一方に青い海を見渡しながら、講演者は「美しい自然と親切な人情のあるこの阿久根で」と枕詞があり、最後に進行役の自ら身障者でもある県議から、どうか市の活性化のためにお土産を買っていってください、とも案内がありました。行きのタクシーでは、漁獲高も減り、漁師のスナックの出入りも減った、市長については、福祉を充実させ、学校給食費を軽減するという公約を信じて投票したが、悪評ばかり立って迷惑しているという話を聞きました。23日付地元紙では、阿久根市の2010年度予算一般会計総額102億200万円のうち、新規事業で児童福祉施設整備事業1億9,659.8万円、学校給食助成事業3,718万円等の他、保育料軽減事業に565.8万円を出し、利用者負担を従来のほぼ半分にするということが報じられていました。これらの施策で支持者を繋ぎ止められるかどうかです。帰りの駅ではハローワークによる求人情報冊子が並べられており、阿久根市内の求人が皆無というわけではないようでしたが、「採用済みの場合もある」との断り書きもあったので、必ずしもその通りうまくいっているわけではないのかもしれません。県議会代表からの挨拶では、阿久根出身の高校生の就職に悪影響があるのでは、と危ぶむ声もありましたが、そこをまともに混同する経営者がいるとはあまり考えにくいと思います。

ついでにもう1件阿久根市長関連の話題を挙げますと、しばらく前の2月9日付地元紙では、8日に「君が代発祥の地」として知られる大宮神社(薩摩川内市)に「さざれ石」を奉納した、と報じていました。同神社には、これまで祭られておらず、阿久根市の教育委員が同市内でみつけたものを奉納したいと神社に持ちかけていたということで、阿久根市長がそれに乗ったようです。玉ぐし料は納めておらず、公用車も使っていないので、市総務課は「市長は公人ではなく、私人として行ったことならば、市としてコメントできない」としていますが、鹿児島大学で政治学を担当する平井教授は「基本的には政教分離の原則に抵触する可能性がある」と指摘しました。われこそ、右翼本流を名乗るつもりなのでしょうか。
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(2010年3月1日記)
裁判所の決定を無視して市職員の職務への復帰、給与の支払いを拒否したままであったり、自身の個人ブログに障害者を差別する記述をしたことをメディアや市民に批判されると逆に居直って、「日本の裏社会を構成している主な要素はヤクザと同和そして在日」などと一段とエスカレートさせた差別的な記述を自身のブログにさらに書き連ねたり、 メディアの市庁舎内での撮影を原則禁止にして国民の知る権利、報道の自由に挑戦する姿勢を見せたり、と最近の鹿児島県・阿久根市長の妄虚、蒙昧ぶりは目に余るというレベルをとうに越えた愚かしさです。彼は政治家というにはあらず、 もはや狂恣の人と形容するほかないでしょう。今月の28日には地元の阿久根市では県内の障害者団体などの阿久根市長抗議のための県民集会が開かれる予定のようです。

さて、そうした中、朝日新聞が昨日6日付で「阿久根市長 支持集めるわけ」という記事を掲載しているのですが、この記事、視点はなかなかユニークなものの、 肝心の記事の根幹の部分でケアレスミスでは済まされない深刻なミスを犯しています。同記事が「阿久根市長がそれでも支持を集める」最大の理由にあげるのは、公務員と民間の天と地ともいうべき賃金格差の問題ですが、その根幹の部分の数字のはじき方が恣意的なのです。

記事には次のように書かれています。「市によると、08年度の市職員の平均月給は36万2820円、平均賞与は168万2849円。単純計算すると平均年収は約600万円だ。鹿児島県の統計では、1人あたりの市民所得で阿久根市は約192万円(06年度分)と、県内18市で最下位に近い。多くの市民が『公務員の給与は高い』と実感している」。上記によれば市職員は同市の民間労働者の3倍もの高額所得者ということになるわけですから、市民の間に「公務員の給与は高い」という批判、フラストレーションが生まれてくるのは見やすい道理です。これだけの「公民」(公務員と民間)格差があるならば竹原市長の宣言する「革命」(市職員給与の削減)の公約は阿久根市民ならずとも誰もが賛成するところとなるに違いありません。こういう記事の書き方では記事の体裁はニュートラルであっても、結局「竹原市長よ、頑張れ」というエールの記事になるほかありません。

しかし、上記記事の所得の数字のはじき方は誤っています。下記の阿久根市統計によれば、同市の人口は26,689人(H10)、世帯数は10,285世帯(1世帯当たり人員 2.55人。H12)。であるならば、上記の阿久根市職員の平均年収約600万円は単純計算(共働きなどの要件を除外)で1世帯当たりの年収とみなすべきものですから、市民所得の平均も1人当たりではなく、1世帯当たり(1世帯当たり人員2.55人)の所得に換算し直して市職員年収と比較する必要があります。そうすると市民の平均年収(これも複雑な要因は除外した単純計算)は約490万円ということになり、市職員の平均年収約600万円との年収差は110万。むろん依然として公務員の方が民間より年収が多いという事実には変わりはありませんが、賃金格差は全国の「公民」の格差の平均とそう違わないものになります。すなわち、この「公民」の賃金格差は阿久根市特有のものではない、ということにもなります。

朝日新聞は「阿久根市長に支持が集まる」みせかけの理由の本質にもっと迫るべきでした。そうすればほんとうにユニークな記事と呼んでいいものになったのだと思います。 朝日新聞は誤りを正して再度記事を練り直す必要があるように思います。 今度の記事は誤った認識をさらに増幅させる結果しかもたらさないだろうという意味で「犯罪」的であるといわなければならないように思います。(2010年2月8日記)

以下、くだんの朝日新聞の記事です。

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阿久根市長 支持集めるわけ(朝日新聞『もっと知りたい』 2010年2月6日) 

 意に添わぬ職員には「処分」をちらつかせ、市職労には庁舎からの事務所退去を迫り、報道陣の庁舎内撮影は「原則禁止」。鹿児島県阿久根市の竹原信一(しんいち)市長(50)の政治姿勢に、疑問の声が高まる一方で、「それでも市長を支持する」との声が絶えない。その事情とは――。(矢崎慶一、三輪千尋、周防原孝司)

「独裁」と批判 でも改革期待

 市長派の松元薫久(しげひさ)議員(33)は「市長を支持する市民や市議の基本にあるのは『公民』(公務員と民間)格差。是正したいという強い思いがある」と指摘する。

 市長は昨年2月、消防を除く全市職員の2007年度の給与額などを市のホームページで1円単位で公開。多くの市民が敏感に反応した。

 市によると、08年度の市職員の平均月給は36万2820円、平均賞与は168万2849円。単純
計算すると平均年収は約600万円だ。鹿児島県の統計では、1人あたりの市民所得で阿久根市は約192万円(06年度分)と、県内18市で最下位に近い。多くの市民が「公務員の給与は高い」と実感している。

ブログでの発信を含む徹底した情報公開の効果も市長に味方する。 市内の70代男性は 「竹原市長になるまでは、市職員と民間との所得格差がそれほど大きいとは思ってもいなかった」と漏らす。

 閉塞感が漂う地域経済の現状も影響している。

 阿久根市の北隣にある同県出水市では昨年2月、パイオニアのプラズマディスプレー工場が閉鎖し、12月には隣接するNECの液晶ディスプレー工場が40年間の歴史の幕を閉じた。人口約5万7千人の街から約千人の雇用が一気に消えた。

 阿久根市の中心部から両工場まで約15?。車で通勤していた従業員も多かった。秋田などの工場への配置転換に応じず地元に残った大半の元従業員は、 いまだに次の仕事が見つからない状況だ。

 街の疲弊が目立ち始めたのは、04年3月の九州新幹線の一部開通 (鹿児島中央?新八代)以降という。新幹線ルートから外れただけでなくJR九州が撤退し、特急が止まっていた阿久根駅は第三セクターのローカル駅となり、駅前も寂れた。

 飲食店経営の女性は「市長はまだ改革を実現していない。辞めるなら徹底的に改革してから」

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 市議会から2回の不信任決議を突きつけられて失職しながらも昨年5月、562票差の接線を制して再選を果たした竹原市長。だが、「逆風」も強まってきた。

 まず再選の2カ月後。部署ごとに張り出させていた07年度の人件費総額を記した紙をはがしたとして、 市長は男性係長(45)を懲戒免職処分にした。 男性が処分取り消しを求めた訴訟では昨年12月、「判決確定まで処分の効力を停止する」という地裁決定が確定。が、男性は今も職場復帰できず、給料も支払われていない。

 ブログに「高度医療のおかげで機能障害を持ったのを生き残らせている」 と記したことについても、障害者団体などから強い抗議が相次ぐ。鹿児島県議会からは異例の非難決議を受け、市議会も謝罪などを求めて決議した。

 そもそも、市議会の決議の提案者は「市長の改革を支持する」と昨年3月の市議選に立ち、 得票4位で当選した女性市議(51)だ。選挙で市長を支持した市民団体 「阿想会」 の松岡徳博会長(55)ですら、「議会、職員、市長の三位一体での改革を期待したが、現状は、 話を聞かない歩み寄らない」という『独裁政治』。市政がマヒしている」とこぼす。

 20?40代の市民らでつくる「阿久根の将来を考える会」が1月28日、初会合を開いた。 「法と秩序を守らない人に市長の資格はない。辞職すべきだ」。市民約50人、市議15人の話し合いでは、批判の声が目立った。


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 現在の市議会構成は市長派4人、 反市長派12人。 不信任決議案を出せば可決の可能性は高いが、動きは鈍い。

 反市長派にとっては、 これまで2回の不信任決議の結末がトラウマとなっている。 1回目の不信任で市長は議会を解散し、当時市長派だった5人が上位当選した。 2回目は出直し選で市長が返り咲く。2回とも、むしろ不利な状況を招いた。「市長は議会解散をにらみ、不信任決議を待っているのでは」。反市長派の市議らは疑心暗鬼だ。

 市民の解職請求(リコール)は制度上、選挙後1年間はできない。仮にその動きが出てきても、請求は早くて6月以降になる。

 「今年は激動の年になります。これからの作業に比べれば、これまでのものは児戯です」。市長は1月1日付のブログで宣言した。

 多くの市民が戸惑いながらも、市長と市議会の動きを注視している。

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■竹原市長を巡る主な出来事
【2008年】
8月31日  竹原氏が市長に初当選
10月17日 市議会定数を16から6とする削減案などを市議会が否決
【2009年】
2月6日  市議会で市長の不信任決議、市長は10日、議会を解散
4月16日  市長が市庁舎内に2007年度の職員人件費総額を張り出させる
  17日  再度の市長不信任決議。市長失職後、人件費の張り紙がすべてはがされる
5月31日  出直し市長選で竹原氏、再選
6月11日  市職労事務所の使用を取り消し、退去を通告。24日、市職労が処分取り消しを求めて提訴
7月31日  人件費の張り紙をはがしたとして、男性係長を懲戒免職処分に
8月26日  元係長が処分取り消しを求めて鹿児島地裁に提訴。10月21日、地裁が判決確定までの効力停止を決定
10月23日 市職労事務所をめぐり、鹿児島地裁が事務所退去の処分を取り消す判決
11月30日 元係長が未払い給与支払いを求めて提訴
12月17日 県議会がブログ記述について非難決議案を全会一致で可決。市議会も18日、謝罪などを求める決議
【2010年】
1月27日 報道各社に対し、市庁舎内での撮影は原則禁止すると文書で通知
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ある「平和」市民が鹿児島県阿久根市長に竹原信一さんが再選されたことを受けて、感極まってのことなのでしょう。「ヤッホー! 市民派市長再選される」という投稿を某MLに発信していました。この「平和」市民によれば、「投票率82.59%、すごいね。真実を知った市民のパワーを思い知ったかい?」ということになるようですが、この「平和」市民の認識は根底的に誤っています。

「低気温のエクスタシーbyはなゆー」の主宰者のはなゆーさんが、ブログ市長として有名になった阿久根市長の再選を「小泉流『ワンフレーズ・ポリティクス』」の勝利と位置づけています。「訴えを市役所人件費の是正一点に絞ってつかんだ勝利」というわけです。

そうしてはなゆーさんは次のような西日本新聞の記事を紹介しています。

■阿久根市長再選 波乱覚悟 改革望む 民意、市議選から一転(西日本新聞 2009年6月1日)

「タクシー運転手男性(60)は「ボーナスのない企業もあり、民間の生活はギリギリなのに、市職員の半数は年収が700万円以上もある。票は市職員への怒りの表れ。人件費改革に手を付けてほしい」と竹原氏の当選を評価」

さて、以下が、そのはなゆーさんの記事を読んだ私の感想です。

はなゆーさんが紹介される西日本新聞の記事中に「竹原氏は『これから革命を起こす』と宣言。支持者からは『(改革派の)大阪や宮崎の知事のようになって』とエールが飛んだ」という一文がありますが、記者の意図とは関係なく、同一文は、阿久根市長が行おうとしているポピュリズム政治の危険性を端的に示しているように思います。

以下、上記に関連する地元紙の南日本新聞と朝日新聞の記事です。

■阿久根出直し市長選 竹原流「改革」に軍配(南日本新聞 2009年6月1日)
■「職員厚遇」不満が追い風 阿久根市長選で竹原氏再選(朝日新聞 2009年6月1日)

再選された阿久根市長と大阪府の橋下知事との類似性について、朝日新聞と南日本新聞は、上記の記事でそれぞれ次のように記しています。

朝日新聞:
「職員の待遇や税金のあり方に疑問を投げかける首長が全国で相次いで生まれている。/08年1月の大阪府知事選で、人件費カットを含む財政健全化を訴えた橋下徹氏が当選。今年4月の名古屋市長選でも、『市民税10%減税』『職員人件費10%削減』などを掲げた河村たかし氏が圧勝した。橋下氏は職員の基本給カットを実施。竹原氏の職員年収公開を評価し、府幹部職員のモデル年収を府のHPに掲載した」

南日本新聞:
「『革命』と表現する市職員給与の削減については『住民の主権が自治労に取り上げられてきた。(住民の立場が公務員より下にある)下克上の状態を元に戻すこと』と説明。『自治労は阿久根から出て行ってもらう』とこれまで同様、対決の姿勢を鮮明にした。/竹原さんは昨年8月の市長初当選以来、議員定数の削減や民間からの市幹部登用をめぐり議会と対立。ほかにも自身のブログ(インターネットの日記風サイト)で「辞めさせたい議員アンケート」を実施、市のホームページで市職員給与を1円単位で公開したり、市役所各課に人件費総額を掲示するなど、物議を醸してきた」

さて、下記の辛淑玉さんの小論攷は、上記の阿久根市長と橋下知事らとの同質性、また、同市長が進めようとしている「革命」なるものの危険性を考えるについて、とても参考になる記事だと思います。

週刊金曜日748号(4月24日)の特集は「どこへいくニッポンの民度 タレント知事がやってきた」というものでしたが、その特集の囲み記事(「ウケ狙いの政治の果て」)で、辛淑玉さんは「大衆の中にある差別感情を扇動する」ということについて次のように書いています。

「芸能番組で生きてきた彼ら(筆者注:タレント政治家)は、同じテレビで活躍していてもジャーナリスト出身の政治家とは異なり、絶えず視聴率を意識し、スポンサーや興行主にへつらい、また師匠=君主、弟子=奴隷という封建的人間関係が体にしみついている。ビートたけしの前の東国原知事を見るまでもなく、配下の者には絶対者として君臨するという家父長主義的な芸能界の掟が、タレント知事の誕生でそのまま政治に持ち込まれているのだ」

「たとえば、彼らの常套手段は『公務員攻撃』だ。カメラの前ではこれがウケる。公務員はその仕事の割に高給を取っているというのがその理由だが、バブルの頃は優秀なやつは公務員になどならなかった。今は、民間の給与水準が低下したために、相対的に地方公務員が給与が高くなっているだけだ。/労働者の組織率が低く、組合運動が弱い地方の民間企業の労働者が資本の攻撃に負けた結果として賃金の崩壊が進んだにもかかわらず、その大衆のうっぷんを地方公務員に対する怨嗟と八つ当たり攻撃にすり替えた。まさにウケ狙いの政治だ」

「さらに、社会の変化についていけず、被害者感情を募らせている一般大衆の持つねたみやそねみを、八十年代以降のリベラルな社会運動がもたらした制度改革によって社会上昇を果たしたマイノリティに対する攻撃に誘導しようとしている/大衆の中にある差別感情を扇動することによって当選を果たしたタレント知事が言う『地方から日本を変える』とは、資本の手先となって『大衆の敵』を作り出し、本当の敵から目をそらさせ、日本を政治のガラパゴス化させることなのだ」

はなゆーさんが紹介される西日本新聞の記事。「ボーナスのない企業もあり、民間の生活はギリギリなのに、市職員の半数は年収が700万円以上もある」という公務員の賃金についてのタクシー運転手男性(60)の嘆きは真っ当な嘆きであり、悲鳴です。しかし、誰が、そして、どのような経済構造のもとにそのような事態が現出しているのか? そのことの考察を抜きにして、安易にそのタクシー運転手の悲嘆に共感するだけでは、辛淑玉さんが指摘する罠に陥る可能性があります。

再選された阿久根市長が行おうとしている「革命」と橋下「革命」との類似性は報道等で指摘されているとおりです。そのことがすでに示唆的ですが、彼らの「革命」宣言は、「被害者感情を募らせている一般大衆の持つねたみやそねみ」「大衆の中にある差別感情」をさらに助長、扇動し、結果として「資本の手先となって『大衆の敵』を作り出し、本当の敵から目をそらさせ、日本を政治のガラパゴス化させること」につながるドン・キホーテ的なポピュリズム宣言というべきだろう、と私は思います。私たちはそのことに自覚的でありたい、と思います。(2009年6月1日記)

追伸。
上記の小文をあるMLに発信したところ、北海道旭川市にお住まいの久保あつこさんから下記のような反論を含む返信をいただきました。


下記はその返信に対する私の再返信です。


辛淑玉さんの下記発言に関する久保さんのご指摘、ご批判はそのとおりだと思います。

辛淑玉さんの「バブルの頃は優秀なやつは公務員になどならなかった」という発言は、比喩的な意味で援用するのですが、おそらく宮台真司(首都大学東京教授)の「昔は東大法学部の成績優秀者は官僚になりました。今は官僚にならず、外資系のコンサルか金融に行く」(下記HPの宮台第2発言第4パラグラフ)などの放言に影響されたもののように私は思っています。

上記の宮台発言は一面の真実は衝いてはいますが、あくまでもエリート集団内部の「最新事情」のようなものにすぎません。エリート集団特有の一部の側面を拡張して、バブルの頃の総体としての就職事情を「優秀なやつは公務員になどならなかった」というのは俗論(誤り)だと私も思います。

しかし、辛淑玉さんは、俗論を承知で、ある種比喩的な意味で上記のことを言っているのだとも思います。私はそのように解釈しました。

私も久保さん指摘される箇所には同様の違和感を持ちましたが、辛淑玉さんの論を総体として支持する立場から紹介させていただきました。

が、久保さんのご指摘のとおりだと思いますし、久保さんの問題提起もそのとおりだと思います。(2009年6月3日記)